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ベルリン帰国

ベルリンに帰ってきて1週間が経ちました。

キプロス-ドイツ間は現在渡航制限が解除されている為に、キプロス出国時もドイツ入国時にも何のコントロールもありませんでした。私の場合ドイツの定住ビザもあるので、あっけないくらいのスムーズさで入国を済ませたわけですが、一応PCR検査証も持参していたのですが、この提出もなければ、体温検査もありませんでした。唯一あったのは、ラルナカ空港への立ち入りの際にマスクの着用が義務付けられているだけです。ベルリン到着後もマスク着用で公共機関利用可能です。

感染者数、重篤患者数だけをみてもキプロスの方が圧倒的に少ないので、むしろベルリンに帰ってくることの方がリスクは高かったのだけれど、率直な感想は「ベルリンの方がコロナ対策にイージー」です。

ドイツ政府は1.5メートルのソーシャルディスタンスを取るように定めていますが、カフェのテラス席や公園の芝生なんかは太陽の陽を浴びて寛ぐ人々でひしめき合っています。観光地のブランデンブルグ門やアレクサンダー広場にもツーリストがあふれ、修学旅行の学生の団体客もいました。個人的には多少のリスクを背負いつつも経済を回すことにも必然性があると思っているので、この風景を見て少し安堵したくらいです。しかし人が密集する地下鉄やバスではマスクの着用は義務付けられているのですが、それを怠り喋っている人を眺めると、教養のない人や無責任な人に辟易してしまうのも事実です。

経済を回すことの重要さは、長かったロックダウンで嫌と言うほど味わったはずですが、ドイツ政府がとった市民への補償がとても迅速で安定したものだった為に、年に一回はロックダウンして欲しいなんて言う輩もいて呆れてしまいます。特にベルリンでは収入が少なくても何とか生きていける、そんなライフスタイルが若いベルリナー(ベルリン人)の根底にあるので、コロナ・パンデミックを経て、労働者階級と企業家、事業主との間の労働価値基準の乖離がより一層開いてしまうのではないかと想像しています。

しかし当然のように振り当てられた生活保障は結局税金から振り当てられているわけで、そのようなサイクルがいつまでも続くはずはありません。収入が少なくても何とかなれた時代の終焉は、ベルリンという街の気質を変えてしまうことにつながるのかも知れない。その曖昧さやイージーさがもたらした自由思想は確かにあるのだ。それは確かにこの街の魅力であったはずだ。

コロナ・パンデミックはベルリンという街も変えてしまうんだろうか。

そんなことを考えながら、第二の故郷の空を見上げている。

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