MEEYA NAOKI

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  • Bitter Vacation〝ユリカ〟との夏

    🔷短編恋愛小説🔷美位矢 直紀🔷 健二とユリカは長い休暇を取ってハワイに来ていた。 ワイキキ動物園。 健二は輝きを放つ一人の女性に釘付けになってしまった。 見つめられていた。 多分僕達にだけ、もの凄くスローな時間が流れていた。 揺れる筈のない心。 過る筈のない不安。 健二は確かに、何かに試されていた。

  • ぬるい恋愛✉Ⅱ #Everlasting Love

    🟥長編恋愛小説 ぬるい恋愛 完結編🟥美位矢 直紀🟥  崇高で尊い命の全てに与えられた〝愛情〟という、どんなに酷使しても壊れる事のない、しかもどんな命をも決して傷付ける事のない武器でエリカに心を射貫かれ、ぬるい恋愛の代償から救われた事を実感していた涼介の下に横浜本社勤務の辞令が届いた・・・  エリカと新たな人生を構築する決意を固めていた涼介に蘇る、今何処で何をしているのかも分からない一人の女性。  何を信じ、何を守り、向き合うべき何かに涼介はどんな形でけじめをつけるのか・・・  ぬるい恋愛 ”情熱という、理想というmelancholy”の完結編です。

  • ぬるい恋愛✉️〝情熱という、理想というmelancholy〟

    🔶長編恋愛小説🔶美位矢 直紀🔶 何の為の恋なのか? 誰の為の愛なのか? SNS文化創世の時代、恋愛に注ぐ情熱に美学や哲学を付随させ続け、時に自虐的に、時に卑怯に理想の女性を追い続ける涼介。 譲れない理想とは? 人の心に届く情熱とは? 10年前に別れた恋人への思いを引きずったまま、恋愛という人間にとって必要不可欠な領域を泳ぎ回り、しかしどんな時も自分だけ溺れない場所を選ぶ涼介の〝ぬるい恋愛〟の行方は・・・

最近の記事

  • 固定された記事

24  不細工な葛藤  【小説】

 古川純一と涼介は大学生の時に知り合っていた。  深町圭子は2002年の5月、古川純一の妻になっていた。  純一と涼介は昔から語り継がれる〝親友〟という概念を全て満たしている様な関係を今に繋げていた。  涼介は純一の二つ年上だったが、涼介はそんな事を意に介さず純一に腹を割り、敬意を払っていた。  純一は〝浜っ子〟だった。それは横浜の大学を選んだ涼介に絶大なメリットを与える事にもなっていた。  2001年の春、転勤で生活の拠点が生まれ育った小倉に戻った涼介は、年に一、二度、纏ま

    • 最終話 誓うべき誠実  【短編】

       個性豊かな賑わいがそれぞれのテーブルで華やかに溢れていた。  終わる事など有り得ない幸せだと全ての笑顔が信じていた。  友人としての〝在り来たり〟なスピーチを終えた僕は自分の席に戻っていた。  隣には会場の雰囲気に溶け込んでいないユリカが座っていた。         ◇ 「追いかけないで!!」  僕は友里香の声に動きを止められていた。友里香の声は呪文となって、魔法となって、僕の背中を捕まえていた。  決断を迫られていた。  駆け引きを始めていた。  真実を探していた。

      • 9 止められない恋    【短編】

        (ユリカは友里香をずっと見てたな・・・) (友里香もユリカをずっと見てたな・・・)  4人が顔を合わせた次の日の午後、僕は社内レストランで遅い昼食を取りながらそんな事を考えていた。 〝ブルルルルル・・・ブルルルルル・・・〟  電話は勇作だった。  僕達は一頻り昨夜の出来事を蒸し返していた。  勇作の声は弾んでいた。 「健二、スピーチ頼むな」 「しょうがねぇなぁ・・・まぁ・・・了解だな」 「招待状ポストに入れといて貰うから。いいだろ? それで」 「ああ、そりゃ全然OK

