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出産前夜

出産前夜の気持ちを書き出してみる。

お腹の中の赤ちゃんと離れるのがさみしい。
帝王切開痛いの、いや。
母乳あげたりちゃんと生かしていけるんだろうか、不安。
これから先、長い将来、ちゃんと育てていけるんだろうか、不安。

突然、涙が出てくる。

夕飯を食べても、
「あぁ、お腹のこの子とご飯を食べるのも最後かぁ…」
と思って泣く。 

産まれてくるところを想像して、泣く。

なんだかわからないけど、泣く。

きっとこれは、ホルモンのせい!
明日になったら産まれた喜びでいっぱになっている…はず。

でも。

「お腹の赤ちゃんと離れるのがさみしい。」

これは、やっぱり、長年の想いが詰まってるからなんじゃないかな、と思う。

十数年、待っていた。
その間に、色んな感情があった。

後から結婚した人たちが、子どもを授かっていく。
子どもができにくいと話していた友人も、子どもを授かった。
ショッピングモールへ行けば、親子連れも妊婦さんもたくさん。
持病の治療で行く産婦人科には、妊婦さんがいて。

子どもを授かった人に、心からおめでとうが言えない。
それどころか、おめでとうと言わなければならない、ということに、半日経って気づいたり。
そんな自分が嫌になったりもした。
なんで私だけ…。
こんなに子どもはたくさんいるのに。

子どもは親を選んでくるという言葉も、嫌い。
選ばれてないという事実は、辛い。

子どものことで夫婦喧嘩もたくさんしたし、離婚の危機もあった。
というか、離婚届は書いた。

そんな長い月日があったから、私は、やっぱり、妊婦さん、マタニティという時間に、強く強く憧れがあったんだと思う。

妊娠はゴールではなく、スタート。
赤ちゃんを、一人の人間を育てていくことが子どもを授かるということの本質であって、マタニティ期間はそのほんの少しの助走期間。

わかってる。わかってるけど…

やっぱり、自分が妊婦である、という時間は、夢のように幸せだった。
夢のように、幸せな時間。
できることなら手放したくないと思ってしまう。 

もちろん、頭では、いつまでも妊婦ではいられない、ということはわかっている。
産まれてきたら絶対に可愛いこともわかってる。
きっと、今のさみしかった気持ちなんて忘れちゃうほど、目まぐるしい毎日が待っている。

でも、予定帝王切開で1ヶ月近くマタニティ期間か短いこともあって、やっぱり、さみしい。
この気持ちを、なかったことにはしたくない。

命を授かったと知ったときの喜び。
健診の度に、心臓が動いていてほっとした気持ち。
転院に転院を重ねた不安な日々。
初めての胎動。
少しずつ膨らんでいくお腹。
エコーで見るヒトの形をした我が子。
指がある、背骨がある、当たり前のことに感動した日。
いつの間にかうつ伏せができない体。
胃が押されて食べたいのに食べられないもどかしさ。
ゆっくりしか歩けない。
食べたいものが食べられない。
病院から安静と言われて家でじっとする日々。
帝王切開と言われて、自然分娩できないことに諦めのつかない気持ち。
お風呂で歌い、絵本を読んで、たくさん話しかけた日々。
寝ても朝は腰が痛くなってすっきりしない。
揺れに耐えてお腹に負荷がかからないように気をつけて乗った電車。
たくさんの人に撫でてもらったお腹。
太い針での自己血貯血。
夫と二人、胎動を見て元気すぎる様子に笑った日。

あなたと一緒の時間は、私の人生の中で、一番幸せな時間でした。
ありがとう。

そして。
明日からは、一番幸せな時間が更新されていきます。
きっと、いつか振り返ってみたら、妊娠生活よりも忙しくて騒がしくて大変でめちゃめちゃで、でも、いつを切り取ったら一番になるのかわからないほど、幸せな時間が増えていきます。

だいすきだよ、今も、これからも。
私のもとに来てくれて、ありがとう。

母になるまで、あと1日。

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