インタラクティブデザインとインタラクションデザイン〜何を"デザイン"するのか?
昨日とあるところで、インタラクションにまつわるデザインの話があり、講師に来ていただいていたインタラクションデザインを領域とする大学の先生に対して、以下の質問をさせていただいた。
戻ってきた回答は、例えばテーブルにコップが置いてあったとして、そのコップと自分はインタラクションしているという説明というものであった。
これは哲学の認識論や禅の世界、あるいは量子力学的な世界の話をしているのであればわかる。しかしそこに"在る"だけでは、何もデザインしていないので、インタラクションと言えても、「インタラクション」を「デザイン」はしてないように思う。そこで以下の質問を続けた。
しかしどうもその後の説明についても腑に落ちなかった。
自分自身も、90年代にゲーム文化を研究しゲーム雑誌に寄稿するなど、ゲームにおけるインタラクションについては調べていたし(そもそもアーケードゲーマー)、博報堂でインタラクティブ局、電通でインタラクティブ・コミュニケーション局にいて、大昔になるが「東京インタラクティブ・アドアワード」なるものでグランプリを獲っているので、"inter-action"に関しては一家言ある。
しかしなぜこの先生との会話は噛み合わないのだろう・・・と不思議に思い、モヤモヤした。
ただ、モヤモヤというのは思考するいいキッカケでもあるので、そこで昔の本やいろいろ引っ張り出してきたりして少し整理してみた。
で、至った結論は非常にシンプルなものだった。
世の中には、Interactive design と Interaction design が存在し両者は違うものである
ということ。
正確には両者はフォーカスする点や位相が違うという感じだ。
そこでそれを整理したのが、以下のスライド1枚。
デザイン領域やWebサービスの方々に見てもらいたいところ。
なるほど、すっきりした。
ちなみに私にとっては、Interactive Design とは「体験」をデザインすることである。しかしそれだけだと、Experience Design と言い換えることもできる。Interactive Design の場合は、Actor-to-Actor 、つまり空間的・物理的・時間的に離れた二者以上(この場合、人と人でも、モノやソフトウェアと人でも構わない)の"間”が生み出す相互行為によって生まれる「体験」にフォーカスをすることにある。この場合、それがデジタルであるかアナログであるかは関係がない。
こうした意味合いにおいては、service は常に相互行為的であるので、Service Design は Interactive Design の一つとも言える。
そう考えると、Interactive Design を経由した自分が、(全く想定はしていなかったけれども)Service Innovation & Design 専攻で博士の学位をとったのも、なんと自然の流れだったのかと・・・今きづいた。