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シゴトークがM&Aを通じてメドレーに仲間入りした理由と現在

こんにちは、メドレーで人材プラットフォーム本部を統括している石崎です。

2022年9月、岡部さん率いる株式会社Tenxiaがメドレーの仲間になりました。現在、岡部さんのチームは、もともと運営していた医療ヘルスケア領域のコミュニティサービス「シゴトーク」を、ジョブメドレーと連携してもっと強いコミュニティにしていく、ということに取り組んでいます。

グループ入りして半年。今回は、「今メドレーで何をやっているのか?」「自ら起業し、スタートアップを経営してきた人間から、メドレーはどう見えているのか?」について、率直な話を聞いてみたかったので、岡部さんに聞いた内容を公開することにしました。

Tenxiaとシゴトークの生い立ち

──まずは改めて、岡部さんの自己紹介をお願いします。

1994年、奈良県の生まれで、中高から兵庫県の男子校に1時間半かけて通っていました。

その後、東大の文科一類(主として法・政治を学ぶ)に入学して、3年生から経済学部に入り、大学院は情報理工学系の学部に入りました。人よりも少し飽き性なのかもしれません。

大学院にいた頃に1年間休学をして、その間にシゴトークを作ってTenxiaを創業しました。そのまま大学院は中退…という流れです。

シゴトークとは
医療・福祉のお仕事に就いている方、目指す方が交流できる投稿数No.1コミュニティです。
業界別に展開中!
・カンゴトーク(iPhone/Android
・カイゴトーク(iPhone/Android
・ホイクトーク(iPhone/Android
・ヤクザイトーク(iPhone/Android

──院に行ったのに、なぜ休学して起業を?

僕らの世代(2015年頃に大学生)だと、既に東大でも学生起業する人が周りに一定数いたんですよね。学生に投資してくれるVCとの接点もカジュアルにあったし、実際に数億・数十億といったお金を調達して、会社を急速に大きくしている知人も何人もいました。

そういった環境だったので、自分の中で「起業」という選択肢は、そんなに遠く離れた場所にあるものじゃなかったですね。あと、変な言い方ですが「こいつでこれぐらいやれるんなら、自分だってできるだろ」みたいな自惚れがありました(笑)。若さですね。

──(笑)。それで2017年に創業されたと。共同創業者の三辻さんとはどこで出会ったんでしたっけ?

三辻とは瀧本さん(瀧本哲史。投資家、経営コンサルタント)のゼミがキッカケです。東京と京都でゼミを持っていて、僕は東京、三辻は京都だったのですが、卒業後に知り合いました。

著作にもあるように、瀧本さんは「若くて能力の高い人間が、少数精鋭のプロジェクトを作って、世の中を良くしていく」という思想が強くて、ゼミもその実験プロジェクトだった感があります。実際、ゼミ生OB/OGは色んな場所で活躍しているので、僕自身とてもピア・プレッシャーを感じています。

残念ながら彼は2019年に早逝してしまったのですが、生前彼はよくゼミ生に「光あるうちに光の中を歩め(トルストイ)」なんて言っていました。学生のうちに起業をしたのが正しい選択肢だったかのかはまだ分かりませんが、間違いなく彼の影響はあるとは思います。

──ゼミで出会った三辻さんと「一緒に起業しよう」となったきっかけは?

僕はいわゆる2chやニコニコ動画の全盛期世代に思春期を過ごした人間で、前々からインターネットでコミュニティをつくって、なおかつそれをビジネスにできたら良いなと考えていました。
ちょうど僕が起業する直前は、日本のベンチャー界隈でもモバイルアプリ×コミュニティサービスが盛り上がっていた時期で。従来はかなり難しいとされていた「コミュニティのマネタイズ」に、業界全体でチャレンジしていたタイミングでしたね。
そんな中で出会った三辻が、僕と似たような趣味嗜好を持っており、ビジネス面においても意気投合した、というのが直接的なキッカケだと思います。
そんなに楽な道のりではないことは、後々分かってくるわけですが(笑)

──シゴトークをリリースしてからは、どんな道のり・浮き沈みだったんですか?

