メドレーの急成長を支えるコーポレートIT室の役割と取り組み
こんにちは。メドレーのコーポレートIT室です。私たちはメドレーの情報システム部門として、全社的なIT基盤を提供しています。この記事では、急成長を続けるメドレーの事業を支える私たちの役割や組織体制、そして日々の取り組みについてご紹介いたします!
メドレーの現状とコーポレートIT室の役割
メドレーは2023年末時点で従業員数1,105名、売上高205億円に到達し、さらなる成長を続けています。
メドレーが急速に事業拡大を続ける中、コーポレートIT室は「急成長に対応するためのスピード感と柔軟性」と「Global Oneを実現するための標準化」という、2つの両立が難しい要件を実現するIT基盤の構築・提供を担っています。
急成長に対応するスピード感と柔軟性
既存事業の拡大に加え、M&Aや海外展開が進むことで、新しい商習慣や業務フローへの対応が求められるようになりました。また、従業員数や業務量の増加により、これまでのプロセスやシステムだけでは対応しきれない課題も顕在化しています。
こうした多様で複雑な要求や課題に対応するためには、各部門と密接に連携し、其々の課題を深く理解した上で柔軟に対応するための新たなIT基盤を迅速に設計・提供する必要があります。
Global Oneを実現するための標準化
一方で、メドレーでは自社開発のプロダクト、M&Aで取得したプロダクト、またローカルおよびグローバルのプロダクトを、会社や国を越えて統一的に管理・運用することを目指す「Global One」という思想を掲げています。
プロセスやシステムにおいても、この思想に基づき、個別最適に陥ることなく、グローバルに共通して適用できる標準的なIT基盤を構築することが求められています。
どちらも事業成長を支える上で欠かせない要件であり、これらの要件を高い次元で両立させることがメドレーのコーポレートIT室の使命です。
コーポレートIT室が大切にしていること
コーポレートIT室では、メドレー全社で大切にしている価値観「Our Essentials」を基本とした上で、特に次の価値観に基づいて業務を行なっています。
コーポレートIT室で大切にしている価値観
ルールを作らず、仕組み/仕掛けで解決する
人が覚えたり意識しなくても自然と目的が達成される仕組みを設計します。ルールやマニュアルへの依存を最小限に抑え、仕組みや仕掛けを通じた行動設計を重視しています。授人以魚 不如授人以漁(魚を与えるのではなく、釣り方を教える)
問題解決の方法を安易に「教える」のではなく、ユーザ自身が解決できるように、組織全体のITリテラシーを上げることやスムーズに自己解決できる環境を整えることに努めています。その結果、日々の依頼・問い合わせ対応だけでなく、未来に向けた活動により多くの時間を割けるように意識しています。マルチハイプレイヤー
一人一人が領域や役職にとらわれず、幅広い業務に取り組むことで、全体感を持って行動することを意識しています。これにより、個別最適ではなく、会社全体の利益を意識した取り組みが可能になります。ゼロベース思考
前例や一般解にとらわれず、課題に最適な解決策を追求します。柔軟な発想で、必要に応じて既存フレームワークの再設計も行います。システムの観点だけでなく、プロセスの観点にも踏み込み、根本的な改善を目指します。
システム選定・技術選定に対する考え方
システムや技術を選定する際には、それらが解決すべき課題や達成すべき目的にどれだけ適合しているかを最も重視しています。
機能要件や非機能要件、グローバルで標準的に活用できるか、といった観点に加え、導入や運用、将来的なスイッチングのコスト、非ITユーザによるトライアル結果、ベンダーの信頼性、他社事例などを考慮に入れて慎重に検討します。
その際、特定の観点を拠り所として選定を進めることはありません。新たな情報や未考慮だった視点が加わった場合に、ときには仮置きした前提や方針も疑い、複数の要素をバランスよく評価し、常に最適な選択肢を追求することを重視しています。
さらに、多くの場合、そのシステムや技術を選定した担当者が導入プロジェクト全体をリードします。この体制によって、担当者は自らの意思決定に対する責任を持ち、同時に外部の協力会社に過度に依存することがない状態を実現し、どのシステムにおいても社内のメンバーが最も詳しい状態を維持しています。そのため、導入後も背景を十分に理解した上での問い合わせ対応や運用・保守が可能となります。
現在のメドレーの社内システム構成は次の通りです。
クラウドインフラ
AWS, Google Cloud, Azure, jamf Pro, CrowdStrike etc.ネットワーク
FortiGate, Cisco etc.クライアント
Windows, Mac, Android, iOS etc.コラボレーション
Google Workspace, Slack, Confluence, Jira, GitHub, Zoom etc.業務アプリ
Workday, ServiceNow, Google AppSheet, TeamSpirit etc.言語
Google Apps Script, PowerShell etc.
