うつ病の理解

先日、知人に「うつ病というのがあるのはわかるけど、意味がわからない。お前が言う『心が壊れた』って言うのも、おかしい話だし、表現的に好きじゃない。俺だってとても辛いこといっぱい経験してきてるけど、うつにはなっていない。それになんでそんなに考えがネガティヴなの?」と言われた。

きっと、うつ病を理解できない人には、そう言う考え方の人も少なからずいるのだろう。

私自身も、きっとうつ病になっていなければそう思っていたかもしれない。

その知人にはたぶん、どんなに説明しても、受け止めることはできないと思うし、他の人もそうかもしれない。

彼らにとっては、うつの原因を乗り越える力があったか、それをまだ経験していないのだから。

その知人は、妻と幼い子がいたが仕事を辞める事を決意。そして、仕事が見つからない日々、妻と子をどうやって養おうか、早く職を見つけなくてはと必死で、その時、とても辛かったそうだ。

確かに辛い状況だった事は容易に想像できる。それを乗り越えた知人から見れば、私がうつになった理由は大したことではないし、そんなことで心が壊れる訳がないと思えたのだろう。

では、彼がもし、必死に仕事を見つけ、やっとここからと思った時に、妻が子を連れて家を出ていったならどうなっていただろうか...

妻や子を思い、辛く厳しい日々を過ごし、なんとかなったと思った矢先に、心の支えとなった物が急に無くなったら...きっと彼の心も壊れていたのではないかと思う。

うつは誰のそばにでもいて、その原因は、他人からは小さく見えることかもしれない。

でも、その本人にとっては、心の支え、生き甲斐、希望を失った状態なのだ。

もし、自分の身近な人がうつになった時、その人が、その理由を話してくれたなら「そんなこと」と思わず、自分が辛く苦しかった時の気持ちと、もしその時に自分を支えた気持ちや人が、急になくなったらどうだったか、どこにも何にも頼る物がなくなったなら自分はどうだろうと考えてあげてほしい。

そして、うつの人の悲観する気持ちを、「なんでそんなネガティヴなの」と思わず、それを受け止めてあげてほしい。心の支えがなくなり、心が壊れ、全てに自信を失っているのだから。

「がんばって」「がんばれよ」と言うが、うつ病になった人は、十分にがんばった結果なのだから。

弱い人間、根性がない、甘えてると思うかもしれないが、実際は、うつ病になる前に、必死になって、甘えず、根性でひたすらに戦った結果がそれなのだから。

いちがいに言えることではないと思うが、うつ病の人にはそういう人もいるのだと、ほんの少しでいいからわかってほしい。

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