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第230話 100のリボンをなびかせよう
私の現実を通して彼の闇が昇華されると、次第にこんなことがわかってきた。
職員室を鏡としたスサナル先生の恐怖心。孤独を解消しようともがき、それなのに孤独という蟻地獄に堕ちていく。
『周りから人が離れていく。』
『どんどん人がいなくなる。』
少し前に、「職場はどう?」と彼に聞いてみたことがあった。すると「誰も喋らない。」という、切ない答えが返ってきていた。
誰よりも崇高だった彼の魂が今世生まれた時から引き受けた、この三次元世界の負の遺産。それによって生じた『孤独』に抵抗しようとそれらを抑え込んだ結果、やがてその偏りをカバーしようと生成された『支配欲』。
本物の彼に成り代わり、寄生に成功したそんな闇はいつしか熟成を通り越して腐敗すると、とうとう悪臭となって周囲に気づかれ始まった。
普通の人だったら見限って離れていくだけ。ツインレイ女性その人だけが、そんな闇まで愛しに潜り、唯一救い出すことができる。
「あなたに支配欲があってくれてよかったと思うの。だってもしもその闇がなければ、とっくにあなたは死んでいたでしょ。孤独と闇に押し潰されて、私と会うこともなく自己破壊して、命を落としていたでしょう。」
皮肉かもしれないけれど、彼は支配欲によって護られていたのだ。
それからさらに『支配欲そのもの』の意識まで降りていってこう伝える。
「ごめんなさい。本当は私のことをこそ、あなたは支配したかったんだよね。一番『憎悪』したい相手である私が目の前にいなかったから、だから代わりに周りへの『支配』で保ってたんだよね。
……ありがとう。
『あなた』という存在がその苦しみを引き受けてくれなかったら、“スサナル先生”は生きることすらできなかった。あなたが痛みを引き受けてくれていたから、私は彼に生きて出会うことができたの。
だから『支配』、私があなたを愛してる。『支配欲』というあなたこそ、誰よりも愛されていい存在よ。他の人がどれほどあなたを疎んじた(うとんじた)としても私があなたを守り抜く。全部のあなたを愛するって決めてるから!」
そうして彼の魂が打ち震えているのが伝わると、更に彼のエゴセルフが“顕在意識の彼”についてこんなことを教えてくれた。
「スサナルの現実が塞がって、何もかもうまくいかず『できない』って思った時に、心の中に“あなた”がいたことをようやく思い出したんだ。
決して手放してはいけない人だった。」
話を聞いて泣きそうになった。
私だけが触れられる、彼の魂の繊細な闇。
私だけが知っている、その闇が裏に持つ本当の優しさ。
意識を介して見つめ合うと、それから二人で抱きしめ合った。
……
宇宙に委ねようと思った時に『怖い』という感情が出た理由。
それは今まで、彼の『憎悪』、『支配』を無意識的に避けていたということ。私の奥底が愛した“つもり”になっていて、その実まだまだ逃げていた。
何故ならスサナル先生こそが宇宙。
本当の意味で彼という宇宙を信頼しきれていなかったということ。そして、だからこそ多く出てきた『委ねる』のサイン。
「そこを視るね。」
そう伝えると返事がかえる。
「やっとわかってくれたんだね。
ようやく気づいてくれたんだね。」
……
彼から歌が届いた。
コマーシャルなんかで聞いたことのある有名な曲。けれども明確な手掛かりがなく、探し出すのに一週間ほどかかってしまった。こんなかんじの歌だった。
「家に帰るよ。刑期は終わった。
手紙に綴った通り、いよいよ自由の身だよ。
(3年もの)長い時間が経ってしまったけど、
もし今でも僕のことを必要としているなら
目印に古い楢(なら)の木に黄色いリボンを結びつけて。」
私にはあなたが必要よ。
いつでも帰りを待っているわ。
written by ひみ
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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。
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サイレントに入ったのが一昨年の4月。なので3年ではないですし、もちろん家には古い楢の木なんかありませんが、ツインレイ男性は生まれながらにして刑務所のような環境で誤魔化し誤魔化し生きているのはその通りだと思います。
歌詞では、バスに乗って帰郷する男性が運転手さんにリボンがあるかどうか、代わりに見てくれと頼みます。
「彼女が鍵(運命)を握っている。それを自分で見るなんて耐えられそうにない。(外に出たというのに)まだ牢屋の中にいる気分だ。もしリボンが無ければバスを降りずにそのまま行くよ」、と。
そして最後はね、
「信じられない!黄色いリボンが100もある!乗客たちが大騒ぎしている。家に帰ろう!」
って、そんな歌だったの!
記憶をたぐり寄せながらいろんなCMソングを探しまくっても見つからず難航していたところ、一週間ほど経った時に「蒼井優」って聞こえて、「あー!ナレーション!」って気づきました。テレビ観ない私がギリ覚えてた笑
やっとのことで辿り着いた歌に、そんな込められた想いに触れて大号泣してしまいました。
余談。楢のはなし。
オーク(Oak)って樫だと思ってましたが、どうも日本の木に対する価値観と相容れずに安く見積もられ翻訳され、そのまま混同されて伝えられてきたようです。
日本で樫と訳されることのあるオークは、西洋においては楢。建材としても高級品で、かつシャーマンも利用する聖なる力を宿した木だそうです。
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←今までのお話はこちら
→第231話 巣離れの支度
↓Tie a Yellow Ribbon Round the Ole Oak Tree
(幸せの黄色いリボン)