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第62話 豊穣の女神


秋が過ぎ冬が過ぎ、再び春になった。

春休み中、埼玉に住む友人のつきちゃんからの誘いを受けて、湘南新宿ラインに揺られて大宮まで遊びに行った。まだ3月なのに初夏のような暖かさで、街歩きには気持ちがよかった。それでもさすがに日傘までは早すぎると思っていたけど、街中でちらほらとさしている人を見かける度に、持ってこなかったことを少しだけ後悔した。

駅ビルでのランチを終えて東口のロータリーを抜けると、そのまましばらくまっすぐ歩く。もう少しでほころんできそうな桜の下までやって来ると、二人並んでその交差点を左に折れた。
その道もすでに参道の途中となっていて、長い全体の真ん中ほどに位置していたが、それでも楼門も本殿もずっと先だった。これからまだ、約1キロほど木のトンネルの下を歩き続けることになる。のんびりとした散策につきちゃんとのお喋りも弾んだが、自然と浮き足だってしまう理由は実はもっと他にあった。

何度か足を運んだことがあるけど、ここは何回来てもドキドキする。この方にお会いする時は季節を問わず、上も下も紺色の服を着たくなるのはなぜだろう。
武蔵国一之宮、大宮氷川神社。スサノオノミコトが御坐す(おわします)。

「お側に参りました。」

鳥居をくぐり境内に入ってからはもちろん、長い参道の時からもすでにスサノオの気は感じていたのだけど、本殿にご挨拶をした時に出迎えてくれたのは、スサノオの大事な人であるクシナダヒメだった。オロチ退治の伝説で、スサノオの妻となり大切に愛された出雲の女性はこの日、私に赤い珠を授けてくれた。
とても柔らかく繊細な優しさを感じるクシナダは、控えめながらあたたかく私を見守ってくれていて、なんだか懐かしい親しみを感じた。そしてまた、「何があっても大丈夫だから」と私のすべてを包んでくれているようだった。
そんなクシナダからの、野の花のような微笑みが嬉しかった。

彼女の包容力の源泉を辿ると、それは彼女がスサノオに愛されていることから来ているのだろうと想像がついた。オロチから助け出したクシナダのことを、スサノオが八重の垣根で守ろうとしたように、彼女もまたスサノオを心から信頼し、そしてそれと同じように私のことも守ろうと想ってくれていた。その連鎖の心のあたたかさに感化され、私からも彼女に対し、親愛の想いが湧いていた。

……


3年生になったあきらの担任は二年連続でしまTだった。悲しいけれどまた今年も、スサナル学級にはなれなかった。
けれどもそれよりも事件だったのが、あのヤマタ先生が、なんと学級唯一の副担任になってしまったことだった。これは彼の執念の勝ちなのか、私には絶望しか道はないのだろうか。

そして新年度の変化はもう一つ。
春休みにしまTからかかってきた電話によって、最終学年の今年一年、PTAの成人委員を引き受けることになってしまった。

入学時、どうせ順番でやるのなら早いうちに終わらせたほうがいいからと、一年生の欄に丸印をつけて提出していた私のPTA希望カードは、どうやら知らぬ間に紛失と発見の憂き目に遭っていたらしい。そこから二年の時を経て、今年になって、お鉢が回ってきてしまった。

クシナダからの赤い珠はどこにいったのだろう。またも波乱のようにしか見えない幕開け。
だけどもう、自分を信じて進むしかなかった。



written by ひみ

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実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

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今月は、本当にエネルギーを上から下からすべて引っ掻き回されてるかんじだけど、明日の満月と23日の秋分を控え、今さらにさらにやばいよね。
私もけーこも、絶賛アンカー解体中!
みんな飛ばされないようにね。

私はそもそもインドアなんで、あきらの送り迎えがないとずっと家にいたりするんだけど、だからこそなんか、生首だけジェットコースターに乗ってる感じ(この説明じゃわからんよね笑)。そして調整の昼寝ばかり。
私、昼寝であってもおやすみマスクして寝るんだけど、こないだ起きてから私のエゴセルフが
「寝るつもりは、なかったんや…」って笑かしてきた。マスクまでしてどの口が!?
(いや、笑かそうとしたわけじゃないことはちゃんとわかってる。)けど、私のエゴちゃん最高だわ笑

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今までのお話はこちら

番外編 スサナルとあきら2はこちら

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