        • 8 事実の価値     【短編】

               「それじゃぁ・・・この辺あたりでいいです・・・」 (・・・婚約かぁ・・・) 「健二さん・・・ほんとにもう大丈夫ですよ」 「・・・ええ・・・そうですよね・・・」 (・・・酔いが醒めるってのは、こんな事を言うのかな・・・) 「意外に・・・粘っちゃう方・・・ですか?」 「・・・友里香さん婚約してたんですね・・・」 「えっ?・・・はい、婚約してます」 「・・・だよね・・・」 (・・・気持ち・・・覚めないで欲しいんだけど・・・な・・・) (え? 誰の?・・・友里

        • 固定された記事

        24  不細工な葛藤  【小説】

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        • Bitter Vacation〝ユリカ〟との夏
          11本
        • ぬるい恋愛✉Ⅱ #Everlasting Love
          2本
        • ぬるい恋愛✉️〝情熱という、理想というmelancholy〟
          32本

        記事

          7 理不尽な衝撃    【短編】

               「7時半か・・・」  僕は恋愛の必然を待っていた。 (・・・やっぱり無理かな・・・) (いや、必ず来る・・・)  品川プリンスホテルで開催された経済セミナーに参加した僕は、その後行われる親睦会を予定通り欠席してイーストタワーに移動し、予定には無かった諦めや自己暗示をフロントロビーの煌びやかなアトリウムで繰り返していた。 (・・・楽しちゃいけないな・・・)  ワイキキのダイナーで格好付けて申し込んだデートが、しかも最初のデートなのに仕事のついでの様にしてし

          7 理不尽な衝撃    【短編】

          6 充分な沈黙     【短編】

                二人の前にはHERMES風のデミカップに入ったエスプレッソがあった。 「すみません、言い忘れてました。春岡健二です」 「・・・私は・・・」 「長谷川ゆりかさん」 「・・・はい」 「〝ゆりか〟ってどう漢字で書くんですか?」 「友達に・・里に・・香るです・・・」 「そうだったんですね」  僕達はカラカウア通りとクヒオ通りを繋つなぐ細い通りに在るダイナーのオープンスペースに居た。  背の高いホテルに挟まれて窮屈そうに営業しているその店は僕のお気に入りだった。 「

          6 充分な沈黙     【短編】

          5 悪戯好きの神様    【短編】

                「ダイビング行っちゃうよ」 「了解」 「ね、ほんとに行かないの?」 「・・・そうだね」 「ねぇ、一緒に行こうよっ、ねっ!」 「・・・止めとくよ」 「もう・・・じゃぁ・・・帰って来たらドライブ連れてって」 「了解」 「ハワイなのに海に行こうとしないんだから」 「まだ時間たっぷりあるからさ、そのうち行くよ」      ◇ 圭子 :「ゆり、アラモアナ行くよ」 ゆりか:「止めとく」 圭子 :「明日帰っちゃうんだよ、おみやげ買っとかなくていいの?」 ゆりか:「そうだけ

          5 悪戯好きの神様    【短編】

          Ⅰ 胎動     【小説】

          ぬるい恋愛✉️Ⅱ #Everlasting Love 美位矢 直紀             ▽  祝福の宴は和やかな盛り上がりを迎えていた。  雛壇の新郎は生涯最高のほろ酔いをしていた。  艶やかな新婦は生涯最高の笑顔を見せていた。  披露宴会場から見渡せる満開の桜は陽光で煌めいていた。その美しさは窓枠を額縁に見立てた絵画のように振舞い、主役の二人に華を添えていた。 「続きまして、新郎広山俊二様の上司であります企画開発部課長代理、佐久間様のご祝辞でございます」  

          Ⅰ 胎動     【小説】

          ぬるい恋愛✉Ⅱ #Everlasting Love  

          美位矢 直紀         目次  1 胎動  2 真実  3 理想  4 霹靂  5 混沌  6 悪戯  7 激震  8 愛情  9 決断 10 永遠

          ぬるい恋愛✉Ⅱ #Everlasting Love  

          4 許せないキス     【短編】

          「・・・さっきのお店でイヤリング外したんだけど、一つ無いの」  トートバックの中を掻き回しながらユリカはエレベーターに乗り込み、まだ掻き回していた。 「〝ゆりか〟っ!」  僕達と一緒に乗り込んだ数人の女性の、少し大きめの誰かの声がホールに響いた。  僕の後ろから聞こえたその呼び声に、僕の右側に居たユリカは顔を上げ、僕はユリカから〝ゆりか〟に顔を向け、誰かが締まろうとするドアに手を掛けた。  エレベーターの中にいる10人程の人達はその女性が乗り込むのを待っていた。  見

