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「おなか痛いポーズ」が蔓延中 正しい立ち姿勢とは?

我がウェディング業界で頻繁に見るようになったのが、タイトルの「おなか痛いポーズ」。
両肘を張って、掌を重ねて腹部に当てた立ち姿のことです。
ただし、私が勝手にそう呼んでいるだけで、一般呼称ではありません、悪しからず。

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最近、男性スタッフがこのポーズをして笑っている画像を見かけてギョッとしました。
とあるウェディング会場の、スタッフがずらっと居並ぶ宣材写真だったと思います。
今や、男性もあれが正しいと教えられているんだろうか……。

「おなか痛い」ポーズはどこから来たのか?

というのも、少なくとも私の周辺では見たことがなかったのです。
基本は「手は体側に置く」ということ。
私の母校では入学して最初にお辞儀の練習をしていて、私にとっての基本形もそのとき習ったものだと思います。
「女性がお辞儀する際には、体を傾けるのと連動して手を自然に前に合わせる」ということも教えられましたが、これも高校の時だったのかなぁ。
サービス従事者としては「体の前で右手を下にして合わせる。相手に敵意がないことを示すため」という姿勢がベースになるのですが、これは新卒時の研修で習ったように思います。

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ちなみに私の母校のスタンダードなお辞儀は「頭を下げて3秒数える」というものだったので、一般的なものよりも時間がちょっと長め。

新卒時の研修で、3パターンのお辞儀などの一般的なマナーを習ってみて、長いことに気づきました(笑)
高校の同級生たちはみんなそんな感じだったようです。

少なくとも20年前にはなかった風潮

自動車業界にいた際にも研修会社によるマナー研修を受ける機会がありました。
新卒さんたちも参加する研修だったので、私も一緒に基本的な立ち居振る舞いのレクチャーを受けました。
その時も、前職と同じように教えてもらったと記憶しています。
ウェディング業界に戻ってから仕事でご一緒したサービス(配膳)のプロたちもそういう姿勢だったし。
ということで「おなか痛いポーズ」には違和感しかありません。

憧れのあの職種からきている?

実は、サービス業でも憧れになっている職業の影響かなと思っていたのです。
この記事を書く際にその業界の大手企業サイトなどを見てみましたが、現役の人たちの姿勢はそうでもないんですよね。
主流どころが変わってしまったわけではないようです。
画像検索してみた際に、元その職業だという方のマナー講座案内に「おなか痛いポーズ」の画像があったので、ひょっとすると傍流の関係から広がったのかなぁと。

”正しい姿勢”は服装との関連も大きいはず

韓国のお辞儀が肘を張って腹部に手を当てるものだそうで、その影響だという意見もネット上で見かけるのですが、私は両国の衣裳の違いがあると思っています。
韓国の民族衣装はスカート部分が大きく広がっていますよね。
西欧のドレスも、スカート部分が広がっています。
手の置きどころはどちらもウエスト辺り、細い部分に落ち着きます。

対して、和装は下半身もストレートなシルエットです。
手は体側にまっすぐ下ろすこともできます。
なので、日本においては、ウエストに手を置く必要がない。
そこに姿勢の原点があるのではないかと考えています。

正装の手の位置を誤解したのではないか

そして混乱の原因は正装の際の手の位置ではないかと。
皇室の方々のお写真を見てもウエスト辺りにあるじゃないという意見も出てくるはず。
でも、正装の場合はバッグや扇を持っているので、当然おなかの辺りに手が置かれます。
(十二単も同様、檜扇を両手で持つので手の位置は高くなります)
時代劇で、女性が打掛等を着ている場合も、打掛を前で押さえたり、歩く際に引っ張ったりする必要があるので、手の位置がおなかの辺りになるんです。
女性の場合、何も持たないシーンがそもそも限られる(というか、ない)ため、そういった画像や映像を見て混乱し、混乱したまま広まってしまったのではないかと想像しています。

TPOに合った”正しい姿勢”に戻ろう

ウェディングドレスを着た場合は、確かにおなかの辺りに手を置くのが美しく見える姿勢です。
ブーケも持っているし、スカートも広がっていますから。
いわゆる「モデル立ち」は美しく見えやすいです。
でも、普通の服装でそういう立ち方をするのは、不自然でしかないのです。

おへそより下ならまだ、この人は手が短めなのかな?で済むのですが、最近はおへそどころかウエスト辺りに手があるではないですか。
それも、お辞儀する際にわざわざ手をヨッコラショと持ち上げていたりする。
お客様が素敵な立ち居振る舞いだなと思ってくれるならそれでもいいのでしょうが、そう思わない人が見たら、わざとらしさや知識のなさを疑わるのではないかと。
私なら、そういう質の会社なんだなと考えます。

そろそろ日本らしい立ち姿に戻ってもいいのではないでしょうか。
私たちはドレスを着ているわけではないので、おなかに手を当てる必要性はありません。
手の位置をウエストより高くするのはさぞ大変だろうと思いますしね。

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ウェディング ナビゲーター
結婚式の専門家
清水 恩

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