見出し画像

全国で自治体とともに挑んだ地域医療12の取り組み ~高知県でのオンライン診療×地域医療情報連携ネットワーク事例など~

みなさん、こんにちは。メドレー広報室です。

メドレーは「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションの実現に向けて、医療DXによる社会課題の解決に取り組んでいます。

その一つが、自治体との地域医療への取り組みです。

医療アクセスの格差やコロナ禍における離島医療・保健師の不足など、それぞれの地域によって抱える課題はさまざまです。そこで国は、地域医療における課題への有効な手段として医療DXを推進しています。特にオンライン診療については、医療アクセスが困難な場所で生活する患者や高齢者の受診機会を増やし、医療資源の効率的な活用を推進するため、2022年12月に厚生労働省が医師が常駐しない診療所の開設や巡回医療の特例を適用拡大させる方針※を打ち出しました。国の「骨太の方針」の1つである医療DXの実現のために、法律上の整備も進められています。
※出典:https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/001019949.pdf

メドレーはこれまで全国の自治体と連携し、その地域に適した医療DXを推進してきました。
今回は、これまで取り組んできた12の事例を抜粋し、改めてご紹介します。

1 . ICTを活用した医薬連携・他職種連携モデル「SUKUMOオンライン医療実証事業」(高知県宿毛市)

メドレーは、宿毛市と地域の中核病院である大井田病院が2021年6月〜12月にかけて実施した「SUKUMOオンライン医療実証事業」にて、企画策定やシステム提供、事業運営等の支援を行いました。

宿毛市は、定期通院を要する疾患(高血圧性疾患・糖尿病・脂質異常症など)の割合が高ランクである一方で、医療機関が市を横断する国道沿いに集中しているため、市の南北の地域住民の医療アクセスに一定のハードルがあります。また、高齢化率が40%(全国平均の1.4倍)に達しており、高齢者に多く見られる多剤服用や重複投薬に鑑みた適切な投薬も課題です。
さらには、新型コロナ対応での業務逼迫もあり、持続可能な医療提供体制の確立が急務でした。そこで、本事業では、幡多医師会やNTTドコモ四国支社など、官民あわせて14の団体が連携して、オンライン診療・オンライン服薬指導・地域医療情報連携ネットワークを組み合わせて活用することによる地域医療課題の同時解決の実現可能性と有用性を検証しました。


具体的には、患者は「CLINICSアプリ」を利用してかかりつけの医師・薬剤師からオンライン診療〜オンライン服薬指導を一気通貫で受けられ、薬も自宅に届けてもらえるというものです。病院は「CLINICSオンライン診療」、薬局は「Pharms」と、いずれもメドレーが提供するシステムを活用します。
加えて、病院も薬局も、患者の各種医療情報を共有・参照できる幡多地域 医療情報連携ネットワーク「はたまるねっと」(運営:幡多医師会、開発:パシフィックメディカル)に参加しています。病院での処置後すぐのオンライン服薬指導であっても、薬剤師は患者の処置内容や医師の処方意図、そして患者の過去の処方状況などを「はたまるねっと」から確認のうえ対応できるため、適切な服薬指導・薬剤交付を実施できます。
さらに、在宅医療現場においては、コミュニティナースが「CLINICSアプリ」が入って通信環境も整備されたタブレットを持参して患者の受診を介助することにより、患者の操作不安や設備負担を最小化するモデルとしました。

事業終了後の現在では、地域実装がなされ、さらに2022年12月には、実証事業にも参画していた高知県による補助を受け、医療モビリティ※も整備されました。さらなる課題解決に向けて取り組みが進化しています。
※参考:ヘルスケアモビリティについて

■2022年度の取り組み

2 . 10以上の自治体が活用した 「新型コロナ療養者向けオンライン診療システム」 提供プロジェクト

メドレーは、新型コロナウイルスの感染拡大および自宅療養者の増加にともなう社会的な要請の高まりを受けて、2021年9月〜2022年7月において、NTTドコモ・NTT Comと連携して「新型コロナ療養者向けオンライン診療システム」の提供体制を構築し、自治体を中心に、地域の医師会や医療機関の有志チーム、個々の医療機関へ当該システムを無償提供しました。

