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第18話 二柱の男神と弥栄の女神

(ふたはしらのおがみといやさかのめがみ)

↓流れにまかせて。↓


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 関西国際空港は、夏からずっとリレーしている蒸し暑さと共に私たちを迎えてくれた。
 合流した二人を新たに加え、4人でレンタカーに乗り込む。
最初こそたどたどしく始まった会話だが、そこは同じ旅に申し込んだ者、まして女同士とあって、緊張を含んだ空気はすぐに溶けてゆく。


 先ほど羽田でもしてくれたまおちゃん自身のツインレイの話や、彼女の過去のワークに参加してからツインレイに出会ったと思われるお客さんの話などを聞いては、車内はひとしきり盛り上がる。


 雄大な山々の麓、都会とはかけ離れた、新鮮且つある種神聖な空気感に徐々に呑まれ始まった頃、Tさんが私の荷物の中身に気づいた。


「ねえ、ひみさん。さっきリュック開けてた時、絵かなにか入ってた?ごめんね、ちょっと見えちゃったんだけど、かっこいいなと思って。」

「ああ、これはね。」

 少し気恥ずかしさを感じつつも、リュックを四角たらしめている物体について私は説明を始めた。


「これはねぇ、私が作った切り絵なんだ。
なぜだか今回、この二枚を持ってこなきゃいけない気がして、大荷物になることがわかってたんだけど連れてきたの。
私、今年になってからなぜかずっと切り絵を作っててね。こっちが、アマテラスの弟のスサノオ。で、こっちはタケミカヅチという剣の神様。」

 わー、見せて見せてとの声に応え、ズルズルとリュックから引っ張り出す。

 自分自身、なぜこの二柱(※)の男性神をわざわざ持ってきたのか。そこがわからないまま、だけどそれ以上にどうしても持っていきたいという直感と衝動のままに安い額に入れてお連れすることにした。
 さっきの飛行機の座席にしても、三人がけの真ん中のB列だったため、両サイドそれぞれを男性に挟まれる形になっていて、それがまさにこのスサノオとタケミカヅチに重なるように感じられて謎だった。
 一体このお二人の存在は、私にとって何なんだろう…。



 ほどなくして、本日の目的地、天河弁財天に到着した。
おそらくここに来る一時間くらい前から山の気に当てられていて、ぼんやりとしながら境内に入る。
 凛とした、それでいて優しさに溢れた濃厚な空気に、ますますボーッとしてしまう。決して眠くてそうなっているわけではないけれど、うまく頭が働かない。まおちゃんがひとつひとつ拾ったエネルギーを解説してくれているのに、結局そのほとんどが、聞いた端からすり抜けてしまった。


 弁財天という括りはまた便利と言えば便利な呼び方で、仏教で言う○○天という位の仏様でありながら、神道のお稲荷さん、稲荷神社の御祭神つまり神様として祀られてもいるために、お寺でも神社でも行く先々でお会いすることがとても多い。
 その多くはスサノオの娘のイチキシマヒメであることがほとんどだが、場所によってはウカノミタマだったりウガジンだったりダキニテンだったりと、名称も姿も、時に性別すら曖昧なことも多々ある。

 この時の私は、知識としてのイチキシマヒメを意識の一番手前に。今回のワークで繋がるセオリツヒメをさらにそこに重ねようと頭が頑張っているためか、はっきりと受け取ることがあまりできなかった。
 唯一なんとなくわかったのは、私が子供の頃から一緒にいる狐のこっこさんの気配が嬉しそうだなということ。 
元々、狐や龍は弁財天の眷属(※)として有名なのだ。


 ただ、今回の場合はそのボーッとしているのがよかったのだと思う。
ある意味でトランス状態だった私の体に、大きな括りではあるが“弁財天”というエネルギーが知らず知らずに満ちてくる。

 それは私の細胞に少しずつ蓄えられ、この後降りていった神社近くの河原において、思わぬ形で開花することになった。




※二柱…ふたはしら。神道の神様の数え方は、一人二人ではなく、ひとはしら、ふたはしら、みはしら…。とはいえ、数が多いと私もなんと読むのかわかりません。。

※眷属…けんぞく。「お使い」と紹介されることがほとんどだと思いますが、ひみ的解釈の眷属神とは受付係というとわかりやすいのかなと思っています。
知らない会社の社長さんを訪ねた時、受付の方が取り次いでくれることがあると思います。次元に差がある時、眷属神が間に入ってくれることでやりとりがスムーズにいくことがある、そんなイメージです。



written by ひみ


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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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 実はこの旅の途中も、何度も行く先々でヤマトタケルの名前を目にしているの。
まあ元々そういう土地ではあるんだけど、「気づく」ということはひとつの導きの印でもあります。

 で、はい!ひみのまめちしき!(笑)
武蔵という地名は、一説にはヤマトタケルの武器庫、つまり武器の蔵から来てるという説があるんです。
ヤマトタケルは本当に日本の広い範囲を移動したので、あちこちに彼由来の地名が残っているんだけど(そもそも日本武尊と書きますし)、彼が関東を訪れてなかったら、スカイツリーの高さも634メートルではなかったかもしれません。
…というおはなしでした。

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