プロダクトを作っている人間は同意してくれると思うのですが、作っているものがリリースして世に出たときが、一番テンション上がりますよね(笑)。良くも悪くも。

その後は、大きな会社さんとコラボをやろうとするが、交渉でなかなか主導権を取れずゲッソリしたり…、マネタイズの検証が十分でない中で資金調達をせざるを得ず、ランウェイがそろそろヤバい…というタイミングでようやく調達できてテンションが上がったり…。全体的にはベンチャーあるある、といった感じだと思います。

周りの起業家を見ていると、やっぱり気分の浮き沈みの激しい人が多い。そういう人たちと比べると、比較的精神的には安定というか、冷静に事業をやれてきたかな、とは思います。悪く言えば爆発力がない、ということかもしれませんが(笑)。

そして2022年9月、メドレーへ仲間入り

──確か、メドレーとTenxiaの最初のコンタクトは、資本提携ではなく事業提携でしたよね。

そうですね。

そもそもの話になるのですが、シゴトークを「職種特化のコミュニティサービス」にしたのには理由があります。人材マッチングという、ちゃんとお金が動いている領域を狙うことで、「コミュニティのマネタイズ」が実現できるのではないか、と考えていたんです。

ただ、人材マッチングをやるにあたって、「求職者」だけではなく、「求人票」が必要になりますよね。当時の僕たちは「自社で求人票を集めるより、プロダクト開発にフォーカスしよう」という考えだったので、事業の初期段階から、いろいろな会社さんに事業提携を提案していて。メドレーは当時から医療系人材領域でメキメキ伸びている新興上場企業だったので、優先度高めでアプローチしていました。

ただ、その時は結局、タイミングが合わず、事業提携には至りませんでした。

──2022年に改めてメドレーからお声がけしました。そのときはTenxiaはどういう状態だったんですか?

実は、2021年くらいから「安定して継続的に利益は出せているものの、自社のみでシゴトークをこれ以上大きく伸ばすのは難しそうだ」という結論に達していました。なので僕個人は一旦シゴトーク事業を離れて、新規事業の模索に専念していたんですが、中々これだというものが見つからず…。

先程は精神的に安定していたと言いましたが、この頃は少ししんどかったですね。起業家にとって「そもそも何をやるべきか」に自信を持てていない状態というのは、ある意味では「メンバーが辞めていく」とか「大手が参入してくる」とかのハードシングスに並ぶほど、つらいことだと思います。

メドレーから話があったのはそんなタイミングでしたね。

──最初にお会いしたときの私たちの印象はどうでした?

最初は怖い、何考えてるか分からないぞって感じで、かなり距離感があったと思います(笑)。

ただ、数回話してみて、この会社はスピードが違う、M&A慣れしている、というのはすぐに分かりました。僕らぐらいのサイズの案件でも、意思決定のほぼトップの方が対面してくれる。「一旦持ち帰って上長の判断を仰ぎます」「他部署の判断が必要なので、この人に会ってみてください」みたいなことがないんですよね。

条件面でも、譲れないポイントと妥協できるポイントを明示してくれて、グダることなく納得感のある交渉ができました。

メドレー自体の社風もさることながら、石崎さんご自身が「買収される側」を経験しているので、我々に寄り添った上で、お互いが納得できる進め方をしてくれたのだと思っています。

一員となって感じたメドレーの印象

──メドレーに入ってどんな印象を抱きました?

まずあったのは、「正しいマーケットで、インターネットの会社が正しく頑張るとこんなに強いのか…!」という驚きですね。

──どういうことですか(笑)?