自宅療養者の急な体調変化への対応においては、患者が事前にアプリのダウンロードやアカウント設定、診療予約などは行わずに、速やかにオンライン診療を開始できる仕組みが求められます。そのため、当該プロジェクトでは、かかりつけの患者へのオンライン診療を中心に設計された「CLINICSオンライン診療」ではなく、自治体施設や医療機関、自宅療養者が負担なく速やかにオンライン診療を実施できる必要十分なシステムを提供しました。
本システムは、自治体が管轄する療養者対応センターや保健所、宿泊療養施設で療養者の容態観察や健康相談として活用されるだけでなく、医師会が連携するフォローアップセンターや医療機関でのオンライン診療など多様に活用されました。最終的には福井県、宮崎県、香川県、高知県、福島県 郡山市、宮城県 仙台市、愛媛県 鬼北町など全国300施設以上で活用いただきました。

3 . 新型コロナウイルス関連でのオンライン診療の活用推進(神奈川県)

新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行に備えた診療体制の確保のために、新型コロナウイルス感染症による重症化リスクの低い方を対象に、地域の医師が輪番でオンライン診療を行う「かながわコロナオンライン診療センター」が開設されました。郡市医師会などの協力を得て、 地域の医師が輪番でオンライン診療を行うこちらの取り組みでは、メドレーが提供する「CLINICSオンライン診療」を活用しています。県内で順次、設置を拡大していく予定です。

4 . 地域医療に根差したオンライン診療普及のための取り組み「二次医療圏カバープロジェクト」(全国)

メドレーは「二次医療圏カバープロジェクト※」という、地域医療に根差したオンライン診療の全国的な普及を目指したプロジェクトを行っています。二次医療圏とは、健康増進・疾病予防から入院治療まで一般的な保健医療を提供する区域で、この区域にある病院は一般的に「何かあった時に行くことが出来る」と思うような距離にあるものが想定されます。
オンライン診療は医療現場での柔軟な活用と今後のさらなる普及に年々期待が高まっていますが、まだ全国的な普及には至っていません。そこで、まだ万全とは言えない医療へのアクセス機会をより高めるため、「CLINICSオンライン診療」を導入している医療機関がない、または少ない二次医療圏において、地域のプライマリ・ケアを担う主要な診療科である内科と小児科の診療を行う医療機関を対象に、初期導入費用を無償でシステム提供し、オンライン診療の全国的な普及の実現に貢献しています。

※詳しくは以下の記事もご覧ください
オンライン診療の適切な普及とは ~CLINICSオンライン診療 二次医療圏カバープロジェクトの開始にあたって~

5 . かかりつけ医によるオンライン診療を起点に地域住民の医療アクセスの確保と健康維持・増進を連動させた「山形県 へき地診療所等におけるオンライン診療モデル事業」(山形県)

メドレーはNTT Comと連携して、山形県が2022年9月より開始した「へき地診療所等におけるオンライン診療モデル事業」を、システム提供や運用コンサルティング等で支援しています。
山形県内の4地域には19のへき地診療所が点在しています。そのうち、村山地域・最上地域は国内有数の豪雪地帯です。診療所には医療従事者が常駐しておらず、地域の病院から週2回〜月1回、医療従事者が診療所へ赴き、地域住民へ医療を提供しています。付近には薬局もありません。このように、山形県の地域医療は、地理面・気候面、そして高齢化と医療リソース不足といった複数の課題を有しています。

本事業では、このような課題に対する解決モデルを模索するべく取り組んでいます。具体的には、患者はいつも通り診療所へ通院し、診療所に常設した受診用タブレットPCで、看護師介助のうえで病院側にいる、かかりつけ医からオンライン診療を受けます。患者には通常通り移動が発生するものの、患者側の端末所有の有無や通信環境、ITリテラシーに頼らずにオンライン診療を活用した医療提供体制を構築できます。患者は徒歩を意識することで特典の付与や健康維持につながり、移動自体もポジティブに捉えることが可能となっています。

