にっぽんSAKE紀行 #312 平戸 飛鸞
今回の目的地は長崎県平戸(ひらど)です。前日から日本は大寒波に襲われ、予定していたフライトは前の晩から天候調査が入ってしまいました。果たして辿り着くのかのかどうか、不安な夜を過ごして空港に向かいます。幸いなことに羽田までの電車とバスは通常運行です。空港に着く頃になってようやくフライトは通常運航と決まりました。
いよいよ出発です。飛行機から見る地上は一面の雪景色、長崎の田んぼや畑も雪に覆われて真っ白です。飛行機は定刻に雪かきの終わった長崎空港に着陸しました。
ジャンボタクシーの予約時間に余裕があるので、空港のレストランで朝ごはんと思ったら、なんと言うことでしょう。レストランが開くのはほとんど10時以降で早朝は閉まっています。仕方ないので、セブンイレブンでおにぎりでも買おうと思ったら、おにぎりやサンドイッチの棚は空っぽ。。多分交通の影響で入荷がないのでしょう。唯一朝ごはんの代わりになりそうなアメリカンドックを買って腹ごしらえです。
ジャンボタクシーに乗ったら、運転手さんから今日は雪のために高速道路が不通になっているので一般道を走ります。20分ぐらい遅れる見込みですと言われました。。どうしよう佐世保でのバスの乗り換えは20分位の余裕しかなく、もし遅れたら平戸での行動時間がぐっと減ってしまいます。ひょっとすると佐世保から先の道路状況はもっと悪いかもしれません。不安な気持ちでタクシーに揺られていくと、不思議なことに一般道を制限時速を守って走ったのに、高速道路経由の予定時刻と同じ時間に佐世保駅に到着しました。ラッキーです。
佐世保駅のバスセンターからのバスは通常運行と観光案内所で確認して貰いました。佐世保は以前いちどだけ来たことがありますが、バスでの移動は初めてです。バスセンターで平戸までの往復切符を買ってバスに乗り込みます。
バスに揺られること約1時間半、平戸桟橋口終点に到着しました。途中の平戸大橋(全長665メートルの赤い吊り橋)の入り口には種田山頭火の日記からとった「平戸は日本の公園である」の碑が立っていました。バス停前からは、港をはさんで、平戸城が見えます。早速、観光センターで電動サポート自転車を借りて、街中を移動します。めちゃ便利。自転車なので雨だと使えないという、ちょっとしたリスクはありますけど、大いに利用したいですね。
自転車をこいで森酒蔵場について、Twitterで連絡をとっていた深海さんに面会。ちょうど店先にいらっしゃった社長さんともお話をすることができました。森酒造場ではかつて豊年と言うお酒と飛鸞を作っていたそうですが、今は銘柄を飛鸞一本に絞ってお酒作りをしているそうです。蔵で売っているお酒は飛鸞の蔵元限定酒のみ、他のお酒は特約店での販売だそうです。東京ではどこで売っていますかと聞いたらわかりませんと言うことでしたけども、帰ってから以前浅草橋のSAKE STREETで買っていたことに気が付きました。森酒造場ではその蔵元限定酒、梅酒と同じく蔵で作っている麦焼酎のカップ酒を買ってこれで312軒目を達成しました。
遅いお昼はちゃんぽんの一楽さんで、ガイドブックに載っていたあご(飛び魚)ちゃんぽんを頼みます。おおこれはすごい!大盛りあご出汁ちゃんぽんにあごのすり身の天ぷら(さつま揚げのようなもの)が乗っかっています。これはうまい! どこかで見つけたら買って食べたい味ですね。ちゃんぽん自体も豚バラ肉をはじめ、具たくさんでとても美味しくいただくことができました。
次は丘の上にある平戸ザビエル記念教会を目指して坂道を上って行きます。短距離ですけども、急な坂道なので電動アシストにして良かったと思いました。丘の上に聳える教会、立派ですね。教会の麓にはルルドの洞窟(の模型)が作られていました。
次は松浦(まつら)史料博物館です。ここは平戸大名の松浦家の末裔が明治26年に建てた私邸だったそうです。小さいながらも立派なコレクションですね。天保2年に丹波篠山のお姫様が松浦家にお輿入れした時の乗り物(籠)はその中の白眉と言えるでしょう。あいにくガラスに反射してうまく写真が撮れませんでした。こういうときのために偏光フィルターを買ってあるのに、持ってこないと言うのは準備が悪いですね(反省)。
松浦史料博物館と入場券がセットになっている昔の倉庫を模して作った平戸オランダ商館に来ました。1609年に平戸に設置され、1941年に長崎出島に移転するまで、日本のオランダ貿易の中心だったところです。元の建物はキリスト禁教を命じた徳川幕府が、建物の正面にある西暦(キリストの誕生年を起源にしている)に難癖をつけて破壊したそうです。方広寺の鐘とおんなじですね。。。
平戸の締めくくりは平戸海上ホテルにある海中温泉。温泉の湯船の周りに水槽があって、海で泳ぐ魚を見ながらお風呂に入れます。半日の旅の疲れを癒して、帰り道の英気を養いました。
平戸のお土産は、カスドース。カステラに卵黄を絡めて沸騰した糖蜜に浸してグラニュー糖をまぶしたと、聞くだけでも甘いお菓子です。日本三大甘いお菓子(長崎の桃カステラ、福岡の鶏卵素麺)の一つといえましょう(めづさ基準)。
今回は雪の影響を受けて、松浦鉄道やJR大浦線に乗ることはできませんでしたが、またの機会にチャレンジしたいと思いました。