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ノーベル賞受賞をもたらしたニュートリノ研究施設スーパーカミオカンデに潜入

5月に訪れたばかりですが、岐阜県に再訪してきました!
何故かというと、1年に一度のスーパーカミオカンデの一般公開チケットが取れたからです〜!

え?何?という方はこちらの記事をご覧ください。

以前の記事では、ニュートリノ研究施設であるスーパーカミオカンデはこんな所だよーというのをサラッとご紹介しています。


○ ニュートリノとは?

光の次にたくさん降り注いでいる素粒子の一種です。

物質はさまざまな分子によってできています。
分子は原子の結合体です。
原子は原子核とその周りを回る電子から構成されています。
原子核は、陽子と中性子から構成されています。

そして、陽子は素粒子で構成されています。
素粒子は物質の最小単位です!(←ここ重要)
ニュートリノとは、素粒子のひとつなのです。(←ここも重要)

○ ニュートリノは観測が難しい

ニュートリノは小さくて目に見えないのですが、地球には常に降り注いでいます。
が、電荷を持っていないので、物質を通り抜けてしまいます。

ニュートリノは、+の電気もーの電気も帯びていないので、他のものとくっついたり反発したりしないため、他の物質とぶつかっても影響しません。

また非常に小さく、原子の中も通り抜けることのできる、まるで幽霊かお化けのような粒子です。

千葉大学 ハドロン宇宙国際研究センターのサイトより

そこで、山の地下に研究施設を作り観測しています。
その研究施設がスーパーカミオカンデです。


○ 年に一回だけの一般公開

スーパーカミオカンデは基本的に一般の個人は入れません。研究施設なので当然ですよね。

ですが、、年に一回だけ一般公開日があるのです!

事前に予約申し込みで、先着枠と抽選枠があります。
2024年は7月13日、14日の2日間でした。

このチケットを取ることができたんです〜!
科学に興味がある長男のために、夫が頑張って取りました。11歳の誕生日プレゼントです🎁

○ ツアーに出発!

まずは、神岡町公民館に集合。
展示物を見て、ツアーグループごとにホールで講義を受けます。

梶田先生のLEGO肖像画が展示されていました


小柴先生も。両方とも東大LEGO部の作品

50人のグループが2台のバスに分かれて出発〜!
20分くらい?走って、入り口へ到着。
車内でのボランティアガイドさんの話によると、遠くはオーストリア、国内では沖縄からの参加者がいたとのこと!わぉ!

○ 神岡鉱山入り口に到着

ここでヘルメットを被り、ひと回り小さいバスに乗り換えます。

しめ縄! 特別な場所に来たという雰囲気がプンプンします

ここから小型バスで中に入って行きます。
真っ暗です!

一直線の道のりを2km進みます

広場的な場所に到着。バスを降りて今度は歩きます。

もともと鉱山だった場所を利用して実験施設にしているため、途中までは鉱山跡探検という感じ。

天井低い!トロッコの線路もありますね


昔使っていたクレーン?


トロッコ

そんなこんなで、神岡鉱山跡地を見学させていただいて、神岡鉱業株式会社さんの説明を受けた後に突如、鉱山の販売があったり。
息子は小さい水晶を100円で買っていました🤭

キラキラしてるのが分かりますか?これは亜鉛だそうです

○ おまけで水力発電所も見学

ここは、少し時間があるので見学したい方はどうぞ。と、2分だけサーっと見たのでよく分かりませんでした💦

○ スーパーカミオカンデに向かう

また歩き始めます。雰囲気が変わってきました。今までは鉱山剥き出しだったのが、きちんと固められています。地面も平らに。
表示や配線も増え、電気も点き、だいぶ明るいです。

トンネルがモルタルで固められています
だんだんと配線が増えてきました


いよいよ!

スーパーカミオカンデの入り口前に到着。
土足禁止なので、靴を脱ぎます。

ちなみに坑道内は気温13〜15℃なので、かなり寒いです。次男は寒くて上着の上から大人のシャツを着ていま
す。


模型が展示してありました。赤い丸が今回の入り口で、中央が施設。

○ 潜入!

二重扉になっていて、外気を室内に入れないようにしています。
全員一度、緩衝帯のような部屋で待機。
その後室内へ。


おぉ〜!


濾過器


東大院生さんがレクチャーしてくれました


天井のドーム部分と、水槽内に入る時のクレーン

スーパーカミオカンデでは、大きな水タンクを設置してその中を超純水で満たしています。
水槽の壁面には、光電子増倍管という光センサーが設置されています。

スーパーカミオカンデ検出器は、5万トンの水を蓄えた、直径39.3m、高さ41.4mの円筒形水タンクと、その壁に設置された光電子増倍管と呼ばれる約1万3千本の光センサーなどから構成されています

○ ニュートリノ観測の仕組み

ニュートリノは通常物質を通り抜けてしまいますが、ごく稀に水分子にぶつかることがあります。
水分子にぶつかると、とても弱い光を発します。その光を検出するのが、ガラス電球みたい光電子倍増管です。

