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カナブンのアクセント問題を新明解で解明?

カナブンの呼び方は、



  ナ
    ブン

か? それとも

  ナ ブ ン

か? 
約1年前に書いた記事の続編です!

***



意外なアクセス状況

noteを始めて約1年半。
これまでに書いた記事の「アクセス状況」が意外な結果になっている。

アクセス状況(全期間)

全体的に数が小さいのは気にしないとして、全期間のビュー数での圧倒的1位が
「カナブン」のイントネーションはどうにも受け入れ難い
という記事。

たぶん、「関西」、「イントネーション」、「カナブン」などのキーワードで検索する人が意外と多いんじゃないかなと思う。

この記事では、関東が長かった私にとっては


  ナ
    ブン

だし、京都出身の夫にとっては

  ナ ブ ン

だし、地方によってちがうのね〜…というふわっとした感じで終わっていた。

『新明解国語辞典』の魅力

そんなときに読んだのが、数学専門の国語教師オニギリさんのこちらの記事。

辞書を読んで文章力アップ?ということで、オニギリさんが『新明解国語辞典』第四版を読破。この独特な辞典を読んでいくうちにどんどん疑問が生まれて、それらを追究していく様子がものすごくおもしろい!

『新明解国語辞典』第四版については、少し前に読んだ翻訳家の東江一紀さんのエッセイ『ねみみにみみず』でも、べた褒めされてた。

すごい語釈が随所に出てくるとか、多くのファンがいるとか。そして、新明解から【恋愛】や【凡人】、【俗人】などの語釈が引用されていて、これがあまりに鋭くて、グサグサ刺さる。

このエッセイを読んだとき、ウチにある国語辞典はなんだったっけ?と確認したら、これがまさしく『新明解国語辞典』(三省堂)第四版(小型版)だった!

この数か月のあいだに、『新明解国語辞典』の凄さについて かなりの熱量で書かれたものを2つも読んだもんだから、
新明解ってすごい!!」
となり、私も新明解をもっと活用したい!と思ったのだった。

『新明解国語辞典』で調べてみる 


で、
新明解すごいな〜

…と、『新明解国語辞典』をパラパラ眺めたりして楽しんでいたところ、各見出し語のすぐ下に、丸付き数字が記載されてることに気がついた。
どうやらこれは、アクセント記号らしい。巻末にある[アクセントの型一覧]と照らし合わせると、それぞれの語のアクセントがわかるようになっている!

これは!!

カナブンのアクセントを調べられる!

さっそく調べてみた。

私の持ってる新明解に載っていた【かなぶん】のアクセントは、全部で3パターン。

《1つ目》


  ナ ブ ン

《2つ目》

  
カ   ブ ン

《3つ目》

  ナ ブ ン


・・・おやおやおや?
私が主張していた


  ナ
    ブン

がない。

どうやら、アクセントの強さ(高さ)はどれも2段階で示されてるみたい。
私の呼び方は1音目の「」にアクセントがあるので《1つ目》に相当。
夫のは《3つ目》。
なので新明解によれば、私の呼び方も夫の呼び方もアリで、さらに別のバージョンまであることがわかった。

イントネーションかアクセントか


ところで前回の記事では、カナブンの「イントネーション」としていた。
【カナブン】と発音するときの音の高低のちがいが気になったから「イントネーション」としたと思うんだけど、【カナブン】など単語レベルの発音には「アクセント」とするのが適切みたい。

新明解やネットで調べると、「イントネーション」は文を話すときの調子であって、単語の強く(高く)発音するところは「アクセント」とある。
さらには英語は強弱アクセントだけど、日本語は高低アクセントだとか。
アクセントもずいぶんと奥が深そうだ。

『アクセント辞典』で調べてみる

「アクセント」という言葉に気づいたところで、アクセント辞典というのがあるんでない?と思い至り、さっそく図書館で調べてみた。

『NHK日本語発音アクセント新辞典』(2016年出版)に載っていたのは、


  ナ ブ ン


のみ。

だいぶ古いけど1985年版の『日本語 発音アクセント辞典』(NHK編)でも調べてみると、一番に書かれていたのが、


  ナ ブ ン

次に書かれていたのが、

  
カ   ブ ン

夫の呼び方は載ってなかった。


まとめ

新しい版のアクセント辞典には


  ナ ブ ン

しか載っていなかった。
『新明解国語辞典』第四版でも古い版のアクセント辞典でも


  ナ ブ ン

が一番に書かれてた。
・・・とすると、やっぱり標準的な呼び方は、


  ナ ブ ン

ということで、いいんじゃなかろうか。


・・・ちなみに、普段使ってるオンラインサービスのジャパンナレッジでも【かなぶん】を調べてみると、小学館の『日本国語大辞典』ではカナブンの標準アクセントは[カ][ナ]となっていたり、『日本語方言大辞典』にカナブンの方言が山ほど載ってたり、『デジタル大辞典』にカナブンの別名として【かなぶんぶん】が載ってたり(※カナブンブンは、新明解やその他の辞書にも載ってた)、なんかもう膨大な情報が出てきて処理しきれなくなってきた。

まとめのまとめとしては、いろいろ調べた結果、カナブンの標準的な呼び方はたしかにあるかもしれない。けれど、いろんな呼び方、いろんなアクセントがあるほうが楽しいし、わざわざ標準的な呼び方に統一しなくてもいいんじゃないかね…というスタンスで締めくくりたい。

***

ちなみのちなみに、カナブン以外によく揉めるのが、ポテチのアクセント。
これは辞典には載ってないなぁ…。

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