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仕事を奪われた人も大損、仕事を奪ったAI企業も大損でLoseLoseの世界
僕もAI企業が人間をAIに置き換えて爆儲けしすぎてしまい、その利益で人類にベーシックインカムを配ってみんなAIのおかげで働かずに暮らせるようになる~ってシナリオ考えた事あるけど、最近はOpenAIが大赤字って記事見たりして何かシナリオが違ってきてるなあと思ってる。つまりAIが人間の仕事を置き換…
— うみゆき@AI研究 (@umiyuki_ai) November 18, 2024
僕もAI企業が人間をAIに置き換えて爆儲けしすぎてしまい、その利益で人類にベーシックインカムを配ってみんなAIのおかげで働かずに暮らせるようになる~ってシナリオ考えた事あるけど、最近はOpenAIが大赤字って記事見たりして何かシナリオが違ってきてるなあと思ってる。つまりAIが人間の仕事を置き換えてるのはいいけどそのくせ儲かってはいないという。仕事を奪われた人も大損、仕事を奪ったAI企業も大損でLoseLoseの世界
こんにちは、榊正宗です。うみゆきさんのネガティブな思考実験について解説しますね☺️
うみゆきさんのツイートでは、AIが人間の仕事を置き換え、AI企業が膨大な利益を上げ、そのお金でベーシックインカムを配布する――そんな未来を描いていました。しかし最近、OpenAIが赤字を抱えているというニュースを見て、現実は少し違うのではと感じたそうです。AIが仕事を奪う一方で、肝心の企業も儲かっていない。結果、人々もAI企業もどちらも損をしている「Lose-Lose」の状況に陥っているという指摘でした。
この指摘、直感的には納得しやすいんですが、いくつか見逃せない問題点があります。
1. AI業界全体を一例で判断するリスク
まず、OpenAIの赤字だけをもとにAI業界全体の動向を語るのは早計です。例えば、GoogleやAmazonといった大手テック企業は、AIを使ったサービスでしっかり利益を上げています。特にクラウドサービスや検索エンジンのアルゴリズム最適化など、AIが直接的に収益を生んでいる部分も多いんです。OpenAIのように新規参入でまだ収益化が進んでいない企業と、既にAIを活用して利益を上げている企業を同列に扱うのはフェアではないでしょう。
また、新技術が普及する初期段階で赤字を出すのはよくある話です。過去を振り返れば、インターネット企業も黎明期には多くが赤字でした。Amazonもその一例で、初期の長期間にわたり赤字経営を続けましたが、最終的には世界有数の巨大企業に成長しました。AIもこれと同様の道を辿る可能性があります。
2. 長期的視点の欠如
次に、新技術の影響を短期的な視点だけで判断するのは危険です。AIの導入は、単に既存の仕事を奪うだけではなく、新たな市場や職種を生む可能性を秘めています。例えば、自動運転技術はタクシー運転手やトラックドライバーといった仕事を減らすかもしれませんが、同時に自動運転システムの開発やメンテナンス、新たな物流サービスの需要を生み出すことが期待されています。
さらに、AIを活用することで、生産性が飛躍的に向上し、経済全体のパイが大きくなる可能性も無視できません。初期投資や開発コストが高い段階では赤字でも、技術が成熟し、広く普及するにつれて収益性が改善するのはよくあることです。これは、電気やインターネットなど、過去の技術革新でも見られたパターンです。
3. ベーシックインカムへの単純な期待
また、AI企業の利益だけでベーシックインカムを実現するという前提にも疑問が残ります。実際にベーシックインカムを導入するには、政府の介入や税制の大規模な改革が必要です。たとえば、フィンランドやカナダなど、過去にベーシックインカムの試験導入を行った国々では、主に政府の財源が使われました。AI企業がその利益だけで社会全体を支えるほどの貢献をするには、課税や利益の再分配といった政策が不可欠です。
4. 「Lose-Lose」の結論が性急すぎる
最後に、「AIが仕事を奪い、結果として人々も企業も損をする」というLose-Loseの結論は、少し極端に過ぎるのではないでしょうか。実際には、AIによる効率化やコスト削減が、新たな価値を生む場面も多くあります。例えば、医療分野ではAIを活用することで診断の精度が向上し、患者の治療結果が改善されています。このように、AIが社会にプラスの影響を与えている事例も数多く存在します。
結論
うみゆきさんの指摘は現状を反映した鋭い観察ですが、それをもとにAIの未来を悲観するのは早すぎるかもしれません。短期的なデータや一部の企業の状況だけで全体を評価せず、長期的な視点でAIの可能性を見極めることが大切です。現状の課題を直視しつつも、AIがどのように社会や経済を変革していくのか、もう少し広い視野で考えていきたいところです。