鍼灸治療における好転反応について
鍼灸治療の後に、「気分が悪い」「体がだるい」 「下痢をした」などの症状が出ることがあります。
初めて鍼治療を受けられた方や、病後、疲労が強い時などにに多く起きる症状です。
不快な症状に加えて、「せっかく治療を受けたのに悪くなった」「鍼灸が合わないの?」と、不安に思うかもしれませんが、これは副作用ではなく『瞑眩(めんげん)反応』(=好転反応)と言い、身体が変わる前に起きる、一時的に病状が悪くなったように感じる反応です。
好転反応(瞑眩反応)とは
・好転反応とは、施術を受けた後に体が変わる反応として、一時的に体調が悪化したように感じる反応です。瞑眩(めんげん)症状とも呼ばれます。
・身体が健康を取り戻す過程で起こります。
好転反応の症状には
痛みやかゆみ
だるさ
発熱
眠気
吐き気
濃い色の尿
下痢、嘔吐
発疹、吹き出物
ツボや筋肉の刺激で、血行(東洋医学では気・血・水)が良くなり、新陳代謝が活発になります。体内に溜まっていた老廃物などが一気に血液に戻り、排出するために全身を流れていくときに起きる、言わば『デトックス』状態とも言われています。
例えるならば、一見綺麗に見える水の底には、実はゴミが溜まっていて、それを掘り起こしてかき混ぜて、流している状態。体の中をゴミ(本当は排出されなくてはいけない疲労物質や老廃物など)が流れている状態です。
考えるだけで不調になりそうですね…でも、綺麗にお掃除したあとの水はサラサラ本当に綺麗になります。
これが、治療→好転反応→スッキリ!のイメージです。
どうして起きるの?
・鍼灸治療は、本来サラサラと流れている血液の流れが滞って、水たまりの様に淀んでいる場所や、硬くなって血流の悪くなった筋肉にアプローチする手技です。淀みを流す作業も、固まった筋肉が動き出す動作も、体にとっては、負担の掛かる大仕事。
・運動と同じように、筋肉を収縮ささせて、ポンプのように血液を流していきます。良くない場所には、一気に血液が集まって、ケガをしたときのような炎症と同じような状態に。
・筋肉に微細な傷を付けることにより、それを修復しようと血液(白血球などの免疫細胞)が集まり、細胞を作り直します。(イメージは、ケガをしたあと、カサブタの下に出来る新しいお肌)美容鍼の効果もそのメカニズム
好転反応はいつまで続く?
・瞑眩症状は一過性で、水分を沢山摂って老廃物を排出し、ゆっくり安静に過ごしていれば、通常は1~2日で治まる。
・その後に症状の改善や、スッキリ感
・長い期間続く(3日以上など)ケースは少ない
※もし鍼治療による好転反応がおさまらない場合は、遠慮なくお電話でご相談ください。
好転反応が出た場合の対策・過ごし方
受けた当日の過ごし方を意識すると、好転反応対処だけではなく、治療効果も高めます。
①水(お白湯、常温)を多めに飲む
・水やカフェインを含まないお茶をを飲むと、老廃物の排出を促すので、鍼の効果が高まりやすくなるとともに、発熱やめまい、だるさといった好転反応も和らぐ
・コーヒーなどのカフェインを含む飲み物は、水分だけを先に排出してしまうので、また老廃物が体内に残ってしまう
②十分に睡眠とる
睡眠で心身が休まり、新陳代謝が良くなり、翌朝以降に鍼の効果が出やすくなる
※眠れない場合も、横になり、目を閉じてできるだけリラックスしてみてください
③「飲酒」や「長風呂」『激しい運動』はNG
・身体に負担がかかるので鍼の効果が軽減したり、好転反応が強くなったりする。
・せっかく、全身に流れ始めた血液が、お酒の分解や、筋肉修復のために肝臓で新たな仕事が増えてしまうと、鍼灸の十分な効果を発揮出来ず、むしろ余計な仕事を増やして負担が掛かっててしまう。
鍼治療後に見られる好転反応には、さまざまな出方があります。以下で症状別に解説いたします。
代表的な好転反応について
痛みが増す
血流が良くなり、一過性に炎症反応の様な状態になる現象で、強いコリや、長期にわたって痛みを我慢していた方に起こりやすいです。
めまいや吐き気
血液の巡りが良くなることで起こる現象ですが、「体質」や体調、施術時の刺激量も関係してきます。もし、めまいや吐き気を催したら無理はせず、横になって休んでください。
また、極度の空腹や睡眠不足、体調不良の場合、貧血のようにクラクラすることがありますが、鍼灸治療には、血圧や血糖値を下げる作用があるために一時的に起こる症状でもあります。
急激な眠気
