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第75話 スサナルの正体


年明け早々、二日連続でヤマタ先生に会ってしまった。何度挨拶をされても無視を決め込んでいるのにもかかわらず、めげずに彼は不快な声で「こんにちは」と声をかけてくる。相変わらずのきつい香水の匂いが尾をひいて、纏わりついてくるようで喉が痛くなる。

ベッドに入ってからも、昼間に会ってしまったことから余計に生き霊の意識が絡んで、まだ目を閉じただけだというのに廊下で待ち伏せされているような嫌な感覚に陥った。

「助けて!」
どうしようもなく気分が悪く、気づくと心の中でスサナル先生を呼んでいた。

先生助けて!今またあいつがやって来てるの。
先生、私を守りに来て!

そうしてやって来てくれた彼は、けれども私の期待に応えてくれることはなかった。ヤマタ先生をやっつけるどころか追い払うことすらしてくれず、そもそも彼らはお互いのことすら認識していないようだった。
薄っすらと、この問題は彼を呼んでも解決できず、「私自身にかかっているのかも」と気づいてしまって軽く絶望的になる。するとまるで「その通りだ」とでもいうように、“気づき”と同時にヤマタ先生は空間から消えていった。

学校の長い廊下に二人きりで残された。
そこで唐突に思いつくと、少し緊張しながらスサナル先生に近づいた。慎重に彼の右手を取って、私の胸の真ん中へと誘導する。そのままぐっと力を込めて体内の中心部まで導くと、ちょうど肋骨と背骨の真ん中あたりで垂直に伸びる一本の剣(つるぎ)を掴ませて、体の外へと取り出してもらった。

「この鞘は、この前の開校記念日に行った鹿島神宮で、オオクニヌシ様からいただいたものです。境内の大黒社でお会いして、持たせてもらったんです。」

鞘をいただいた経緯を必死にに説明すると、それだけで気が抜けて“眠り”に落ちてしまいそうになって、慌てて意識を集中させる。ところがすぐに、記憶の欠落に気がついた。

あれ、どうしてだろう。鞘の説明ばかりしていて肝心の剣について何ひとつ話せてない。それどころかあの人って誰だっけ。
何で?いただいた神様って誰?大事な人のはずなのに名前が出てこない。

ただただ剣を持たされて、どこか上の空の彼を前に、焦りにも似た感覚の中で必死に意識を集中させた。

ああ、よかった!素戔嗚尊だ!……これ、この剣をスサノオからいただいたって、先生に伝えていいものなのかな。

やっとのことで“名前”を取り戻すと、日が差している窓を見上げてスサノオその人にお伺いを立てる。「構わないよ。」との返事を受けて、再び彼に説明を続けた。

「それから中の剣は、同じくその日にスサノオノミコト様からいただいたものなんです。」

言うのと同時にスサナル先生の目の輝きが強力に増して、剣への関心が一気に高まったのがわかった。それまで霞のように輪郭がぼやけていた彼に、今は命が宿ったような存在感がある。

ーーこれはとてもしっくりくる。まるで最初から僕の物だったように、手に馴染む剣だ。

心の中で、そう彼が思っていることが伝わってきた。するとその途端、閃きと共に不思議な光景が広がった。

タ ケ ハ ヤ ス サ ノ オ ノ ミ コ ト

名前を織り成す文字の列が端からぶわっと宙に舞うと、その中にいくつかキラキラと、光っているものが見つかった。閃きが、目の前で確信へと変わった。浮かび上がった文字を繋ぐと、なんと空中で、彼の本名が輝いていた。

あなたは……スサノオだったの?

ビジョンの中の彼は、恭しく両手で剣を掲げると、こちらに優しく微笑んでからフッと姿を消した。

始まりを意味する「1」が揃った1月11日。
満月の晩の出来事だった。


 


written by ひみ

⭐︎⭐︎⭐︎

実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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出たわね、自分じゃ取れない剣シリーズ(多分けーこにしか伝わらないやつ笑)

それから、“意識”とはある意味“性質”のようなもの。
当たり前だけど、スサナル先生=神話のスサノオの生まれ変わりとかではありません。
彼とスサノオは確かにラップはしてるけど、彼は彼、スサノオはスサノオ。
だから例えばスサノオとホムダワケも一緒だけど別の方。
彼はスサノオ意識を纏ってるし、私もミカエルを纏ってはいる。でも、そこ決してイコールではないの。
(なんだよこの禅問答)

結局、神々が肉体次元のやり直し(過去の書き換え)をするのには、私たち人間に重なるのが一番効率がいいんだろうね。
先日、「あなた方のお陰で私達の世界も軽くなってきました」って神社に言われたの。
私の小説を読んでくれることによってみなさんの意識が変わり、それによって彼らの世界も軽くなって好循環になって、彼らからあなたがたへの還元も回っていくんだってさ。


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