カナブンのアクセント問題を新明解で解明?
カナブンの呼び方は、
カ
ナ
ブン
か? それとも
ナ ブ ン
カ
か?
約1年前に書いた記事の続編です!
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意外なアクセス状況
noteを始めて約1年半。
これまでに書いた記事の「アクセス状況」が意外な結果になっている。
全体的に数が小さいのは気にしないとして、全期間のビュー数での圧倒的1位が
「カナブン」のイントネーションはどうにも受け入れ難い
という記事。
たぶん、「関西」、「イントネーション」、「カナブン」などのキーワードで検索する人が意外と多いんじゃないかなと思う。
この記事では、関東が長かった私にとっては
カ
ナ
ブン
だし、京都出身の夫にとっては
ナ ブ ン
カ
だし、地方によってちがうのね〜…というふわっとした感じで終わっていた。
『新明解国語辞典』の魅力
そんなときに読んだのが、数学専門の国語教師オニギリさんのこちらの記事。
辞書を読んで文章力アップ?ということで、オニギリさんが『新明解国語辞典』第四版を読破。この独特な辞典を読んでいくうちにどんどん疑問が生まれて、それらを追究していく様子がものすごくおもしろい!
『新明解国語辞典』第四版については、少し前に読んだ翻訳家の東江一紀さんのエッセイ『ねみみにみみず』でも、べた褒めされてた。
すごい語釈が随所に出てくるとか、多くのファンがいるとか。そして、新明解から【恋愛】や【凡人】、【俗人】などの語釈が引用されていて、これがあまりに鋭くて、グサグサ刺さる。
このエッセイを読んだとき、ウチにある国語辞典はなんだったっけ?と確認したら、これがまさしく『新明解国語辞典』(三省堂)第四版(小型版)だった!
この数か月のあいだに、『新明解国語辞典』の凄さについて かなりの熱量で書かれたものを2つも読んだもんだから、
「新明解ってすごい!!」
となり、私も新明解をもっと活用したい!と思ったのだった。
『新明解国語辞典』で調べてみる
で、
新明解すごいな〜
…と、『新明解国語辞典』をパラパラ眺めたりして楽しんでいたところ、各見出し語のすぐ下に、丸付き数字が記載されてることに気がついた。
どうやらこれは、アクセント記号らしい。巻末にある[アクセントの型一覧]と照らし合わせると、それぞれの語のアクセントがわかるようになっている!
これは!!
カナブンのアクセントを調べられる!
さっそく調べてみた。
私の持ってる新明解に載っていた【かなぶん】のアクセントは、全部で3パターン。
《1つ目》
カ
ナ ブ ン
《2つ目》
ナ
カ ブ ン
《3つ目》
ナ ブ ン
カ
・・・おやおやおや?
私が主張していた
カ
ナ
ブン
がない。
どうやら、アクセントの強さ(高さ)はどれも2段階で示されてるみたい。
私の呼び方は1音目の「カ」にアクセントがあるので《1つ目》に相当。
夫のは《3つ目》。
なので新明解によれば、私の呼び方も夫の呼び方もアリで、さらに別のバージョンまであることがわかった。
イントネーションかアクセントか
ところで前回の記事では、カナブンの「イントネーション」としていた。
【カナブン】と発音するときの音の高低のちがいが気になったから「イントネーション」としたと思うんだけど、【カナブン】など単語レベルの発音には「アクセント」とするのが適切みたい。
新明解やネットで調べると、「イントネーション」は文を話すときの調子であって、単語の強く(高く)発音するところは「アクセント」とある。
さらには英語は強弱アクセントだけど、日本語は高低アクセントだとか。
アクセントもずいぶんと奥が深そうだ。
『アクセント辞典』で調べてみる
「アクセント」という言葉に気づいたところで、アクセント辞典というのがあるんでない?と思い至り、さっそく図書館で調べてみた。
『NHK日本語発音アクセント新辞典』(2016年出版)に載っていたのは、
カ
ナ ブ ン
のみ。
だいぶ古いけど1985年版の『日本語 発音アクセント辞典』(NHK編)でも調べてみると、一番に書かれていたのが、
カ
ナ ブ ン
次に書かれていたのが、
ナ
カ ブ ン
夫の呼び方は載ってなかった。
まとめ
新しい版のアクセント辞典には
カ
ナ ブ ン
しか載っていなかった。
『新明解国語辞典』第四版でも古い版のアクセント辞典でも
カ
ナ ブ ン
が一番に書かれてた。
・・・とすると、やっぱり標準的な呼び方は、
カ
ナ ブ ン
ということで、いいんじゃなかろうか。
・・・ちなみに、普段使ってるオンラインサービスのジャパンナレッジでも【かなぶん】を調べてみると、小学館の『日本国語大辞典』ではカナブンの標準アクセントは[カ][ナ]となっていたり、『日本語方言大辞典』にカナブンの方言が山ほど載ってたり、『デジタル大辞典』にカナブンの別名として【かなぶんぶん】が載ってたり(※カナブンブンは、新明解やその他の辞書にも載ってた)、なんかもう膨大な情報が出てきて処理しきれなくなってきた。
まとめのまとめとしては、いろいろ調べた結果、カナブンの標準的な呼び方はたしかにあるかもしれない。けれど、いろんな呼び方、いろんなアクセントがあるほうが楽しいし、わざわざ標準的な呼び方に統一しなくてもいいんじゃないかね…というスタンスで締めくくりたい。
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ちなみのちなみに、カナブン以外によく揉めるのが、ポテチのアクセント。
これは辞典には載ってないなぁ…。