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第108話 欲望の餌食



 このころ、気道を通して奥から奥から“呼気”が止まらなくなっていた。初めは胸の真ん中からポコポコと脈打ち始まったそれは、今や気管という味方をつけて、ほぼすっかり開通していた。

 人体としておかしな話ではあるけれど、日中起きてる間の殆ど、吸う息よりも、吐く息のほうが比率として多かった。7対3ぐらいか、下手したらそれ以上。長く息を吐き出したあと、ほんの一瞬吸い込むと、再び呼気を吐き出し続けた。
 私の身体の内側には、間違いなく低層四次元(※)と繋がる場所、繋がれる場所があると確信した。そしてそこに溜まった闇が、呼気を通して抜けていく。

 それに伴う肉体的な大変さも、それなりに無くはなかった。なにせ、朝“意識”が目覚めるのと共にそれは始まり、夜眠りに就くまで色んな闇が呼気に混じって昇っていく。
“意識を向ける”とはよく言ったもので、自家用車以外で外出している間には、「他人の目が気になる」という意識のおかげで辛うじて呼気はおさまっていた。

 記憶だったり感情だったり、私の内側にあった闇が効率よく抜け出し始まった確信を得たのとちょうど同じころ、ネットに驚きのニュースが飛び込んできた。


 先に断っておくと、今現在の私が知覚する限り、ここに書く当時のそのニュースとは“とある余波”の氷山の一角。“その彼”が局所的に闇に喰われて一番矢面に立っただけで、その時そこまで深さのない多くの闇も、人知れずあちこちで同時に噴出していた。

 梅雨真っ只中、トイレ不倫という単語が世間を駆け巡った。私はテレビは見ないけど、おそらくワイドショーでは連日そればかりだったのではないだろうか。
 そしてその数日後、ツインレイサイト運営者のブログによって、男性の闇の遠隔浄化と、今回のニュースが絡んでいるということがわかった。

 それを読んで、とても衝撃だったというのに、最初はまるで他人事(ひとごと)のような驚き方をしてしまった。咀嚼するまで少し要した。
 ……つまりあの時他の参加者の方と共に戦った大きな龍の姿をしたものとは、前もってその日の昼間のうちにズルズルと引っ張り出してきた、男性の闇という集合意識そのものだったということだ。

 当時の彼女たちの霊視をベースに、現在の私の感覚を併せて少し書いてみたい。


 まず“闇”は、先にその人に美味しい思いをたくさんさせる。手っ取り早く、お金、女、ステータスなど。
 その人の埋まらない心に向けて、本来の実力以上の力を与え、“味”と“飢え”とを覚えさせる。それによって生じた渇望という悪循環に、適度にエサを与えてあげれば、やがては手を黒く染めることに何の抵抗も抱かなくなる。
 そうして闇は肥えさせて、一番高い所まで上げておいてから、一気に奈落に突き落とすのだ。
 なぜなら普通に落とすより、一度持ち上げてから落とすほうが、遥かにエネルギーを吸い尽くすことができるから。

 そしてその闇自体には、これだと断定できる“顔”がない。特定の人物を指すのではなく、仮面を着けた集団心理。

 詰まるところ私たちは、軸を他人に明け渡した者たちによって担がれ、それから闇へと葬られる。そして、その集団に与する(くみする)のも落とされるのも、そのどちらもが“自分”なのだ。 
 闇においても“自分”こそが、ひとつなるものであり、尚且つすべてなるものなのだ。

 当時、断片的とはいえそんな『仕組み』を垣間見て、背筋にゾワッとしたものを感じた。
 それと同時に、今回顕在意識の私が申し込んでいないのにもかかわらず『場』を“実体験”し、これらを最後まで見届けさせられた意味。

「本来の、あるべき自分の姿を思い出しなさい。」

 ハイヤーセルフから、そう強く、言われている気がした。




※四次元……解釈は人によると思います。
私たちのハイヤーセルフによると、ツインレイ統合がしっかり根づいてからが五次元。
それより下は螺旋状(層)に四次元。そういう意味で、神々でも高次四次元体。黒龍の姿の闇は、低次四次元。
この話の時の意味合いとしては、「自己の闇の部分」のことです。そしてそれが保持されているレコードがあって、そこにダイレクトにアクセスできるという意味です。

(関連)
『闇堕ちしたもう一人の教師』


written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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アクシデントもりもり笑

ここに色々書いてましたが、気が向いたら解説書きまーす

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←今までのお話はこちら

→第109話 聖母の手

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