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「専業主婦になる」という選択肢はまずなかったんだけど

おひとりさまで十分ハッピーな私は結婚なんてしない(できない)かもしれないと思っていた。シングルライフを満喫していたニューヨーク時代にはイベントも買い物もよくひとりでふらりと出かけたものだ。

当時iMacシアターが話題で、上映中の「ハッピーフィート」を急に見たくなって
「今から行っちゃお!」
子ども連れのグループで賑わうシアターにひとりで出かけた。入場口でチケットを見せると
“Are you by yourself?”(「おひとりさま?」)
驚いた表情で聞かれたのを思い出す。
“Oh yes. (So what?)”(「そうよ。(だから?)」)
カッコの中はもちろん口には出さないんだけど。家族向けの映画をひとりで観に行ってもいいじゃないさ。

ジョンとヨーコのお気に入りだったというセントラルパーク近くのカフェにもひとりふらりと行ってみた。メニューにワインがあったので、ついつい雰囲気にのまれて頼んじゃった。お酒に弱いくせに。案の定、雰囲気にのまれたついでに酒にものまれかけ真っ赤な顔でお会計が恥ずかしかった。

ずっと独り身なのは気にならないけれど、子供はいつか絶対に欲しい、とも思っていた。小学校の高学年で生理がはじまってから毎月、上から下から出るものを出し切って2キロ減るような生理痛を繰り返し、それでも乗り越えてきたのは「いつか子どもが欲しい」から。結婚はしなくても子供は持てるし、そう思っていた。

中学生くらいの時にどこかで入手したニューヨークの夜景のポスターが部屋に飾ってあったのを思い出した。ニューヨークへは自然に、吸い寄せられるように行ったんだけど、きっと最初から縁のある街だったんだな。だからニューヨークの生活はとにかくしっくりと肌に馴染んでいたし、一生そこで働きながら生きるんじゃないかという思いが頭のどこかにあった。

仕事と結婚したような生活だったけれど、とてもハッピーだった。このままニューヨークでバリバリ働いて、時々日本に帰って。友達もたくさんいるし楽しいし。周りの友達がだんだんカップルになっていったけれど、別に羨ましくもなかったし気にもならなかった。

タイのバンコクに出張した時、現地の取引先のお気遣いでホテルのVIP待遇を受けた。ドアを開けた瞬間に「間違えられたんじゃなかろうか」と疑ってしまうような高層階のゴージャスな部屋にフルーツやチョコレートが待っていた。その部屋の大きな窓から夜景を眺めた時、
「この景色を一緒に見られる人がいたらもっと楽しいだろうな…」
初めて思った。

数年後、日本の家族ももう
「いつ帰ってくるの?」
とか聞いてこなくなった頃、突然、結婚相手が現れた。スーパーヒーロー!的でもなければ全然ロマンチックでもない形で、笑。けれど自然と、自然と、くどいけれど、自分でも謎なほど本当に自然にそういう風に進むのね。「感情が云々」を飛び越えた感じなんだな。これはもう「知っている」「わかっていた」とか「運命」とかいう言葉でないと説明できない感じ。

そうして結婚した私は専業主婦になって帰国した。ここが、これがすごく想像していなかったことでまさに想定外の展開!バリバリ働いていた若き日の私には「専業主婦になる」という選択肢はまずなかったから。

専業主婦になってそろそろ10年。その10年を表現してみると、

  • ノータイトルの、社会から締め出されたような感覚の10年

  • ノータイトルだからこそ本当に価値のあることをして価値のある人間になりたいと思った10年

  • 本当に豊かな人生とは?何が大切か?について考えた10年

  • 家族との時間を大切にした10年

  • 私はいったい何をしたいのか考えた10年

  • 死ぬ時に後悔しないためにはどうするか考えた10年

  • そして、専業主婦というのは「家を守り、太陽のように家族を支える」それは大変で、かつ大切なミッションなんだと分かった10年

今だから思うけれど、しっくりくる道だった。不器用な私には外での仕事と主婦の両方こなせなかったと思うから。年をとった両親と時を共にできたし、小さかった息子もじーじばーばとたくさん一緒に過ごせた。そういうライフスタイルに共感して実現させてくれた夫にも感謝しかない。

息子を学校に送り出し、朝のルーティンをこなしてから「ふうぅー」っとコーヒータイム。

想像していなかったけれどいつもキーワードにしていることを中心に動いている私の人生。
「家族・子育て」
「英語」
「音楽」
「リスペクト・優しい気持ち」
自分で選んだキーワードに沿って神様が(運命が)いちばん自然な方向に導いてくれているっていうことなのかもしれない。ありがたい。

だからきっとこれからも、今は想像もしていない形で未来が展開していくんじゃないかと思う。けれど、キーワードに沿って自然に、想像していなかったけれど後でしっくりいく形で向かっていくんじゃないかと思う。説明できない自分の感覚が「知っている」方向に。

“Life has a funny way of sneaking up on you when you think everything’s okay and everything’s going right
And life had a funny way of helping you out when you think everything’s gone wrong and everything blows up in your face”
「人生は全てが順調だと思っているときにおかしな方法で忍び寄ってくる。
そして人生は失敗ばかりで何もかもが台無しになると思ったときにおかしな方法で助けてくれる。」

“Ironic” Songwriters: Alanis MorissetteGlen Ballard

“Life is what happens to you while you are busy making other plans”
「一生懸命にプランを立ててる最中に全く別のことが起こる、その出来事こそが人生なんだよ」

“Beautiful Boy (Darling Boy)” by John Lennon

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Meg Y
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