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写真の物語に触れる 「静岡市立美術館」
『写真をめぐる100年の物語』展を見に行きました。
場所は静岡市立美術館です。
こちらはJR静岡駅の目の前にある葵タワーの3階にあります。
また、JR静岡駅と駿府城公園を繋ぐ、呉服町商店街の入り口。
数軒隣にはPARCO。近隣には、松坂屋、伊勢丹、セノバと、静岡県中部の住民にはお馴染みの場所です。
○ 今回見た展示
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近代写真の父アルフレッド・スティーグリッツが芸術としての写真の確立に努めてから100年以上が経ちますが、写真はどのように発展し、見られ、語られてきたのでしょうか。本展では、日本の美術館で先がけて大規模な写真コレクションを築いた京都国立近代美術館の写真コレクションを中心に、19世紀末から現在に至るまでの68作家・180点余で、多様に広がる写真表現の変遷をたどります。
本展の核となるのはアメリカの写真収集家アーノルド&テミー・ギルバート夫妻が収集した「ギルバート・コレクション」です。各時代を代表する写真家の良質なプリントが含まれるこのギルバート・コレクションを基点としながら、写真が紡いできた様々なものがたり(ストーリー)を紐解いていきます。プリントされ、物質化した写真と向き合うことで、デジタル技術の普及とともに身近な存在となった「写真」の奥深さが浮かび上がってくることでしょう。
京都国立近代美術館が所蔵する写真が中心のようです。
絵画と違い歴史が浅い写真。
科学技術の発展に伴い発明されたカメラ。記録としての写真から、アートとしての写真への流れを知れる機会になりました!
特に気になった作品を紹介していきます。
(近代作品は撮影禁止のものが多かったので、古い作品が多いです。)
※ 関連記事
先日、『清里フォトアートミュージアム』に行った記事はこちらです。
○ 写真のはじまり
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いつ撮られたのか不明の写真です。
が、19世紀の建物の様子がよくわかります。セピアカラーと画質の荒さがとても雰囲気あり、物語の挿絵のようです。
W・H・フォックス・タルボット (1800〜1877)は、
イギリス人で、ケンブリッジ大学で数学、天文学、物理学、文学の優秀な成績を修め、国会議員を経験しています。
知識と教養があったからこそ、映像の固定という発明ができたのですね〜
ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット(1800-1877)は、イギリスの写真術の先駆者です。1833年、イタリアでの経験から映像を化学的に固定するアイデアを思いつき、1835年に「フォトジェニック・ドローイング」を発明。その後、最初のネガポジ法である「カロタイプ」を開発し、世界初の写真集『自然の筆』を刊行しました。
○ 絵画のように
1851年のロンドン万国博覧会でガラス板を使うコロジオン法が公開され、フランスでは歴史建築を記録する「ミッション・エリオグラフィック」が開始され、写真家が職業として活動し始めました。
英国のジュリア・マーガレット・キャメロンなど、上流階級でもアマチュア写真が普及。
1871年にはゼラチン乾板法、1888年には紙ロールフィルム用カメラ「ザ・コダック」が登場し、写真が大衆化しました。
さらに、写真の芸術性を高めるため「ピクトリアリズム」が広まり、絵画のような作品が制作されるようになりました。
だんだんと技術が開発され、その後大衆化。
芸術性を高めるため、絵画を理想とした作品つくりが広まりました。
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切り取った構図が絵画のようですね。
影による陰影が効果的です。俯瞰した視線を感じます。
ロベール・ドマシー(Robert DEMACHY)(1859-1936)は、フランスパリ郊外の裕福な家庭に生まれる。生涯定職にはつかず、写真、絵画、音楽を嗜んだそうです。
邸宅はのちにクリスチャン・ディオールがアトリエにした(今は事務所)とあるので、よほど魅力的な建物なんでしょうね〜
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女性の首から背中にかけての美しさが際立っています。ドレスとポージングも素敵。
背景の引っ掻くような技法が評価されたそうです。
確かに現実ではありえないような背景で、絵画のようです。
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アメリカのハワイ州ホノルルに生まれる。1901年写真を撮りはじめ、自然のなかに裸体の女性を配した神話的で詩的な作品を作り出す。先駆的なフェミニストでもあったブリグマンは、男性優位の社会における女性の権利と平等性を訴えた。
女性アーティストによる、女性の裸体の作品。
肉体美や性を押し出したものではなく、自然の中に存在する女性。
人工物や服がないと時代が分からないので、神秘的な印象です。
○ 写真と絵画のプロモーター
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まさに絵のような写真。
素晴らしいバランス。惹きつけられました。
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インパクトがありますね。手と目元に視線がいきます。動きのないポージングですが髪の毛には動きがあります。
○写真とアート
絵画のよう。という手法はだんだんと絵画の模倣と言われるようになり、衰退していきます。
その後は、風景をストレートに切り取った写真が増えていきます。
そして、ジャーナリズムと結びつき、社会を写すものに。
本展のチラシの写真もそうですね。
工場と児童労働の関係性を捉えた写真です。
最後は、アートになった写真。
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日本の現代芸術家。この方凄いですよね!見る度に不思議な気持ちにさせられます。情熱的。
森村泰昌(もりむら やすまさ)
1951年大阪市生まれ。大阪市在住。京都市立芸術大学美術学部卒業、専攻科修了。
1985年、ゴッホの自画像に扮するセルフポートレイト写真を制作。以降、今日に至るまで、一貫して「自画像的作品」をテーマに作品を作り続ける。
○ ミュージアムショップとカフェ
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毎回チョイスが楽しみなミュージアムショップ。
割と実用的な品揃えで、ちょっと尖った雑貨店のようです。欲しくなる。
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美術館に行くと集中するので、疲れますよね〜
余韻に浸りながらミュージアムカフェでお茶するのは至福の時。なにより子どもが疲れているので、ジュースタイム。
ピシッとした空間でいただくと気持ちがいいです。
○ おわりに
今回の展示は、写真の歴史を振り返りながらの多岐にわたるテーマ、作者、作品でした。
ざっくりとした時代の流れ、表現方法の移り変わり、ムーブメントが興味深かったです。
それから、終盤のカラー写真の登場による、空の青さは衝撃的でした。
最後までお読みいただきありがとうございます。