鍼の刺激によって自律神経に作用し、身体がリラックスすることによって起こる現象です。(休息時に働く副交感神経が一気に優位になるため)
普段から疲れが溜まっている方や、寝不足の日が続くという方は、ストレスフルな生活をしている方、鍼治療後に眠くなる可能性が高いです。
10分だけでも良いので仮眠することをおすすめします。
また、車で治療院を訪れる場合、帰りの運転中に眠くなる可能性があるので注意してください。
鍼治療後に「夜眠れない」ケースもある
鍼治療を受けた日の夜に、眠れなくなる方もいます。やはり自律神経が整う過程で起こる現象です。(活動時に働く交感神経が一気に優位になるため)
もし眠れない場合は、横になって目を閉じてリラックスすることを心がけましょう。また、軽いストレッチを行うこともおすすめです。
眠れないと不安になるのも無理はありませんが、「スマホを長時間眺める」「お酒を飲む」など、休息を妨げる行動はできるだけ避けてください。
発熱・頭痛
発熱や頭痛など、風邪に似た反応が現れるケースもあります。一過性に突然血流が良くなることによる症状で、長い間、痛みを我慢していた方や血の巡りが悪くなっていた方に見られやすいです。
一時的な症状とはいえ、もし発熱や頭痛が辛い場合は薬を服用しましょう。加えて十分な水分補給を心がけてください。
だるさ
鍼灸鍼治療後に筋肉が緩むことで、心地よい脱力感にとどまらず、不快なだるさを感じる方もいます。体力や筋肉量、コリや老廃物の滞りの多さなど、個人差があり、同じ人でもその日の体調や疲労度、緊張度などで、出方は変わります。予定のある日の施術は避けるか、鍼を打つ本数や刺激量などで、多少の調整は出来るので、当日や翌日の予定のある場合は、施術前にお伝えください。
もし、だるさがひどい場合は、シャワーを浴びたり、首や脇、モモの付け根などを氷で冷やしてみてください。
下痢
鍼の刺激によって排泄機能が活発になり、下痢になる方も多いです。
他には「尿の色が変わる」「生理時の出血量が増える」というケースも存在します。
お辛い症状で驚くかと思いますが、滞っていた老廃物などが体から排出されている反応なので、お白湯やカフェインの入っていないお茶、経口補水液などをゆっくりとりながら、慌てず様子をみましょう。
ちなみに鍼治療の最中に強い尿意や便意を催すケースも少なくありません。これも良い反応ですので、お気になさらず施術者に伝えて我慢しないでください
発疹・ニキビが増える
鍼治療を受けた後に、一時的に発疹が増えるケースもあります。
潜んでいた老廃物などが体外に出ようとして、ニキビや一過性にシミが濃くなったようにも見えることがあります。
前述した排泄機能が活発化することが理由です。
とはいえ、発疹もニキビも数日で消えるケースがほとんどなので、安心してください。
ココカラでいただいている同意書
ココカラでは、鍼灸治療を初めてお受けいただく前に、必ず好転反応と、その後の過ごし方についてご説明をし、ご理解いただき同意書のご署名を必ず行っております。以下、同意書と同様の内容を記載致しますので、ご確認ください。
・施術直後~翌日以降に、好転反応として倦怠感、発熱、眠気、気分悪化、めまい、下痢、しびれなどの全身症状や、局所性の炎症反応が出現する場合があります。体の変化を示す反応で一過性に起こりうる正常な反応です。
・皮膚の状態や筋肉の緊張により微量の出血、皮下の内出血、火傷、灸痕、水泡などが出る場合があります。
・施術中に体調不良になった場合、その時点で施術を中止し、体調が回復した後でも施術の再開はいたしません。実際に施術を行った時間相当の料金のお支払をお願いしております。
・施術当日は、アルコール、カフェインの摂取をお控えいただき、動物性脂肪、添加物を多く含む食品もお避けください。入浴は、シャワーのみか、42℃前後の湯舟にさっと浸かる程度をお勧め致します。
その他
副作用や瞑眩ではありませんが、治療により今まで感じなかった痛みやコリを感じやすくなった、と言う方が稀にいらっしゃいます。それは、今まで存在はしていたが感じなかっただけ(痛みやコリを感じる受容器が麻痺状態だったため)で、鍼灸で刺激したことで、感覚が回復して感じることが出来るようになった(麻痺状態だった受容器が正常に働きだした)と考えられています。
上記を参考にしていただくとともに、施術後に、気になることがございましたが、お気軽にご連絡ご相談くださいませ。