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第180話 封印された浦島太郎


「浦島太郎をちゃんと知らなくちゃ。」

 鶴の肉体を纏ったスサナル先生とチャクラのまぐわいを持った朝、直感的にそう思った私は早速調べてみることにした。

 思えばもう五年も前。
私自身のツインレイの旅のスタートとなった玉置神社の山頂で、姿の見えない子供が歌う童謡を耳にしたその時からずっと、浦島太郎という存在が心の隅で気になっていた。


 そもそも浦島太郎とは、古事記におけるヒコホホデミがそのモデルだと言われている。ヒコホホデミとは、山での狩りに長けた山幸彦のこと。
 ある時彼は兄である海幸彦と、試しにお互いの狩りの道具を交換してみるも、全く魚が獲れないどころか大切な兄の釣り道具を海へと無くしてしまう。それを探して海底に入り、そこで出会ったのがトヨタマビメ。
 のちにこれが、浦島太郎と竜宮城の乙姫様の物語として室町あたりから語られるようになるのだが、現在一般的に知られている昔話にはなんと続きがあったのだ。

 原作となる御伽草子(おとぎぞうし)によると、竜宮城で愛しい乙姫と共に時間を過ごした浦島太郎はある時、残してきた両親を憂い陸の世界へと帰っていく。しかし地上の時は過ぎ去り、帰ってきたと思われた故郷は遥か未来の世界だった。
 そうして悲嘆に暮れたのち、持たされていた玉手箱を開けると彼は老人の姿になり、その後さらに老人から鶴へと姿を変えると蓬莱山(ほうらいさん)へと飛んでいった。
 時を同じくして乙姫もまた亀の姿へと戻り、鶴となった浦島太郎と蓬莱山で再会すると、二人はいつまでも幸せに暮らした。

 なるほどだから、浦島太郎ってお話としてこんなに中途半端だったんだ。
 これってツインレイの世界そのもの。だから魂を奴隷化しておきたい旧世界の意識からしたら、結果的に半端だろうと物語の最後のシーンは秘匿し封印しておきたかったってことなんだ……。

 つまりこういうことだった。
『古い世界』で出会った二人はいずれ統合を夢見つつも、特に男性側の潜在的な恐怖が浮かび上がってきたタイミングでサイレントへと突入する。
「両親を心配させているから故郷に帰る」という名目の元、彼が下した選択は『彼女という“真実”から逃げて、古い三次元現実世界にしがみつくこと』。

 しかしその彼女を欠いた現実で、いくらもがいてみても彼にとっての世界とは崩壊の道を辿っており、頑張ったところで立ち行かない。駄目な自分の心の闇を直視したくなくて、だからこそ両親の庇護という三次元へと戻った筈なのに、待っていたのはさらなる孤独。
 彼女のことなど忘れようと、もがいて足掻いて上手く回らず、そうなってようやく乙姫という唯一無二の大切な人を心の奥に思い出す。

 手渡された玉手箱を、ツインレイである女性から「決して開けてはいけない」と言われたのは、ツインレイ男性が現実崩壊をその手で終えるまでは帰ってくるなという深い愛そのもの。
 だから男性は、老人になる……三次元的、社会的な死と共に訪れるアセンションを受け入れられるまでに自己成長したことが自分自身でわかってから、最終試練としての玉手箱を『自ら開けることができた』のだ。

 鶴と亀が統べた。
鶴亀(つるかめ)とは鶴亀(つるぎ)。
玉手箱とは勾玉のメタファー。

 そこまで分かるとさらなる不思議を思い出し、この世界というパズルの緻密さに畏敬の念を抱かざるを得なかった。
 『玉木神社』の『玉石社』にかつて私が納めたのもまた『剣』。そしてその『山』の頂で聴いた、『海』のうた。

 乙姫の気持ちが私にリンクして涙が出てくる。「決してこの玉手箱を開けないでください」と彼女が言った理由とは、世間がこの話に無理矢理こじつけようとしている教訓などでも何でもなくて、『他人の尺度に揺るがない“自分の芯”を取り戻して』と願う“真実の彼”に対する切実な想い。
 であるからこそ、乙姫自身、酷い贈り物を持たせた女性などと他人勝手に評価されようとも意に介してなどいなかった。 

「あの人にだけ、私の真意が伝わりさえすればそれでいい。本意に気づけぬ者たちからいくら誤解されようと、どう思われようとも構わない。」

 彼らには、揺るがぬ愛を成就するだけの強くしなやかな芯があった。『浦島太郎の昔話』とは宇宙が私たちにもたらした、ツインレイという真実の二人の物語だったのだ。




(参考)
第22話 『蒼き山と碧き海』

第172話 『蠱惑』


written by ひみ

⭐︎⭐︎⭐︎

実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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♪つーるとかーめが統べたー。
鶴を鳳凰、亀を玄武とした時、鳳凰は南に当たり、玄武は北に当たります。性質としては火と水。
南にはセブンシスターズ(プレアデス)が輝き、北には北斗七星が輝いています。
普段からこんなことばっかり考えています笑

ええと、浦島太郎って絵本とかだと素朴な印象なんですが、私、「ほんとか?」って思ってます。

ぜひ22話と併せて読んでいただきたいと思うのですが、ヒコホホデミの両親とはあの天孫である邇邇芸(ニニギ)と木花咲耶姫。父はアマテラスの孫だし、母は山の神である大山祇(オオヤマヅミ)の娘。超エリートなんですよ。
子供にいじめられたとされる亀も、父は海神(ワタツミ)。箱入りのお姫様。古事記だと、身籠った豊玉姫は亀ではなく龍の姿にかえってからヒコホホデミの子を出産したとされています。

……となると、彼、浦島くんが思い出したふるさとの両親って?
浦島太郎とは神話をモデルにした人間であったとしても鶴になり得るポテンシャルなのだから、とはいえ何百年後であっても同じく人間設定のご両親も本当はご存命かもしれない笑


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←今までのお話はこちら

→第181話 太陽の双子の使い

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