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AIアニメか?それともAIアシストか?—冤罪の魔女狩りを検証する

こんにちは、榊正宗です。お越しいただきありがとうございます。今回は、マルちゃんの「赤いきつね」アニメCMをめぐる炎上についてお話しします。

このCMでは、女性キャラクターが頬を赤らめながら「赤いきつね」を食べるシーンが描かれています。しかし、一部の視聴者から「セクハラCM」「気持ち悪い」といった批判が寄せられ、炎上状態となっています。

批判の主な理由として、女性キャラクターの描写が非現実的であり、性的に見えるという指摘があります。また、男性版のCMと比較して、女性版のキャラクターの頬の赤さが強調されている点も問題視されています。

一方で、このCMに対する擁護の声も存在します。例えば、赤いきつねの女性版と緑のたぬきの男性版は制作が別であり、絵柄が変わるのは仕方がないとの意見もあります。

また、このCMに関して「AIを使っているのではないか?」という疑念も浮上しています。AIによる生成映像が急速に進化している中で、実際にAIが使われているかどうかに関係なく、作画のクオリティが疑われるケースが増えています。今回は、このようなAI利用を疑う炎上についても、検証していきたいと思います。

👆これAIではありません。

👆最近では文字を描けるAIも登場していますが、例えばこの「00000」のバーコードをAIが正確に描くのは不可能です。このような細かいデザインは、3Dの貼り込みや撮影時の加工であり、専用に描き起こしたものを使用していると考えられます。

👆数字が完璧なリモコンを描けるAIは今のところ存在しません。このリモコンは実在のものがモデルになっているようですが、既存のプロダクトをここまで正確に再現できるAIは現在の技術ではまだ難しいです。

👆背景の窓の外に映るビルですが、その先端を赤く光らせるのは、非常に高度な技術が求められます。AIでも不可能ではありませんが、多くの場合「それっぽいビル」になってしまい、精密なデザインを維持するのは難しいのが現状です。さらに、カットごとに同じデザインのビルを一貫して描き続けるのも、AIにはほぼ不可能に近い領域です。

その理由として、AIはビルの先端を赤く光らせることが、日本の航空法によって義務付けられていることを理解していません。単に学習データの中で「ビルの先端が光っている画像をよく見かける」という理由で、たまに赤く光らせることはありますが、逆に海外基準を参照し、光らせないこともあります。こうした法規制や地域ごとのルールに基づいた描写を、AIが自動的に判断し、一貫性を持って再現することは極めて困難です。

これらの難しい部分だけを人間が加筆した…という可能性も考えられますが、それだけでは説明がつかない部分も多くあります。仮にAIが関与していたとしても、それは「AIアニメ」ではなく「AIアシストアニメ」と言うべきものです。
生成AIで作ったものをそのまま使用する場合と、AIを補助ツールとして活用する場合では、著作権の考え方が大きく異なります。世界の流れとしても、AIアシストを利用した作品は著作権が認められ、また著作権侵害にはならないという見解が一般的になりつつあります。

👆「このカットが下手だ」と言う素人の指摘を見かけますが、このサイズのフルショットを手描きで仕上げるのは非常に難しい技術が求められます。こうしたカットを描けるアニメーターの数は年々減少しており、正確に描くには拡大作画が必要になります。むしろ、AIや3Dが使用されていた場合、こうしたカットだけ逆にほかよりも極端にリアルな描写になり、不自然に見えてしまう可能性の方が高いです。アイドルアニメの3Dダンスシーンと手描き作画の違いを思い出してもらうと、わかりやすいかもしれません。

👆️指の違和感は、中割りの作画ミスによるものです。確かに、かつてAIは指の本数を間違えることが多かったですが、最近の技術ではそのようなミスは大幅に減っています。しかし、箸を握る手の動きを正確に描くことは非常に難しく、特に動画の中割りでは至難の業です。

今回のケースでも、数コマのわずかなミスが原因であり、通常の視聴ではほとんど気にならないレベルのものです。しかし、SNSでキャプチャが拡散されたことで、「AIが作ったものではないか」と疑う声が上がっているだけです。

そろそろ「指の形だけでAI判定をする」というのは控えたほうがいいかもしれません。現状では、指の違和感が必ずしもAIの使用を示すわけではなく、むしろ作画の難しさや中割りの特性を理解することのほうが重要ではないでしょうか。

現在SNSで話題になっているAI技術の最高レベルでも、100回ガチャを回してようやく一度このレベルのものが出るかどうかといったところです。

したがって、このCMはほぼ完全な作画である可能性が高く、仮にAIが使われていたとしても、それはあくまで「AIアシスト」の範疇です。

結論として、フェミニストの批判は別として、反AIによる炎上は完全に冤罪の魔女狩りです!!

👇️AIアシストでMVを作ってます。AIにはどの程度ことができるか、見てください。


(追記)冤罪でした😭

👆アニメ制作について詳しくない人向けに説明すると、アニメでは作画と背景は別々の担当者が描きます。レイアウトは背景美術の参考として作成されますが、美術担当が描き直すため、作画と美術がズレることがあり、ミスも頻発します。こうした問題を減らすため、現在では3Dレイアウトが主流になっています。

「ブック」は、美術を作画よりも手前に重ねる技法ですが、キャラクターが直接接触する要素(椅子やテーブルなど)は、美術(ブック)ではなくセルで描かれます。これは、作画したキャラと背景の位置関係がズレるのを防ぐためです。そのため、本来座椅子やテーブルなどもセルとして描くべきでした。

(追記)完全な魔女狩りによる冤罪だったようです。私はAIアシストの利用自体には問題がないと考えていますが、意図的に炎上を煽るような行為には賛同できません。


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