ドイツの起業助成金にDanke_

ドイツの起業助成金にダンケ! フリーランスのための起業準備その2

前回、フリーランスのための起業準備その1でご紹介した、ドイツの失業手当の話の続きです。起業・独立の気持ちが固まったら、起業助成金の申請にチャレンジしてみましょう!

こんにちは!ドイツでフリーランス生活をスタートさせたMeegmiこと高橋萌です。

ドイツで約10年勤めた会社を辞めて、フリーライター&エディターとして起業。学びと反省の多かったこの半年を振り返りながら、ドイツでの起業に必要な情報をまとめていきます。
このnoteが、ドイツで起業しようと今まさに奮闘中の友人たち、いずれは海外でビジネスをしてみたいと考えている皆さんの背中をそっと押すものとなりますように!

ドイツの起業助成金がありがたすぎる!

ドイツで起業する人にとって、一番ポピュラーな助成金が、「Existenzgründerzuschuss」または「Gründungszuschuss」と呼ばれる、労働局が給付する起業助成金です。

ドイツ在住の日本人で失業手当1(Arbeitslosengeld 1)の受給資格がある人は、起業助成金の申請資格があるケースも多いので、ぜひ検討してみましょう!

起業助成金の内容:いくら助成してもらえるの?

①最初の6ヶ月間は、失業手当1(手取り月収の60%-67%)の金額+300ユーロ
②その後の9ヶ月間は、300ユーロ
③助成金をもらっている期間の収入に制限はない(課税される)

①+②=15ヶ月間、助成金を受け取ることができます。

わお!失業保険よりも300ユーロ多くもらえるぞ!
と喜ぶのは、ちょっとお待ちください。

失業手当を受給している間、健康保険と年金保険は労働局が払ってくれているのですが、起業助成金に移行すると健康保険も年金も自己負担することになります。
この300ユーロは、保険関連の支払いに当てることを想定していて、実際ほぼ同額が保険料として飛んで行きます。

③助成金をもらっている期間の収入に制限がない

失業手当の場合は、週に15時間、月収165ユーロ以内が失業者として認められる労働時間と収入で、失業手当として受け取る金額は非課税です。
一方の起業助成金は、いくらでも稼いでOKという状況になりますが、もちろん、収入については課税されます。税金については、事業規模や職種によっても違ってくるので、ビジネスプラン作成の際に税理士など専門家とよく話し合っておく必要があります。

起業助成金の申請条件:誰が申請できる?

①失業手当1の受給資格がある人
②失業手当1の受給期間が150日以上残っている人
③実現可能なビジネスプランを提示できる人

①失業手当1の受給資格がある人

前回のおさらいとなりますが、ドイツで失業手当1の受給資格があるのは、原則としてドイツで直近24ヶ月の内に12ヶ月以上、働いていた人=失業保険を払っていた人です。

起業助成金を申請するには、まずは失業者となって労働局に失業保険1の手続きをする必要があります。

②失業手当1の受給期間が150日以上残っている人

失業保険を満期までもらって、それから起業助成金に切り替える、ということはできません。リミットは、失業手当の受給期間が終了する150日前!です。約5ヶ月前ですね。この150日前までに、起業準備を整え、起業助成金の申請に必要な書類を全てそろえる必要があります。

起業を考えている場合は、いち早く労働局の担当者に相談しましょう!

③実現可能なビジネスプランを提示

ビジネスプラン無くして、起業の準備は始まりませんし、実現可能性の高いビジネスプラン無くして、助成金は獲得できません。

実際に、ビジネスプランという形でアイデアをまとめ、プライベートとビジネスにおける出入金の詳細を1ユーロ単位で書き出すことは、起業の第一段階としてとても大切な作業!やっておいて良かった。。。

そのビジネスプランが机上の空論ではなく、実現可能であると第三者に認めてもらった上で、労働局に起業助成金の申請をします。

起業助成金の申請に必要な書類は?

●ビジネスの概要(具体的なビジネス案と詳細、市場・競合分析、価格設定など)
●履歴書
●資本要件と資金調達計画(Kapitalbedarfs- und Finanzierungsplan)
●3年分の売上高および収益予測(Umsatz- und Rentabilitätsvorschau)
●第三者(労働局が認める機関)による、ビジネスの実現可能性についての見解
●独立・起業する分野における知識と経験を証明する書類(資格、職務経験)
●事業担当局(Gewerbeamt)での事業登録書類。フリーランスの場合は税務担当局(Finanzamt)での税番号取得を証明する書類
●起業セミナー、起業コーチングに参加したことを証明する書類
*その他、事業内容や個人の状況に合わせて、追加の書類の提出が求められることもあります。

起業セミナーは週末のコースもありますが、初めての起業の場合はマンツーマンの起業コーチングを受けることをお勧めします。起業に必要なこれらの受講料についても、労働局が支援してくれるので(クーポンを発行)、費用はゼロ。

もちろん、税理士や弁護士へ個別に相談する場合の相談料は、個人で負担します。

説得力と実現可能性のあるビジネスプランの作成、起業セミナーなどへの参加、役所や保険会社とのやりとりなど、いろいろ準備に時間が必要なので、上記の書類(全てドイツ語)の準備に少なくとも2〜3ヶ月は必要だと見ていたほうが良いと思います。

店舗や資金調達、従業員が必要な事業形態では準備により時間が掛かりますし、未経験分野への進出の際には、どの要件を満たすべきかを労働局の担当者に忘れずにご確認ください(未経験分野の場合、ビジネスプランだけでは実現可能性が高いとは認められないケースもあります)!

企業助成金の申請準備は大変だけど、実際に起業するなら必要な書類ばかり。これを乗り越えずして、起業の道は開かない!と気合いを入れて準備を進めました。この制度を利用できると知らなかったら、「独立・起業」はまだ夢のままだったかも・・・。

ドイツの労働局の担当職員さんの対応にも、いつも勇気付けられました。失業して手当をもらうって、ちょっと後ろめたい気持ちにもなるのですが、「新しいキャリア、より良いキャリアを目指す人を応援するのが僕たちの仕事」と、サポートしてくれました。

起業コーチングで出会った先生、税理士さん、私より先に起業していた先輩フリーランサーの皆さんにも協力いただいて、「人の力を借りる」というビジネスの極意の一つを学ばせていただいた気持ちになりました。







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