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培養細胞は自分の赤ちゃんだと思え
生き物を扱うセンスが決定的にない人がいる。細胞は死滅させるし、培養用インキュベーターは汚染させる。マウスのコロニーを管理できないし、気がついたら狭いケージが生まれた子どもでギュウギュウになっている。
細胞培養を教える際は、培養細胞を自分の赤ちゃんだと思って取り扱うよう指導している。CO2インキュベーターはベビーベッド、培地交換はミルクあげとオムツ交換である。日に1回は必ず観察し、細胞の形(赤ちゃんの表情)、温度・CO2濃度(暑くないか、寒くないか)、培地の色(オムツが濡れていないか)、培地の量(ミルクは十分可か)などを確認する。培地交換や細胞継代は、少々雑でもよいので、できるだけ素早く。おむつ交換の際に、赤ちゃんを裸のまま放っておいてはいけない。交換する培地は、あらかじめ温めて。赤ちゃんに冷たいミルクはあげないでしょ?
こう言うと、女子学生は理解してくれることが多いが、男子学生はピンとこないようだ。よいお父さんお母さんになるかどうか見極めたいときは、細胞培養やマウスの世話をさせてみるとよい。細胞やマウスの世話がいい加減な人は、子育てもいいかげんになるだろう。