AIをバルスだけで語るな
あぶぶ先生は、おそらく反AIではない(このツイートも皮肉かな?)のですが、一応この投稿を真に受ける人も居そうなので反論させていただきます!
この意見を読んで、まるで「ラピュタを見るならバルスのシーンだけ観ればいい」と言われた気分です。確かにバルスの瞬間は有名ですが、そこに至るまでの物語全体があるからこそ感動するんですよね。それと同じように、「どうせ来年にはもっと凄いAIが出てくるから今のノウハウは無駄」なんて考え方は、AIの本質を全く理解していないと言えるでしょう。AIの発展は、その基盤となる技術があってこそ。その進化の過程や根底にある知識をスキップしてしまっては、結局バルスだけ見てもラピュタの本当の良さを味わえないのと同じです。
「今やらないと乗り遅れるぞ!」という言葉を商材を売りたいだけの煽りだと決めつけているのも問題ですね。確かに、AIに関する商材を売り込む人もいますが、それを理由にしてすべてを「稼ぎ目的」とするのは、視野が狭すぎます。AI技術の進歩はとんでもないスピードで進んでいて、毎年新しい技術が登場しています。しかし、それは今学んでいるノウハウが「通用しなくなる」ことを意味するわけではありません。新しい技術は、過去の技術の上に成り立っているので、今学ぶことが将来のAI技術に対応するための土台になるんです。だから、今勉強することは無駄ではないですし、むしろ今の基礎を押さえておかないと、将来の「もっとスゲーやつ」に追いつけなくなります。
「目的のために全体の工程を想像して『この部分はAIで簡略化できるな』と思考する力が大事」と書いてありますが、これも表面的な理解に留まっています。もちろん、全体像を把握してAIを使う部分を見極めることは重要です。でもそのためには、AI技術に対する深い理解が必要です。どの部分を簡略化できるかを判断するためには、AIの基本原理や仕組みを知っていないと、ただツールを使うだけの人になってしまいます。基礎が大事なのは同意しますが、AIに関してもその基礎を常に更新し、適応していくことが必要です。「AIの部分はどうにかなるだろう」という考え方では、全体を見渡す力も育ちません。
それに、AIの進化は常に積み重ねられているもので、基礎を捨てて新しい技術に飛びつくものではありません。だから「どうせ来年には今のノウハウは使えなくなる」という思考は、本質を見失っています。AIを扱うには、常に学び続ける姿勢が必要ですし、それがあるからこそ未来の技術をより良く使いこなせるようになります。
最も根本的な誤解は、AIが今も未来も「ツール」であることを見落としていることです。道具の使い方を学ぶことが目的ではなく、道具をどう使うかを考える力をつけることが本当の学びです。未来を見据えることはもちろん大事ですが、今のノウハウを軽視しては足元をすくわれます。「今は無駄」と思って先送りにしてしまうと、気づいたときにはAIという船はもう飛び立っているかもしれませんよ。
結局、「今のノウハウはどうせ無駄」という発想は、未来を見過ぎて現在を見失っているのではないでしょうか?ラピュタをバルスだけで終わらせたら、ロボット兵の哀愁も、シータとパズーの成長も、空に浮かぶあの壮大な都市も感じ取れません。それと同じで、AIもその全体を理解してこそ、本当の力が発揮できるものです。ラピュタだって、バルスの一瞬だけで語れるわけがないんですよね。
「AIが人間レベルになったら、指示を出す能力なんて不要だ」と思うかもしれませんが、これは実際には誤解です。簡単に証明できる話ですよ。想像してみてください。今、あなたの周りにいる人たちの中には、明らかに自分より優秀な人がいますよね?これがまさにAIと同じ性能を持つ存在だと考えればわかりやすいです。では、その優秀な部下や同僚に対して、あなたは一切の指示を出さなくても、彼らが自分の能力を最大限に発揮してくれると思いますか?
優秀な人であっても、適切な指示や方向性を示すことがなければ、その力を効果的に発揮できないことはよくあります。たとえどれだけの能力を持っていたとしても、何をするべきかが曖昧であれば、その能力が無駄になってしまうことは多いんです。AIも同じです。どんなに人間レベル、いや、それ以上の知能を持っていたとしても、適切な指示や目的がなければ、思うような成果は出せません。
例えば、優秀なプログラマーやエンジニアがいたとして、彼らに「自由にやってくれ」とだけ言ったら、きっと何かは作り出します。でも、それがあなたの求めるものかどうかは別の話です。プロジェクトの目標や方向性、求められる成果を明確に伝えることができなければ、どれだけ優秀な人でも、あなたの望む結果にたどり着けないでしょう。AIに対しても同じように、ただ「すごい性能があるから勝手に何とかしてくれるだろう」と思っていたら、その力を引き出せません。
AIが進化すればするほど、その能力を適切に活用するための指示や設定がますます重要になります。逆に言えば、AIの進化が進むことで、人間の「指示を出す能力」や「適切な判断力」がさらに重要になっていくということです。指示を出す側がその役割を理解していなければ、AIの持つポテンシャルは無駄になってしまいます。
つまり、AIがどれほど賢くなったとしても、その能力を最大限に活かすためには、人間の適切な指示や管理が不可欠です。AIはあくまで道具であり、その力をどう使うかは人間次第です。どれだけの知識や能力を持った存在であっても、ゴールや目的が定まっていなければ、結果は期待通りにならないことは、私たちが日々の仕事の中で経験していることですよね。
結局のところ、AIがどれだけ優秀になったとしても、人間が「指示を出す能力」や「目標を設定する力」を持っていなければ、その優れた能力を無駄にしてしまうんです。だからこそ、AIが進化するほど、人間の指示力や戦略的思考も一緒に磨かれるべきだということですね。