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適応の先 | 凡人が箱根花柳界から学んだこと#3
箱根芸者を世界へ、箱根花柳界のリタッチに挑戦するMeet Geishaの小山麻未が凡人として知ったこと、凡人なりに気づいた大切なことをちょっとずつシェアします。
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純粋なお客さんがいた。
箱根芸能組合の組合長、舘美喜子さんが
最盛期には素直に芸事を楽しんでくれるお客さんがいたが、
今は「引き換え」を求めてくると言っていた。
お客さんが芸事のみにお金を払わなくなってしまったのだ。
平成の30年を振り返ってみると、スマホやネットの普及で人々の生活は大きく変わった。消費が変わり、娯楽が変われば、その先の文化も影響を受けてしまう。
箱根芸能組合は、コンパニオンも取り入れる判断をしたり、いろんなイベントもやってきた。
変わりゆく時代の中でも、消えてなくならないように、箱根芸者を残していこうとしているのだ。
だが、今新しく応募してくるのは「コンパニオンになりたい」という女の子ばかり。
それが100粒いるとしたら、ふるいにかけて4〜5粒だけ芸者になる子が現れる。とても少ない。
今日はその数粒たちの話をシェアしたい。
30年前、組合には海外研修なるものがあったそうで、若い芸者衆も平気で海外旅行に連れていってもらっていた。
ちょっと乱暴な言い方だが、モチベーションはお金で買えた。
しかし、今はちょっと違う。
新人たちは、2〜3ヶ月の稽古を積むと、「やってみないか」と次にひかえている大きなイベントでのお披露目のチャンスを与えられる。
達成感や、やりがいを早いペースで得れるのだ。
賞賛とフィードバックを組合と置屋が、みんなで「ちょうどいいタイミングで」うまくやる。
新人たちに自分で気づかせるために、あえてお姐さんたちの「見せ場」をつくりそこで失敗と成功を体験で学ばせていく。
もちろんこの方法がすべての女の子の成長に「効く」わけではなないので
それぞれに合わせた「促進的アプローチ」をとる。
短期的な目標管理で達成感を味わせる、賞賛とフィードバック・・・
Googleに倣ってOKRでも取り入れてるのか!と思ったが、きっとそうではない。
ただ、舘さんはそういう「センス」と「判断力」があるのだ。
「これまでこうしてきたから」という手法ではなく、これまでこうしてきた「けど」どうするのかが問われているのだ。
トップダウンの古いやり方に固執せず、彼女たちも小さく、時代と人に合わせて変化し適応している。
だが、適応するだけでは残っていけない。
適応した上で、これまでの価値を残しつつ、形を変えて、価値をプラスしていかないといけない。
だから、Meet Geishaも箱根の花柳界を「リタッチ」して拡めたいと思った。
お客さんは、純粋じゃなくなったわけではない。今も純粋なままそこにいる。30年前のその人たちとは、ものの見方や捉え方が変わり、美しいと思い、感動したり、面白がるものが変わっただけだ。
純粋な人たちに純粋にみせていければいいのではないか。
粒のふるいの形を変えることなのか、粒たちの思想を変えることなのか、まだわからない。
わかっているのは、同情されて保護される状態ではなく、共感されてエールを送られる、一緒になって動いてもらい、その時代を生きる人たちが創っていく、そういう状態を目指したいということだ。