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第130話 大いなる責任の憂鬱



 運転中、一台のバイクに抜かされた。フランス革命、ジャンヌダルクと同一視される女性を描いたドラクロワの絵画がその背中にプリントされていた。胸を露わに死屍累々を乗り越えて、民衆たちを率いている。

「フォロミーじゃん。」

 うっかり笑ってしまったけど、このシンクロに、ほんのちょっとだけ落ち着かなさを感じた。
 世の中には、二人ただ仲睦まじく“あるべき姿を見せること”が役割のツインレイだっているというのに、よりによって私とは、普通ではないサイズなのだという話だった。

 私だってもう少し、せめて“普通程度のツインレイ”だったらよかったのにな。


 昨日のセッションの終了後、宇宙子さんから“私の魂の大きさ”という事実を聞かされた。
「ひみさんは、男性原理主義や資本主義そのもの……闇のヒエラルキーの頂点を相手にしていく人ですね。」
 それにあきらに関しても、私とあの子こそ数年前に、長期入院という現実崩壊をしたという話から、「お子さんクリスタルチルドレンだと思いますよ。」と教えてもらったところだった。

 なんてこと!そんなの肩の荷が重すぎる!その役割の大きさに、気づいた時には口から自然とこんな言葉がこぼれていた。

「もうちょっとだけ寝ていたかった。覚醒なんて、したくなかった。」

 だけどそんな『未練』ですらも、丁寧に内観しなければならなかった。なぜならそこを浄化しないということは、一番大切なスサナル先生のことを、わかっていながら自らの手で闇の中へと葬ってしまうことになる。
 この声“自体”がエゴの声だと気づけてしまう自分という存在を、もはや皮肉に感じて仕方がなかった。

……

 コンビニの駐車場に車を停めると、店内に入るために口元をマスクで覆う。
 どれほど私が大きな魂だと言われようと、そんなセッションの後だからこそご飯を作る気力も無くて、一日経ってもお弁当に頼らなければならない状態にまで落ちていた。
 というかむしろ、そっちこそがいつも通りの私な気がする。こんなに心がザワザワしているのだから、ダメ人間のほうが本当の私らしいのに。

 おにぎりやらおかずやらをひと通りカゴに放り込んで、最後にお菓子コーナーへと立ち寄ると、パッケージにトカゲのキャラクターが描いてある幼児菓子が目についた。

 トカゲ。

 心の中で繋がると、マスクの中で私の舌が、ほんの少し返事をした。ぼんやりとした頭で“縁”というものを考える。

 トカゲ。私はまだ、あなたがなぜ私のところに来たのかわからないけど、きっと何か、くっついてしまった理由があったりするんだろうね。
 いつか私が死んで宇宙に帰った時には、ヤマタ先生とトカゲと三人で、地球の同窓会でもやろうね。
 今はまだ私も事情を飲み込めてなくて難しいけど、一体私にどこまでできるかわからないけど、それでも必ずあなたをちゃんと理解するから待っててね。それまで私が一緒にいるから。
 それからね、あなたをたくさん傷つけたこと、あれは本当にごめんなさい。私のことを許してね。

 そんなことを伝えると「受け取った。」とでもいうように、ゆっくり二回、瞬きを返して寄越された。


 お母さんに手を引かれた小さな子供がやってきた。「どれか一個だけだよ。」と声をかけられたのち、その子はしゃがみ込んで迷った挙句、ぴったりそのお菓子を買っていった。

 ほんのちょっとだけ、トカゲが笑ったような気がした。



written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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トカゲじゃないけど、同じキャラクターシリーズのヤマゼリー、また売ってくれないかしら笑

ええと、この時はね、本当に自分の大きさを受け入れるのが大変でした。
それこそ今なら私らしいなって思うんだけど、あらゆる小さな声を漏らさず拾えるために、それまでの人生かけて色んな劣等感を学び続けてきました。
それがここにきて、実はあなた規格外サイズですって言われてしまい、もう大変。

そしてとても後からお互い喋って判明するのは、けーこはけーこで最初から規格外であることを、嫌でも受け入れなければならない人生を送ってきたんだってことがわかりました。

私は、人より劣っているという学び。けーこは、みんなから浮いてしまう疎外感。

それがここに来て組まされている。
本当に不思議です。
思考もやってることも毎回真逆なのに、行き着く先は一緒だしね。

だからいつもfollow meeって書くんだけどね、たまにはfollow meet♾って書いておこうかな。

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←今までのお話はこちら

→第131話 お金と性


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