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第142話 猟銃とお爺さんの部屋



 夕ご飯を食べ終えて洗い物をしている時、今日は私の内側がやけに静かだなと思った。気づいたら思考のおしゃべりが止まっていて、その代わりに脳内では、なぜだかオルゴールの子守り歌が再生されていた。

 あまりにしんとしていたので、思わず声をかけてしまった。

「『嫉妬ー』?嫉妬、いる?」

「起こさないで!」

「ああ、ごめんごめん。おやすみなさい。」

 急にみんなにアクセスできなくなったのかと思ったら、そうではなくて寝ていたらしい。うっかり声をかけて怒られてしまった。

 子供たち、前より穏やかになったなぁと思っていたら、その晩は不思議な夢を見た。

……

 大学時代の友達の家で遊んでいた。帰る時間を迎えると、そこの家の奥に向かって「お邪魔しました。」と声をかけた。
 すると何十メートルも先から「はーい。」と返事が返ってきて、だけどそれは私の母からのものだった。

 あれ?ここってうちの実家だったの?今向こうにいたのってお母さんだよね。よその家だと思っていたけどうちってこんなに大きかったの?

 よく見ると、その建物の奥にはデパートの渡り廊下のような規模の、さらに先へと続く道があり、「うちってとんでもなく大きかったんだ。」と思った。旅館みたいに馬鹿でかいし、実際従業員なのか、他の人の姿もちらほら見かけた。どうやら実家はいつの間にか、小売の自営業からホテル業へと転身していたらしい。

 隠し扉の前まで行くと、お客さんや従業員さんに見つからないように、ぱっと見は壁にしか見えない扉から自宅部分へ入っていった。
 少し階段を上がったところで、一人の従業員さんが私と隠し扉のことを見ていたのか、あとから入ってきた気配を感じた。だけど特に気にはならなかった。

「まぁいいや。」

 そんな風に思いながらずんずん上までのぼっていくと、踊り場から最上階へ向かう階段に猟銃が立てかけてあるのを発見した。

 猟銃?ああ、ここは“お爺さん”の部屋だから。

 上りきった先に見えたのは木製の観音開きの扉で、その重厚さだけで「あのお爺さんそっくりだな」と思った。固く閉まったその奥からは、威厳と風格が漂ってきていた。

 ふと気づくと、照準を定めるための緑色のレーザーが私の周りをたくさん照らしていて、「私、孫娘なのに狙われてる」と思うといきなり怖さを感じ、慌てて残りの数段をかけあがった。そうして迷い込んだのは、ショッピングモールのような建物内の店舗街。

 見上げると、大人のお姉さんたちが“自分”に優しく微笑んでくれていた。いつの間にか私自身が、小さな子供になっているようだった。


 小学校一年生の母の日に、貯金箱から出したお金を持って、近所のケーキ屋さんまで一人で買い物に行くという大冒険をしたことがある。一つ一つの値段にびっくりして、悩んだ挙句、一個百円のプリンを家族分六つ頼むことにした。学校で習った算数を思い出しながら、当時はまだ流通していた五百円札と百円玉とで支払った。
 夢の中の建物内にも、その時の冒険心を思い出すような、子供視点だと大きく映る喫茶店やお花屋さんなどが並んでいた。

 小綺麗な雑貨屋さんへと入ってみる。その店内の鏡に映っていたのは、黒髪ロングヘアの青っぽいサンドレスを着た女の子。
 お店に並んだ綺麗な小物を見て、お母さんへのお土産にしたいと、そんなことを考えている。

 だけどその途端。

「お母さん、お母さん…。」

 急にお母さんのことを思い出して、ちょっと不安になってきた。

「淋しい。」


 目が覚める直前で拾えた言葉は、彼女がぽつり呟いた『淋しい』という感情だった。

 窓を開け、空気の冷たさに身震いしながらベッドを直す。これから着替えてお弁当を作らなければならない朝に、すべての夢の内容を書き記すのはさすがに無理があった。
 忘れないように大事な部分を取り急ぎメモに残した。




written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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エグいねー。満月。
これ、19日の夜に書いてるんですが、今さっきまでけーこと通話してた中でかなりな情報が降りてきてしまったんだけど……。
記事には書けないから書かないけど、エグいね満月。 

さて。困ったことに今回のお話の真相は明日へと続くため、この不思議な世界を今日語ることはちょっとできませんので、本日は解散!

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←今までのお話はこちら

→第143話 意識体たちの日常生活

↓サイレントを乗り切る応援歌♪↓
自分の心の中にこそ、すべての答えがあるんです。
追いかけるべきは自分の内側。外側の彼じゃありませんよ。
(日本語字幕をオンにして聞いてくださいね)

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