第113話 異次元タイムキーパー
ツインレイとは『対の霊』。女性である私が黄泉まで潜って見えない世界で奮闘しているのと呼応して、ツインレイ男性は現実崩壊を乗り越える側を担っていると言われている。
今朝の夢は果たして、その彼が今、現実崩壊に遭遇しているというお知らせだろうか……。
どこかのフードコートのような場所で、スサナル先生が保護者のお母さんたち三人程に囲まれている。
珍しくいつもの弁が立つ姿は身を潜め(ひそめ)、どういう訳だか完全にやり込められていて、背中を丸めて座っている。
「とにかく先生は間違ってます。だっておかしいでしょ。」
それに対して反論も弁解もできずに一方的に責められて、鋭い非難を浴びている。防御のために腕を組むことすらできず、両手は腿の上にあった。
私の中に疑問が浮かぶ。
「あの先生がおかしい」って、おかしいなんてあるはずないのに。ひとまずあのお母さんたちから先生のことを離さないと。
目の前で展開するそんな様子に居ても立ってもいられずに、思わず「スサナル先生。」と声をかけた。
私に呼ばれた先生は神経を衰弱させながら、単純に呼ばれた反射で立ち上がってこちらまでやってきた。この人も、できることならあの場から、すぐにでも離れたかったのだろう。
ところが惰性でやって来ると、私と目を合わすこともなく、そのまま男子トイレへと入ってしまった。その表情は疲れ切って、もはや精気を失っていた。
呼んだら来てくれたから一緒に買い物ができると思ったのに、結局一人残されてしまった。どうしようかと迷った挙句売店をウロウロすると、目に留まったヨーグルトだかゼリーだかを買うことにした。
ところがレジの女性は、買い物にやって来た私に対して世間話が止まらない。私と歳の近い彼女は初対面だと思うのだけど、今世の時間軸のあきらのことも知っているようで、「あの子ももう高校生なんだね、大きくなったね。」と話してくれた。
そんな話は嬉しいのだけど、私は“何か”の出発時間を気にしていて、もうすぐ行かなくちゃいけないのにと、ほんのちょっとだけ気が気じゃなかった。
だけど一方では、話をしているうちに段々と、彼女は本当はこれらの世界のタイムキーパーではないかという気がしてきた。私の出発をわかっていることは勿論、世間話をしながらも、彼女は度々何かを確認すると、“起こるべき出来事が滞りなく遂行されているのか”を逐一把握しているようだった。
ここはどこなんだろう。なんとなく、普段見る夢の次元ではなく、それよりもう少し上の世界だ……。
結局レジの女性とはギリギリまでお喋りをした。その彼女にも、あきらより数個下の娘さんがいること、そのお嬢さんはいいところの学校に通っているとの話だから、もし現実世界にいるとすれば、どこかの私立中学生でもやっているのだろうか。
やがて、そろそろ時間よと言うようにようやく外へと追い出されると、私は彼女に「お話できて楽しかった、さようなら!」とお礼を言ってから小走りになった。
建物から道路へと出ると、遠くに赤いバスと青いバスの二台が並んでいて、私は迷わず奥に停まっている青いバスへと乗り込んだ。
座席は見事に満車だった。だけど後ろのほうに一か所だけ二人掛けの席がまるまる空いていて、そこには“今”、現実の私が寝ながら体に掛けている白いカバーの薄手の布団が置いてあった。
普段は朝起きたら真っ先にベッドを整えるのが日課なのに、よりによって他人が乗ってるバスの中で、私のお布団の形が畳まれもせずに“抜け殻”なことにちょっと恥ずかしさを感じながら、こっそり周りの様子を気にして見てみた。
すると、ひとつ前の二人掛けで、横になって体を小さく丸め込み、頭まですっぽり布団に包まった(くるまった)人がいることに気がついた。
憔悴しきって、現実逃避感満載な様子でスサナル先生がこんこんと眠っている。顔を出してはいないから、見た目だけだと男か女かもわからない筈なのに、これが疲れた顔をして寝ている先生だと不思議と一瞬でわかってしまう。
疲れ切って、疲れ果てて、彼は私を認識できないほどに死んでいる。
スサナル先生が深い眠りの“葛藤”の中にいることを私の意識に確認させると、定刻通りに青いバスは出発した。行き先もこれで完璧だった。
さっきのタイムキーパーが、私たちが出発したのをチェックしたことが伝わってきた。
間もなく白いお布団の中で目が覚めると、現実面を担っている先生も、もしかしたら今大変なことになっているんだろうかと想像して少しだけ怖くなった。
カーテンを開けて部屋に光を入れると、掛けていたお布団をベッドの上で整えた。
written by ひみ
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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。
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つい先日も久しぶりに、夢で異次元にいました。その時はね、街場の中華料理屋さんみたいなかんじで、私はお客さんでした。
この時のタイムキーパーさんがレジをやっていたのと同じように、そこの店員さんの男性も精神世界の何らかの役割を担っている人のようで、私のエネルギーを興味からチェックしてくれて(業務外。完全にその人の個人的興味)、「そこまでの人はそうはいないよ」って驚かれました笑
そういう一個一個を体験すると、知らない次元がありすぎる!!今この瞬間、どれほどの多次元宇宙が同時展開してるの!?私の中の意識体だけでも無限なのに!!
本当に、本来の大元の自分……オーバーセルフより遥かに一つの自分って、一体どんな頭してるんだろって果てしなく疑問になってしまう。
うーん、初めて死後の世界のことを考えて、果てしなさに飲み込まれたのって私、年長か小1だったんだけど、今、その時からなんも成長してないことを再確認させられた気分笑
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