第211話 暗闇キャンドルナイト(後編)
彼のエゴセルフ自身の気づきは続く。
現実世界に追い込まれ始めたことをトリガーに、ようやく彼の“潜在意識”も緩やかに私という人間の存在を思い出してきていた。
とはいえこの宇宙において、出来事とは必ず内側が先、外側が後。ここに来て気づき始まったとはいえ、彼の“顕在意識”が私を本当に思い出すまでは、まだしばらくかかることになる。
……
僕のことを、あれからもずっと見ていてくれたなんて!
あなたはこんなに愛が深いの?
こんなに強いの?
ずっと僕に向き合ってきたの?
ずっと僕を待っててくれたの?
僕は何も持ってなくて、自信がなくて逃げたんだ。あなたを幸せにできる自信がない。だって何でもできるあなたの前では本当に何も、持ってない……。
あなたの元に戻りたい。
けど、怖い。
僕に怒っているかもしれない。もう許してもらえないかもしれない。
それとももう、僕のことなどとっくに忘れて遠くに行ってしまったかもしれない。
「あなたが戻ってくるかもわからないけど、それでも私はあなたを想い、そうしてずっと待ってたんだよ。あなたのことを考えなかった日なんてないよ。毎日灯りを届けたよ。
私があなたを好きなのは、地位があるからじゃない。名誉があるからじゃない。だって、学校の先生だから好きになった訳じゃないよ。」
そんな言葉に驚く彼に、同時にこちらも気づきをもらいつつ更に続けて話しかける。
「あっ、そうか……。私にその考えはそもそもなかったから今気づいたけど、世の中には男の人が公務員だってことに価値を見出す女の人もいるのか。
ふふっ。私、それも興味ないな。
私が好きなのはあなたらしいあなた。一緒にいるだけで何故だか夢中で時間を忘れる。あなたと一緒にいることこそが、何より私を幸せにしてくれるの。だから戻ってきてくらたらね…………私、嬉しい。」
エネルギーを重ね合わせて、私の心に触れてもらう。
!!
こんなに愛が深いの?
こんなに自由な人が存在するの?
こんなに僕のことを思ってるの?
……ここに、居たい。
「嬉しい、大好き。私も一緒にいてほしい。
……ハイヤーセルフ!
私たちを重ねたまま、今行ける一番高いところまで連れていって!」
天体のバックアップを受けたその日、通常以上の高次の光に包まれると、彼の魂を抱きしめてその光の柱を昇っていく。集中しながらも意識の隅で、なんとヤマタ先生までしがみついてきたのを感じ取ってギョッとしながら、けれども再び彼のことを自分の中央へと寄せていく。
「スサナル先生。細胞レベル、オーラレベルでこのエネルギーを記憶して。そしてまた必ず二人でここに来ようね。きっとよ。約束よ。」
……
そろそろ夏休みが終わろうとしていた。
その日の夢では、船のような建物の中学校の中にいた。
とある役職の責任者が、職員室というぼんやりとした集合意識によって、本人の知らないところでスサナル先生へと変更される。私も集合意識の一部となって、ただそれを「ふーん、彼になったんだ。」と思って傍観している。
変更されたまではいいけど、彼が責任者となったことを本人に伝える人はいない。この私ですら教えようなどとは思っていない。
他の男の先生が、「結局この責任者って誰になったの?」と聞いてる。
すると他の先生からの、「あー、たぶんスサナル先生じゃないすか?」という面倒臭そうな返事があがる。
会議はとっくに始まっている。
後から呼び出されたスサナル先生、血の気の引いた青い顔で「すいません。」と遅刻しながら出席するも、いつの間に自分に押しつけられたのか初耳の本人がなぜそこに座っているのか、彼自身知る由もない。
悪意なき職員室の集合意識の手によって、休み明けからスサナル先生がさらに居場所を失っていくことが伝わってくると、祈ることしかできない私は心の中で彼に伝える。
絶対に待ってるから。あなたなら超えてこられるから。必ずまた、再会しようね。
written by ひみ
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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。
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「スサナル先生、細胞レベル、オーラレベルでこのエネルギーを記憶して。」
この時私は直感的に、彼にこう伝えました。
前からお伝えしている通り、エゴは自分の知らないことを理解できません。
人から聞いたりすることで、たとえ頭では“その場所”が素晴らしいとわかっていても、じゃあ実際にそこに行こうとなった時には変化を嫌って動きたがらないんです。(あ、その前段階として、そもそも聞く耳を持たないよね。)
そこで、エネルギーが高まっているこの状態を利用して、さらにエゴの性質も利用して、このように『この感覚を記憶するように』と伝えました。
エゴにとっての未知から既知へと書き換えてしまったわけです。
すると、エゴはその性質上、一度味わった世界の素晴らしさを『知っている』ので渇望します。
「ここ知ってる。良かったし、安全だった。だからこっちに行きたい。」が、明確になるの。
エゴの役割ってそれです。行きたい方向性、望みへと向かわせる力を持っているのが本来のエゴ。
てか、ツインレイが出現すること自体(あるいは「世の中にはツインレイなるものがあるらしいよ」という話を先行で聞かせること自体)、高次元がそれをエサにして試練を乗り越えさせる訳なのでね。
サイレントでひぃひぃ言いながらでも自分と向き合うのって、『彼に会いたい』というエゴを利用してるんですね。
はい。まんまと高次元に釣られている訳です笑
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←今までのお話はこちら
→第211話 アカシックから消せない傷跡
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先日の添付ですが、補足のために再掲します笑
歌詞にある「君を泣かせても」ですが、額面通りだと、ワルい男が女を泣かせる構図で終わってしまいます。
ですが裏の意味、高次元目線の魂的な意味はこのようになります。
「(真実を取り戻す道に向かうための恐怖、闇を見つめる怖さによって)君を泣かせても」となります。
だから「それは太陽がさせたこと」。鏡であり、闇を照らす太陽(ツインレイ男性)でなければ“超えさせられないこと”なんですね。
以上、補足でした。
→第207話 『波打ち際の人魚の夢』