光電子増倍管からは、受けた光の量と光を受けた時間についての情報が得られます。それらを元に、荷電粒子のエネルギー、進行方向、位置、粒子の種類を決定します。

ちなみに、ガラスは浜松のガラス工場で職人さんによる手作業で作られています


上の図は、スーパーカミオカンデでとらえたミューオンニュートリノイベントのディスプレイです。色のついた点は光電子増倍管が受けた光の量の大きさを表しています。ミューオンが放出したチェレンコフ光が壁にリング状に投影されています。


公式サイトより転用させたいただきました。

1日に20〜30個検出されるらしいです。

と、ここで疑問が、
「ものすごい量が降り注いでいるのに、1日20〜30個は少なくない?」

と、長男に話したところ
「水分子はスカスカなんだよ〜 空間があって常に動いているから、ニュートリノは隙間を通り過ぎることの方が多いんだよー。」
と教えてくれました。
ふむふむ。すごいな〜、長男!

○ 超純水なのはなぜ?
不純派を極限まで取り除き、感度を上げている。

○ 何故山の中にあるの?
宇宙から降り注いでいる宇宙線は、ニュートリノ以外にも存在する。
邪魔な宇宙線は地中でエネルギーを失って止まるが、ニュートリノは物質に影響しないため、突き進むので、ニュートリノだけを観測しやすい。


このビニールシートの下に水タンクの蓋があるそうです

観測は24時間365日行われてきるため、水タンクの蓋が開くことはほぼ無いそうです。
お話をしてくれた東大院生さんはここに来て4年目?だけど、見たことがない。とおっしゃっていました。

○ スーパーカミオカンデの目的

スーパーカミオカンデ実験の目的のひとつは、太陽ニュートリノ、大気ニュートリノ、人工ニュートリノなどの観測を通じて、ニュートリノの性質の全容を解明することです。1998年には、大気ニュートリノの観測により、ニュートリノが飛行する間にその種類が変化する現象(ニュートリノ振動)を発見し、さらに2001年には、太陽ニュートリノの観測により、太陽ニュートリノ振動を発見しました。2011年には人工ニュートリノによって第3の振動モードも発見しました。ニュートリノの性質を解明することは、宇宙の初期に物質がどのように作られたかという謎に迫ることにつながります。

ニュートリノ振動を発見した梶田隆章先生は、素粒子理論の定説を覆し、この成果が認められて2015年のノーベル賞を受賞しました!

ニュートリノを利用した星や宇宙の観測

スーパーカミオカンデはニュートリノを使って星の内部や宇宙全体を「見る」こともできます。太陽で作られる太陽ニュートリノを観測することより、太陽内部の活動を直接知ることが可能になります。あるいは、超新星爆発からのニュートリノをとらえることにより、星の爆発過程の詳細を調べることができます。また、宇宙の始まりから起きてきた数多くの超新星爆発由来のニュートリノをとらえることによって、宇宙の歴史を探ることができます。

ニュートリノが大量に発生した方向を観測すれば、超新星爆発をとらえることが出来るそうです。

○ 科学者や政治家、著名人のメッセージ




○ まとめ

公民館で講義をしてくれた方、スーパーカミオカンデ内で説明をしてくれた方、おふたりとも研究に関わる大学院生でしたが、とても生き生きとお話をしていて、研究が楽しくて仕方がない様子が表情に現れていました。

1983年 前身のカミオカンデ建設が始まる
1987年 超新星爆発によるニュートリノ観測
1996年 スーパーカミオカンデの運転開始
1998年 ニュートリノ振動を発見
2002年 小柴昌俊 東京大学特別名誉教授がノーベル物理学賞を授与
2015年 梶田隆章先生がノーベル物理学賞を授与2020年 ハイパーカミオカンデ計画スタート

ざっと、歴史を挙げたのですが、前身のカミオカンデ建設が始まってから41年も経っていますね。

そもそも世界的には、1930年にオーストリアの物理学者がニュートリノの仮説を立てたことから始まっています。

世界中の物理学者が100年もの時を経て、研究してきたことがこうして繋がっていると思うと、、そして、まだまだ繋がっていく。

前述のスーパーカミオカンデ内で説明してくれた研究者さんに質問してみました。(無知すぎて何が分からないのか分からないので、質問がかなりザックリしてしまいました)

「人類は宇宙について何%くらい分かっているのですか?」
「宇宙の定義にもよるのですが、エネルギーに関して言えば5%くらいですね。」

うーん。果てしない道のり。。
すごい世界を覗き見た1日でした。
あまりにも遠いノーベル賞や宇宙のことがほんの少し身近に感じられるようになりました。

日帰り強行軍でグッタリでしたが、頑張って行って良かったです!
関係者の皆さまありがとうございました!

見学の終わりに記念撮影!大満足の長男


素人が学んだことを、なんとかまとめた拙い記事を最後までお読みいただきありがとうございました!
正確なことや、詳しく知りたい方は公式サイトをご覧ください。

<注釈>
撮影は、動画は禁止ですが、写真は可能でした。
公開も写真のみ可能とのことでした。

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