
柔らかな光の中で
朝、目が覚めて、
冷たい空気の中、
カーテンを開けた。
窓の向こうに広がる空は澄んでいて、
どこまでも高く、
静かに広がっていた。
光が部屋の中にふわりと差し込んで、
壁に淡い模様を描いていた。
その瞬間、何かが胸の中にすっと入ってきて、
言葉にならない感覚が広がった。
キッチンではお湯が沸き、
ふわりと湯気が立ち上る。
お気に入りのマグカップに注いだコーヒーは、
ほんのりとした苦味と甘さを感じさせる香り。
ひと口、口に運んでみると、
静かに心がほどけていくようだ。
窓辺に置いた小さな植物の葉が、
朝の光を浴びて揺れているのが目に入る。
何も特別なことはないのに、
その一瞬が愛おしくて、
ただじっと見つめてしまった。
散歩に出た。
冷たい風が頬をかすめた。
足元には
道端に咲く花がひっそりと揺れていて、
誰も見向きもしないその姿が
妙に印象的だった。
遠くから子どもの声が聞こえ、
家々の窓から漂う夕食の香りが
ふっと鼻をかすめた。
どれも目を引くようなものではないけれど、
何とも言えない温かさが
そこにはあった。
一日の終わり、
ふかふかの布団に体を沈めた。
いつものように読んでいた本を閉じて、
目を閉じた。
今日あったささやかな出来事が頭の中をよぎった。
特別なことは何もなかったけれど、
不思議と胸の奥がじんわりと温かかった。
いいなと思ったら応援しよう!
