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第107話 蠢く
(うごめく)
彼女たちが浄化のために用意していたエネルギー場とは、明かりひとつない真っ黒い空間に浮かぶ、ごく薄手の円筒を縦に起こしたもの。例えていうなら、さつまいもの天ぷらを立てたような形状のものだった。大きさは観覧車くらいだろうか。
そのお芋の皮の部分。円の外側を、さっきからずっと別の私……ライトボディーの光の私がくるくると何周も回っているのを、こちら側の私が眺めている。
そしてそのもう一人の自分はというと、私が寝るよりだいぶ前から入り口を探し続けていたようで、「入れない、入れない……。」といった必死の意識が伝わってくる。
しかし一瞬だけフッと眠りに傾いたのち、向こうの私が無事に中へと入れたことが伝わった。
おそらくだけど、“彼女”がどうやってそこに入れたのか、あるいは誰に入れてもらったのか、その状況を高次元は“私”に対して伏せておきたかったのだろうと思う。
そして昼寝の間中、そんな、重力を感じない意識の世界とは反対に、寝ている肉体は寒さと倦怠感とで重苦しくて仕方がなかった。
何度も何度も、目覚めてしまいそうなほどの肉体感覚を振り切って、眠ることへと焦点を合わせて潜りに行く。
やがて私が目にしたものは……。
どこまでも広がる地上の星空のような夜景の上に大きな闇が覆い被さり、その一か所だけが、星空に切り込む漆黒だった。わずかに体を丸めた、表情の読めない黒龍がじーっと動かず佇んでいる。既に観念しているのか、それ自体に感情らしき感情が見当たらない。私はその真っ黒い龍を、さらにその遥か上から見つめていた。
かつての不夜城の主(あるじ)とは、龍の姿をしてはいるけど、おそらく龍ではないだろう。何とも言えないエネルギーの集合体である“それ”は、関東地方を飲み込むほどの大きさだった。
……
その後、夕方のアラームで無理矢理体を起こすと、まだ明るい空にカーテンを閉めてから、未だ朦朧としている頭でなんとかその日一日を終えた。
尚も早めに就寝すると、六月に真冬の羽毛布団を引っ張り出しているのは私くらいだろうなと自虐気味になりながら、繰り返す悪寒の中を長いこと眠った。
たくさんの夢を見て、たくさんのスサナル先生の嫉妬に気づく。
中学校の校長先生になぜだか甘えている私を、スサナル先生が見ている。
あきらと仲良く大笑いしている私を、スサナル先生が見ている。
旦那と共に家に入っていく私を、スサナル先生が見ている。
どの夢でも、彼はギリギリ私の視界に入る距離からじっとこちらに視線を向けていた。かといってじゃあ近寄ってきたり、混じったりするかというと、決してそういう訳でもなかった。
執念の裏返しとも言えるほどの、私への嫉妬心。身体がまだガタガタと震える中、気づけば朝の九時近かった。ボヤけた点と点だけなのに、不思議と彼のことだからこそ、何もかもがわかってしまった。
中学校ではよく、私と校長先生とが談笑していたこと。それからあきらを守るためなら、私が学校とも闘えるということ。そして、旦那という他の男性と暮らしていたということ……。
そういうことだったのか……。
PTAのバスツアーに校長先生が同行することは当然職員なら知っていることで、だからあの朝スサナル先生が私を無視したのは、抑えられない嫉妬によるもの。
それから卒業遠足では、あきらが帰ってきたことによって、私たちだけの空間が壊れたあの瞬間。その一瞬で先生の心の中では嫉妬が渦巻き、それ故急に、ピシャッと冷たく私を避ける(よける)しかなかったのだ。
そういう一つ一つ、表立って外に曝け(さらけ)出すことが一切できなかった彼の闇は溜まりに溜まった末、卒業式の朝、あんな形で反撃に出た。例え先生の顕在意識では何ひとつ自覚がなくても、彼の魂の痛みが現実世界にあの状況を顕現させた。
人の“想い”とは、良くも悪くも必ずどこかで具現化するものなのだ。
私たちは魂の深い部分から、お互いに嫉妬し合い、お互いに傷つけ合ってきた。それを想うと心が痛んだ。
統合前のツインレイの気持ちが反対に働くなんて言われているのは、もしかしたらそれはごく表面的にしか見えていない現象のことで、ツインレイとは内側では、同じ闇を抱えている者同士なのかもしれないと、ちょっぴりそんな風に思った。
(参考)
第66話 いざ鎌倉
第79話 異世界の日
第84話 嫉妬
written by ひみ
⭐︎⭐︎⭐︎
実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。
⭐︎⭐︎⭐︎
さてさて。
これを書いているのは13日の22時過ぎですので、まだヒーリング前になります。
…ってことで。ここ数日、いや数週間、本当にいっそがしかったんですよ!長時間内観のためにリビングの椅子に張り付けで!あとは得意の昼寝とね笑
今回のヒーリング、エントリーと共にエネルギー調整が為されると書きましたが、次から次から色んな気づきがやってきて、なんていうの?例えるなら、残った闇への挨拶回りでもさせられているみたいでした。愛おしい!
ツインレイって改めて、不思議で奇跡で最高の存在なのだと思わせてもらえた時間でした。
そしてもうしばらくの間、小説のほうも内観ターンではありますが、変態(メタモルフォーゼのほうってことにして!)ひみらしく、いろんな事件が起こります。
ツインの道は、マジ一日にして統合せず!
私目線の闇の直視の仕方がみなさんの参考になっているといいのですが、今日の小説の後半では、相手を「知る」ことが相手と自分への「赦し」につながるのだとわかっていただけると嬉しいです。
一歩一歩ね。
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