6 . へき地の医療体制強化のための「オンライン診療実証事業」(福井県)

メドレーはNTT Comと連携して、福井県が2022昨年7月より開始した、「へき地におけるオンライン診療実証事業」を支援しています。
本事業では、生活習慣病の患者へのICTの活用(オンライン診療〜オンライン服薬指導の一気通貫のオンライン医療)を通して、患者が住み慣れた地域で質の高い医療を受けるにあたってのオンライン診療の有効性等の検証をします。また、オンライン医療に対する医師や患者のニーズの把握、社会実装に向け課題等を検証し、今後、医療提供体制強化の参考としていく予定です。

■2021年度以前の取り組み

7 . オンライン診療後のドローンによる医薬品配送事業(岡山県和気町)

岡山県和気町が2021年12月に実施した、「地域の医療機関が必要としている医療商材や個人宅までの処方薬の輸送におけるドローンの経済的実現性を検証する実証実験」に参画しました。

過疎化や高齢化が進む地域では、医療へのアクセス・医薬品流通ネットワークの維持などが深刻な課題です。和気町はその解決策の一つとして、オンライン診療・服薬指導、その後の処方薬の患者宅までの配送についてドローンを活用し、実証実験を行いました。

8 . 新型コロナウイルスの感染拡大による保健師不足の支援(奈良県、神奈川県)

新型コロナウイルスの感染拡大により保健所の体制がひっ迫したことから、日本最大級の医療介護の求人サイト「ジョブメドレー」を活用し、保健師の人材確保に悩む地方自治体の採用支援を実施しました。実際に神奈川県、奈良県で導入され、効率的かつスピーディーな保険師採用が実現しました。

9 . 離島における、コロナ禍での医療体制維持のためのオンライン診療実証事業(沖縄県与那国町)

メドレーは、与那国町が2020年12月から実施したオンライン診療実証事業を支援しました。
与那国島に唯一存在する診療所には医師が1人しかいません。その1人の医師が全島民約1,700人を診ています。このような状況で医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合、島民に対して必要な医療を提供できなくなるため、地域医療にとって極めて深刻な事態となります。また、患者にとっても、コロナ禍における医療機関への移動や待合室での待ち時間は感染リスクを上げてしまうという懸念があり、治療継続におけるハードルとなっていました。
この状況を解決するために、与那国島の全島民が発熱時にオンライン診療を受けることができる体制・環境を「CLINICSオンライン診療」を活用して構築支援しました。

10 . オンラインで診察から服薬まで。「CLINICS」を活用した一気通貫での医療提供(千葉県)

2020年時点でオンラインでの服薬指導が認められていた国家戦略特区である千葉県千葉市において、「CLINICS」を活用した一気通貫での “オンライン診療 - オンライン服薬指導”を実施しました。患者は診療と服薬指導を同一アプリで完結できるため、使いやすさや、医療機関・患者のさらなる負担軽減から、オンライン診療・服薬指導の更なる利用者の拡大を推進しました。

11 . コロナ禍での入院患者のためのオンライン面会実証事業(神奈川県)

「CLINICS」を活用した、入院患者とその家族のためのオンライン面会の実証事業を神奈川県と共に実施しました。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、医療機関では新型コロナウイルスによる入院患者への面会が不可となるだけでなく、それ以外の疾患の入院患者でも面会の制限が行われており、長期間にわたって入院患者が家族等と面会する機会が失われてしまっています。横須賀共済病院にて新型コロナウイルス患者および一部の疾患において実施をスタートし、その結果を基に他施設への拡大を推進しました。

12 . 避難解除エリアでの在宅医療強化に向けたDtoPwithNの取り組み(福島県 南相馬市)

南相馬市では在宅医療が必要な患者に対する医療体制強化のため、南相馬市立小高病院にてタブレット端末を活用した「オンライン診療」(遠隔診療)の提供を実施しました。メドレーは「CLINICS」を提供し、安定したオンライン診療の導入および運用を支援しました。

これからもメドレーは「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションをもと、日本の医療DXを推進し、全ての人が納得のできる医療を受けられる社会の実現を目指します。