「インターネットの会社」という言い方は変ですかね(笑)。会社が若くて変なしがらみがない、データドリブンの意思決定を素早く回せる、そのためのリソースをちゃんと社内に備えている会社、ぐらいの意味で言ってます。

例えば、どこの会社でも経営ダッシュボードってあるじゃないですか。メドレーだと、トップの人間がダッシュボードを一番見てメンテしている、必要に応じて新しくクエリを足して編集している、データソースについても把握している。

ここまでやることって、客観的に考えて、非インターネットの会社だと難しいと思うんですよ。若い優秀な社員がダッシュボードを作ってはみたけど、誰も見てません、メンテされてません、という結果になりがちかな、と(笑)。トップ自身が数字を見ているということは、言葉にするとシンプルなことですが、経営において確実に重要な要素じゃないかと思います。

そういうシンプルなことを、徹底的にやれている。そこはメドレーの強いところかな、と思います。

──グループになって約半年ですが、今どんなことをやってますか?

統合の初期段階では、まずはシゴトークからジョブメドレーへの送客を実現しようということで、そちらの実装をメインでやっていました。

現在はその段階に加えて、圧倒的に大きいユーザを抱えているジョブメドレーのユーザーに、シゴトークのサービスを使ってもらうことで、「転職とコミュニティの対流」を作ろうとしています。

先程「自社のみで伸ばすのは難しそう」といった理由の1つでもあるんですが、コミュニティ単体だと大量のユーザーを獲得することが難しいんですよね。なのでこれは、当初からやりたかったことでもありますし、シンプルにビジネスインパクトも大きいと思っているので、目下頑張っているところです。

──ジョブメドレーのエンジニアやプロダクトマネジャーと一緒に進めてますよね。

そうです。元Tenxiaだけで独立しているわけではなくて、ジョブメドレーのメンバーも一緒になってチームを作っています。僕自身、シゴトークだけでなく、ジョブメドレーのコードも書いていますね。

ジョブメドレーのエンジニアもみんな優秀で、シゴトークのプロダクト開発にもスムーズに参加してくれており、とてもいい環境だと思います。シゴトークのチームメンバーは新卒も多いのですが、彼らもまた粒ぞろいで。メドレー、こんなに優秀な人たちを採用できているのか!とビックリしました(笑)誰目線だよ!って感じですが(笑)

──ありがとうございます(笑)。メドレーに入って自分が「変わったな」と思うことはあります?

効果計測ですね。今まではプロダクトが未成熟なことやチーム自体が小さかったこともあり、厳密な効果計測よりも、PDCAの回数を優先してやってきました。メドレーに入ってからは、PDCAの回数は落とさないようにしつつも、施策毎の効果計測をしっかりやるようになったと思います。

正直、このあたりは学生起業、というか「インターネットの会社でゴリゴリのプロダクト開発をやったことがない」というバックグラウンドの限界を感じました。「徹底的に計測するカルチャー」を高い水準で維持するためには、チームでの日々の目線合わせが大事なので。その意味で、「有限のリソースを動かすのだから、これぐらいの説得力は必要だぞ」というプレッシャーをかけられていることは、ありがたいことだと思います。

Our Essentialsにも書かれていますが、メドレーには「凡事徹底」という文化があります。入社してみて「自分がやることは、どんなに小さくても影響を見定めて、コントロールしておく」ことが重要視されていると感じました。「とりあえず10個施策をやってみて成果は上がったが、何が効いて何が悪かったのかは分からない」というのは評価されないのかな、と。

──確かにメドレーでは定量的な計測を重視していますね。いっぽうでプロダクトの規模感によっては、厳密すぎる効果計測は too much でいつまでも計測ばかりしていても改善が進まないので、バランス次第かなとも思います。

それは仰るとおりで、開発責任者の稲本さんとも「今はジョブメドレー並の厳密に効果測定は求めないから、PDCAを回すことに重きを置こう」という風には話しています。

とはいえ、メドレーで働く中で僕も「凡事徹底」の影響を受けているのか、例えば社内ドキュメントなんかも、読み手を意識して丁寧に書くようになったと思います。細かい話ですが、こういうことの積み重ねが重要なのだと思います。

──最後に、今後の展望をどうぞ。

今は目の前のことでいっぱいいっぱいですが、メドレーで色んなことを吸収して、20代の頃よりもっと大きいことにチャレンジしたいと思っています!

※写真は感染対策に配慮しながら撮影しています。