          4 許せないキス     【短編】

          3 見つめていたい    【短編】

                「ほんとに奪うつもりなの!?」 「冗談よ、冗談!!」 「ははっ!」  3人の会話は食事を口に運ぶ事もそこそこに繋がり続けていた。  僕は静かに席を立った。 (奪う、か・・・) (今此処で振り向いたらどうなるんだろう・・・)  僕の感情はピーキーに揺れ動いていた        ◇  僕はショッピングモールを形成するブティックを右に見ながら歩いていた。  カラカウア通りは昼夜や関係なく色んな国の人達が屯ろしていた。そしてその表情にはハワイを満喫している充

          3 見つめていたい    【短編】

          2 背中合わせの真実    【短編】

          「いいよ」 「何言ってんだよ」 「だって・・・分かってたでしょ?」  ユリカは後ろに居る僕の固くなったものを握ったままだった。 「昔よくやったじゃん」 「・・・・・」  僕は首をそっと横に振りながら、ユリカの甘い笑顔からゆっくりと離れた。 「ねっ、誰?」  付き合う前から振り向かせる事が得意だったユリカは、プールの中を歩く僕を立ち止まらせた。 「誰って?」 「・・・彼女」  黒いビキニを着た女性に送っていた視線をゆっくりと僕に戻し、刺ような眼差しでユリカはそう言った。 (

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          1 僕だけの再会     【短編】

           乾いた風と強い日差しが戯れる昼下がり。  ホテルビーチコマーのプールサイド。  彩られた絵画のような景色の中でアーモンドの瞳は僕達だけだった。 「ねえっ」  上目遣いを添えてユリカはプールの中から手招きをしていた。「・・・・・」  僕は苦笑いと共に首を横に振った。 (昨日の夜あんなに汗を掻いたのに・・・) 「・・・・・」  ビーチパラソルが作る日陰の中で僕はデッキチェアに体を伸ばし、時折りユリカを穏やかに眺めていた。 (この爽やかさは日本じゃ難しいな・・・) 「・

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          28  物哀しい情熱   【小説】

           爽かなBGMが流れている店内とは丸で別世界の如く、豪雨に悲鳴を上げる街並みが窓ガラスの向こうに見えていた。  テーブルの上にはハンバーガーの包装紙やナゲット用の余ったソースがバスケットの中で賑かに重なっていた。 「・・・・・」  涼介はコーヒーを片手に荒れる街並みを眺めていた。 「・・・・・」  まゆみは雑誌に落とした瞳を時折り涼介に向けながら、涼介が創る無言の空間に幸福を感じていた。 (やばい・・・ちょっとニヤけてるかも・・・)  車の中で涼介が昼食を摂ろうと言った時、ま

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          27  呪縛との決別   【小説】

          「・・・・・」  涼介の目にはソファーに座ってテレビを見ているまゆみが映っていた。 (何時だろう・・・)  丸一日眠ってしまった様な、ちょっとぐったりとした感覚に襲われていた涼介はベッドの上で体を捩り、コントロールパネルの横に置いてあった腕時計に手を伸ばした。 (12時半か・・・)  今朝ほんの少し目覚めた時、涼介は二言三言まゆみと会話をしていた。そしてその会話の記憶はつい5分前の様に頭の隅に収納られていた。 「・・・・・」  涼介は体を捩ったまま腕時計を右腕に填め、そのまま

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          26  論う陶酔    【小説】

          「しっ・・・」  涼介は突然人差し指を口に当て、心地良さそうに喋っていたまゆみの動きを止めた。 「・・・・・」  まゆみは涼介の強い眼差しに、浮かべていた微笑みに戸惑いと翳りを加えた。 「・・・・・」  ワインで少し赤く染まっていたまゆみの頬までさっと顔を寄せた涼介は、止めた空気に余韻を混まぜた。 「・・・・・」  ソファーに浅く腰掛けていたまゆみは反射的に顔を少し後ろにずらしたが、直ぐに向き直り、涼介の圧力に負けまいと顎を引き、上目遣いに力を込めた。  涼介は芝居掛かった

          26  論う陶酔    【小説】