この基準に従って採用されるシステムや技術は、多くの企業で広く利用されている各領域のデファクトスタンダードが中心です。そのため、他企業での経験を持つメンバーもスムーズに馴染みやすい環境が整っています。
コーポレートIT室の体制と、PJTの事例紹介
メドレーのコーポレートIT室は、経営直下に位置する独立した組織として、全社的なIT基盤の整備と提供を担っています。現在は、人材プラットフォーム事業の本部長がコーポレートIT室の統括を兼任しており、事業部門の観点を常に反映しながら業務を行なっています。
メンバーのバックグラウンドは、プロダクト開発エンジニアやITコンサルタント、他社のIT部門での責任者経験、セキュリティエンジニア、情報システム部門担当者など多岐にわたり、各領域で高い専門性を持つメンバーが集まっています。
2023年までは室長と配下メンバーで構成されるシンプルな組織形態でしたが、業務領域の拡大とメンバー数の増加に伴い、2024年から次の5つのグループに分割されました。今後も事業の成長に応じて柔軟に変化する予定です。
2024年12月時点での、各グループの役割と主なプロジェクト事例を紹介します。
PMI推進グループ
役割
PMI推進グループは、メドレーが非連続な成長を実現するため積極的に進めるM&Aにおいて、IT領域のデューデリジェンス(DD)から統合プロセス(PMI)までを一貫してリードしています。
グループの使命は、統合のスピードと全体最適の両立です。事業部門が求める既存事業との相乗効果を迅速に引き出すためのIT基盤のスピーディな統合を実現しつつ、Global Oneの思想に基づく長期的な統一性を視野に入れたIT基盤の再構築を行います。これを達成するため、DDフェーズから参画し、M&A先企業の既存システム構成や業務プロセスを詳細に把握した上で統合計画を策定しています。
具体的なプロジェクト事例
・買収前段階の企業のIT環境評価(IT-DD)
・M&Aで新規にグループ参加した子会社の社内システム統合
コーポレートシステムグループ
役割
コーポレートシステムグループは、会計、調達、契約、入退社管理など、メドレーのコーポレート(バックオフィス)業務を支えるシステムの企画・導入・運用を、人事、総務、経理、事業部門と密接に連携しながら推進しています。
グループの使命は、領域横断のプロセスとデータ構造の最適化です。コーポレート業務は複数の部門を跨ることが一般的ですが、プロセスやデータが各部門内で断片化し、個別最適になるケースがしばしば見られます。そのため、各部門の業務や課題を深く理解し、横断的な視点から全体最適を実現する業務プロセスやデータ構造を設計し、それを実現するためのシステムを構築しています。
具体的なプロジェクト事例
・会計システムの刷新
・事業部門における顧客管理システムの見直し支援
・ワークフロー基盤の導入
コラボレーションシステムグループ
役割
コラボレーションシステムグループは、メドレーの従業員が効率的に業務を遂行できるよう、Google Workspace、Slack、Confluenceなどの社内コラボレーションツールの導入・運用や、生成AIの活用推進を通じて効率的に業務を遂行できる環境を提供しています。
グループの使命は、従業員の生産性を向上させるためのコラボレーション基盤の提供・維持です。時間の経過とともに利用者やデータが増加するコラボレーションツールについては、情報の整理や権限制御の見直しを定期的に行い、従業員が必要な情報に迅速かつ安全にアクセスできる環境を維持しています。
また、生成AIの活用推進や、LLMを用いた業務アプリケーション開発基盤の構築を通じて、生成AIによる業務プロセスの改善や効率化を支援しています。
