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儀式のないご結婚を皇室の新しい潮流と見るか、駆け落ち婚と見るか

こんにちは、ウェディング ナビゲーターの清水です。

秋篠宮家のご長女・眞子様が本日ご結婚、皇籍を離脱されました。
お相手のお家のいろいろな問題は個人的なことなので周りがとやかくいうべきものでもなく。
私も思うところはありますが、それはおふたりやご家族の問題ですので控えます。

ただ、一般においても揉める場合は大概こういうことが原因だよね、ということで、以前こんな記事を書いています。

今回の一連の出来事を見ていて感じたのは、儀式に対する価値観の大きな変化がついに皇室にまで及んだかということ。

この記事の教訓
「幸せを願う想いは同じでも儀式という形に対する価値観の溝は深い」
重んじるかどうかの考え方の違いがあったら軽視せずに話し合いましょう。

儀式とは一体何なのか?

家や個人の置かれた立場や環境によっては、今も変わらず大事にされているのが婚約や結婚の「儀式」です。

日本の結婚の儀式は、ふたりの間に”夫婦”という新しいつながりをつくること、それを酒を同じ器で飲むという「形」で示すものです。
神前式、仏前式については、両家が縁続きになる儀式もセットになっています。

日本の場合、婚姻届を出せば夫婦になれるので、儀式はなくても結婚はできる。
挙式をしないと婚姻できない国や地域もありますが、それと比較すると儀式は絶対的なものではないんですね。
制度が変わっても、昔から行われてきた儀式という「形」が大切にされてきたということです。

実を取るという新しい潮流

儀式を大切にする人にとっては、儀式を経ない結婚は正式とは言い難いものと見なされます。
皇室は、はるか昔から文化を最上段で引っ張ってきた存在。
今一般で行われている儀式の源流は皇室にあり、公家から武家に、武家から庶民に下って引き継がれてきたことは否めない。
その源流の一員である内親王が、儀式を経ずに家を出て、結婚する。
つまり、正式出ない結婚をするというのは、かなり大きな事件なんです。

ただ、儀式の体は取っていないものの、賢所や昭和天皇・皇后陵への拝礼、天皇皇后両陛下、上皇ご夫妻へのご挨拶はちゃんとなさっている。
眞子様は、踏まえるべきことはしていらっしゃるんですよね。

ここからは完全なる私の憶測ですが、
眞子様にとっては、儀式である必要はなかった。
実を取れればそれでいい、と考えていらしたのではないでしょうか。

これは一般でもよくあることです。
親は結婚式をしてほしいと思い、子は必要がないと思う。
親世代は儀式を尊び、子世代は必要性を感じないというすれ違いは、今に始まったことではない。

上皇ご夫妻と同じ世代が結婚した時代は、親の決めた相手と結婚するとか、お見合い結婚がまだ普通で、結婚式も親主導で家の行事のような扱いでした。
それが、秋篠宮ご夫妻と同世代になると、恋愛結婚の割合がかなり増えたものの、しっかりした家の人こそお見合いで結婚したり、結婚式も親の決めたようにしなければいけなかったり、不自由さがまだまだ残っていた。
そして今、眞子様と同世代は、出会い方や結婚式が自由なのはもちろんのこと、事実婚や同姓婚などの多彩な形も現れてきている。
3世代にわたって見てみると、結婚というものがかなり大きく変化していることがわかります。

秋篠宮様が、憲法にも両性の同意においてとあるので結婚は許すが、結婚の儀式は行わないとおっしゃった。
そこに宮様の、儀式を経た結婚ができる状態になってほしいという思いが表れているのかなと思いますが、儀式なんかなくてもいい、と眞子様が思っていたのだとすれば、あまり響かないお言葉だったのかもしれません。
あくまでも憶測ですが……実にイマドキだ。

儀式のよさをわかってほしい

昨今の一般の結婚式はかなり多種多様になっている上に、入籍のみ=実を取る人もかなり多くなっています。
皇室の方たちだってSNSを見る時代、ニューヨークでウェディングフォトを撮ればそれでいいじゃない!と考えてもちっとも不思議ではありません。

今の親世代だって、自分が自由に結婚式をすることができなかったから、子どもたちには好きなようにやってほしいという人が多いんですよ。
ドレスを着たかったのに和装しか着られなかったとか、こじんまりやれればよかったのに大規模にせざるを得なかったとか、特にお母様からご自身の不自由だったエピソードをお聞きします。

結婚式そのものが儀式と捉えられて、古い形は不要だと思う人が増えているのも事実。
ウェディング業界にも、儀式の根本を理解せずに形だけ覚えて語っている、薄っぺらく聞こえるセールストークも蔓延している。
それじゃあ本来の価値にも気づいてもらえないよなぁと思うこともしばしばです。

ウェディングを仕事にしている者からすると寂しい限りで、何とかその価値に気づいてもらいたいんです。
でも、大事にする人は周りに言われなくても大事にするし、必要ないという人は誰が何といってもやりたくない、それが「儀式」というものなのかもしれませんね。
儀式という形に込められた想いをしっかり伝えたり、その人らしい儀式をつくることで、価値を広めていきたい。
これを書きながら改めて思いました。

皇族の人権について

日本文化を支えているのは皇室だと考える私としては、ぜひ存続していただきたい。
また、皇室があり続ける以上、儀式を重んじ、その儀式を経て人生を歩んでいくことを重んじることに変わりはないはずですし、変わってほしくもないと思っています。
ですから、今回の眞子様の儀式をしないご結婚は実にショックな出来事でした。

個人的には、現在の憲法の規定からしても、皇族は国民とは異なる立場であると考えています。
だからつい、一般とは異なる生き方を受け入れていただくのは当たり前だという視点で眞子様の結婚も見てしまっていました。
しかし、皇族とはいえひとりの人間、その人格は尊重されるべきなんですよね。

出会いの形や結婚も変化し、情報は否応なく目や耳に入る時代になっているのに、戦後すぐの価値観と変わらないままでいいのだろうか?
とはいえ、個々の意思に任せてしまったら、皇室に誰も残らないかもしれない。
皇室の存続が皇室の方々の個人としての不自由と引き換えになってしまっているところもあり、今後は特に女性皇族に負担がかかるはず。
後に続かれる愛子様や佳子様、そして悠仁様のためにも、早く対策を練らないといけないと思います。
皇族の人権を守りながら、皇室が存続できる、いい方法が見つかることを願っています。

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ウェディング ナビゲーター
結婚式の専門家

清水 恩

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