第43話 複雑な交点
「ひみ今日ひまー?どこかランチ行かない?」
相変わらず、朝っぱらからけーこが電話をかけてくる。一人の時間をこよなく愛する私なのだけど、前々からこの人にだけは少し弱く、どうしたものか、結局押し切られてしまうところがあった。
しばらく距離を置いた後の再びの交流でも、以前と変わらないミカエルいじりや話を真剣に聞いてくれないことなどによって、彼女を面倒臭く感じてしまう自分がいるのは変わらなかった。
傍目から見ているあきらから、「嫌なら一緒にいなきゃいいのに。」との至極真っ当な意見を食らう。
この子から見て、他のママ友たちといる時の私はもっと楽しそうに見えるらしく、それに比べるとけーこに付き合う私は病みそうなほどで、無理して一緒にいる意味があるのかと、あきらの目には映ったらしい。
そんな助言にもかかわらず、それでも時々彼女と遊びに出かけていった。家を出てしまえば何だかんだ楽しくなって、帰り際には、お喋りの時間がまだ足りないとすら思ってしまうのだ。
多分、世の中の人間関係なんてものは、程度の差こそあれみんなこんなものだろう。
改めてどこか大層な所に行くというわけではない。今日であれば、ショッピングモールでランチをしてから百均に少し寄り、最後はドラッグストアで日用品と食材の買い足しをしてから車で送って解散となった。
その時によって行き先は、ホームセンターだったり古本屋さんだったりと無難なもので、せいぜい変わったお出かけといっても、家で生き物を複数飼っている彼女に合わせ、爬虫類カフェなどその程度だった。
私たちはこの時はまだ、地図的にも狭い生活圏内をほとんど出ることなく、また同様にスピリチュアル的な意味合いでも、とても狭い世界の中に住んでいた。
「……それで余計にスサナル先生のことが、ずっと気になっちゃうんだよね。」
運転しながら助手席のけーこに秘めた想いを打ち明ける。
「かっこいいの?」
「うん。かっこいい。
まぁ客観的にはわからないよ。あきらに言わせると、ただのおじさんなんだって。」
「ふーん、まぁ中1からしたらね。
ねぇそんなことよりプリンスー!あー、私は今、キャーってなるほどプリンスなの。」
私の話にあっという間に興味を失ったけーこは、最近オンラインゲームで知り合ったというハンドルネーム“プリンス”氏に、いかに夢中かを話し出した。その上その彼だけでは飽き足らず、駅前の整体院にいたとかいう若い整体師さんについても、何がかっこよかったのかなども滔々(とうとう)と話し出す始末だった。
自分でも、良くも悪くも苦笑いだった。
「まったくこの人の奔放さは」と、縛られない彼女を羨ましくも思ったし、もう少しくらいは私の話も真剣に聞いてほしいと悲しくもなった。
「ひみ、今度ひみがよかったらさあ、うちの母親に会ってくれない?」
「?」
「いや、私さ、今まであんまり自分の友達を親に会わせたことなくて、だからひみのこと連れて行ったら母親が喜ぶかもと思ってさ。」
「……うん、いいよ。うん。」
ちょっと前までは、私と一緒で自分の母親への悪口が止まらず「許せない」と言っていたけーこなのに、いつの間にか母という存在を許容できてしまっている彼女に少し、腹が立った。
一緒になって、お互いの親への文句を言い合っては二人ですっきりしていたのに、最近ではなんだか急に、自分の狭量さを見せつけられた気分になる。
あきらの言葉を思い出し、自己嫌悪にどっと疲れを感じながら帰宅すると、やっと一人になれた解放感と共に、重たい荷物を台所の床へと置いた。
written by ひみ
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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。
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このころのけーこは、早く使命を果たしなさいと言ってくる天界にあっかんべーして3次元世界を堪能しまくっていたので、けーこんちのリビングの時計は常に5分遅れてた。
時が進んでほしくない!って。
帰りたくない抵抗がすごかったんだよ。
今、時計はそこまで遅れてないらしい。
一方私。昔からプレアデス時代が忘れられず、早くアセンションしたくて生き急ぐあまり、時計は常に5分進んでた。
マジでプレアデスに帰りたいbotだった。
ここ一年くらいは、時計は2分進んでる状態をキープしてます笑
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