具体的なプロジェクト・業務事例
・生成AIガイドライン策定、LLMアプリ開発プラットフォームの導入
・プロジェクト管理ツールの導入
・Slack Enterprise Gridへのアップグレード
エンプロイーエクスペリエンスグループ
役割
エンプロイーエクスペリエンスグループは、入退社に伴うPCやアカウントの管理、社内ネットワークの提供、ヘルプデスク業務を行っているエンプロイーエクスペリエンスチームと、全社共通インフラの管理(ネットワーク構築やIaaS、認証基盤、ドメイン管理など)を行っているITインフラチームで構成されています。従業員が快適かつ安定して業務を遂行できるIT環境を整備しています。
グループの使命は、業務継続性の確保と未来に向けた改善の両立です。従業員が安心して業務を続けられるよう、依頼や問い合わせには迅速かつホスピタリティを持って対応しています。同時に、「ルールを作らず、仕組み/仕掛けで解決する」「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」という価値観に基づき行動し、現場の業務効率を高めながら、中長期的な改善施策にも取り組んでいます。
また、海外展開が進む中で、海外オフィスの立ち上げに伴うネットワークの構築や、その国の商習慣に合わせた入退社に伴うPCや貸与物等の管理オペレーションの構築なども行なっています。
具体的なプロジェクト事例
・モバイルデバイス管理(MDM)の導入
・グローバルを含む新オフィスの立ち上げ、ネットワーク構築・オペレーション構築
・Google Apps ScriptやSlack APIを活用した運用ツールの開発
セキュリティグループ
役割
セキュリティグループは、メドレー全体の情報セキュリティを支え、事業活動が安全かつ継続的に遂行できる環境を提供しています。
グループの使命は、セキュリティリスクへの適切な管理と迅速な対応です。現状では限られたリソースの中で最大限の効果を出すために、優先度の高い課題に集中して対応を行っています。今後は、ペネトレーションテストの導入やシフトレフトの実現を通じてプロダクト開発との連携を強化し、事業競争力を支える堅牢なセキュリティ体制の構築を目指しています。また、全社的なセキュリティポリシーの見直しや、端末およびネットワークセキュリティの強化を進めることで、日々の業務におけるセキュリティリスクを低減したいと考えています。
具体的なプロジェクト事例
・認証基盤のリプレイス検討
・脆弱性診断の実施
・ISMSの対応支援
さいごに
メドレーのコーポレートIT室は、事業部門や他のコーポレート部門と密接に連携しながら、M&Aの推進、グローバル案件への参画、バックオフィスの効率化、コラボレーションツールの導入、セキュリティの強化などの多様なプロジェクトを通じて、急成長する事業を支えています。
堅調な事業成長を背景に、会社の目指す姿を実現するために必要な取り組みであれば、適切な投資を得てチャレンジすることができます。
同時に、成長過程にある組織ならではの、個々が裁量を持ち、自ら課題を発見し解決に取り組む余地も広がっています。その中では自らシステムや業務プロセスを作り上げる面白さを体感できると思います。
これまで培った経験を活かし、新しいことや困難な課題に挑戦したい方には、今のメドレーのコーポレートIT室は最も刺激的な環境の一つであると感じています。
この記事を読んでいただいた皆さまと一緒に働ける日を、心から楽しみにしています!
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