広告と広報と編集の狭間〜ヲィ、そんなこと書いちゃっていいの?という話。
広報関係者の間で話題になってる記事がありました。とあるメディアの中の人(=編集側)の書いた記事でした。
その記事を読んだ広報関係者と思しき人々のコメントとしては、
「メディアの中の人の考え方が勉強になりました」
「スタートアップの広報のあり方についてタメになりました」
と称賛の記事が多かったので、僕もその記事を読んでみることにしました。
こちらです(魚拓はこちら)。
文章の主旨としては、「設立されて数年のスタートアップはいろいろなネタがあるので取材対象になりやすいけど、それなりに成長したスタートアップ(=”お兄さんスタートアップ”by上の文章の筆者)の場合は取材のネタがない」ということを書いてます。なるほど。
で読み進めていくと、
メディアから見て悩ましいのは、スタートアップのお財布具合です。要は「この人たちってわれわれにとってお客様になるのか?」という点。売上のほとんどを広告に依存しているWebメディアにとって、これはわりと切実な問題です。その点、宣伝費を持たないスタートアップは広告主にはなりえないので、ニュースバリューがあるからつきあっているというのが本音だと思います。
え。
いくら好みとは言え、まったく脈がない人にアタックするのは時間と労力の無駄ですよね。向こう見ずな恋愛の場合、そんな無駄をはねのける異次元のパワーが働くところが楽しいのですがw、ビジネスの場合はそうは言ってられません。Webメディアに広告予算を使う気もない会社、しかもニュースバリューも低い会社を取材する義理はないと思います。
ええ?
ここまで話すと、広報さんからは「ひどい!オオタニさんはそんな下心があったのですね!」と言われそうですが、それ言ったら「無料で記事書いてもらおうと思ったあなたも同じじゃね」とそのままブーメランです。
???
私のように事業予算を背負っている立場、作業時間の限られた立場だと、どうしても優先順位で足が遠のいてしまうのが実情です。あと、もともと守銭奴である点は、別記事でも書いているのでお読みください。メディアはきれいごとではないんです。
orz
いや、えーと、「広告出してくれそうなとこは記事書くけど、そうじゃないところは行かないよ」って逝って、じゃなかった言ってしまってませんか?
いや、メディアビジネスのしんどさはわかりますが、アスキーという社名を出して、上のようなことを書いてしまうのは非常にまずくないですかね? 増田とかじゃなくって、実名で社名入りでこの文章を書いてるってことは、堂々と、
弊社アスキーは広告の見込みのある企業の提灯記事を書きます
って、言ってるってことじゃないですか。
Webメディアに広告予算を使う気もない会社、しかもニュースバリューも低い会社を取材する義理はないと思います。
この太字の部分にはびっくりです。後者のニュースバリューの件は、はっきりいってその会社の広報担当者がボンクラだろうからしょうがないです。しかし前半の部分はいただけない。
そもそも、メディアにとって、取材対象というのは「義理があるから取材対象となりえる」ってことなんですか? それってメディアの死を意味してませんか?
と思ってたら、同様の意見が媒体側や媒体経験者の人から。。。
某経済オンライメディアの星野さんは以下のコメント↓
元男性ファッション誌の山本さんは以下のコメント↓
某経済オンライメディアの星野さんは以下のコメント↓心情としては分かるけど、いくら個人的な発言とはいえ記者がパブリックにメディアの名前を背負ってこういった発言をすると、メディアとしてはほぼ死を意味するに近い。脳死か。
アメリカのメディアなら、おそらく正味即解雇で、ジャーナリストとしては社会から抹殺されるくらいの投稿かと。企画を広報頼みにしているかんじも個人的には全く気に入らない。
アスキーのような名が知れた会社でも、"提灯媒体の事情"を鑑みろ的なことを中の人が高らかにに宣言できる空気感というのは、ほんとなんだかなあである。
さて。。。
この元の文章を書いたアスキーの方が仕事熱心なのはわかります。そして色々事業が大変なのもわかります。お金欲しいのもわかります。
でもね、それ書く?
某エ◯テーの◯毛さんなんて、
ただで書いてやっているという糞姿勢のアスキーということにつながるわね。
という名言をfacebookでコメントされておりましたが、確かに元記事を逆に捉えればこういうことになりますよね。
で、なによりも今はネットメディアやネット広告が襟を正すことを求められてる時期になってるんですよ。
先日の、NHKのクロ現+の特集とか、
ステマについての業界上げての警鐘などなど、この数年、広告業界はなんとか是正を図っていこうとして来ているわけです。
でも、なんども頓挫してしまうのは、ビジネス上の倫理観が欠如している人たちがほとぼり冷めたころに「やらかして」くれるから。今回の記事についてもそれですね。ほんと「メディアがそういう姿勢だからステマとか起きるのねえ」って思われちゃうよね。
まぁ、ここしばらくまた「ノンクレジットタイアップ」案件が媒体に持ち込まれる話も耳にする機会が増えてきてますしね。
あ、あと、広告業界で警鐘を鳴らしても、広報業界の人はほんと色々やらかしてくれる。ノンクレジットタイアップとかステマとかって、広報業界の人たちの中には「それ、何が悪いんですか?」って思ってる人もたーくさんいますしね(豆腐の角に頭ぶつけて死んでまえ)。
あ、だからなんですね、上記の記事について「勉強になりました」ってコメントが広報関係者から多いの。
てか、なにが「勉強」になってるんでしょう? そもそもステマやノンクレジットタイアップがなぜ悪いか?についてわからないようなアタマで「勉強になりました」って。嘲笑して欲しいんでしょうか?
(特にレガシィな)広告業界の人々は、編集と広告の狭間についてきっちり分けるべきものと感覚的に理解してる人は多いと思うんですが、広報の人々の中には金銭などの経済的便益を持ってして編集者に記事を書いてもらうということについて、距離が近すぎるせいなのか、その倫理的な問題を理解してない人がまだまだたくさんいるのは残念です。
ここまで書いた面倒くさい記者に向けてネタを持ち込んでくれる人を私は大歓迎します。素敵な記事作るので、いっしょに世の中動かしましょう
と、上の記事の中の最後のシメに書いてありますが、ここに「ネタ」を持ち込む企業の広報やPR会社の人は、ステマやノンクレジットタイアップの共謀者になるかもしれない、ってことですよね?
あー、そういえば、広報業界の人材レベルについて考えさせられたもう一つの文章がもう一つありましたね。
こちらについては「PRパーソンとしてやっちゃいけないことやってるなあ。もうPRの仕事できなくなるんじゃないの?」と思いましたが。
以上、朝から義憤に駆られるようなそんな記事を読んで、頭に血が行きましたので、ランチを食べて胃のほうに血を送るようにしてきます。
追記1)
元記事について、「えー、これで怒る人がいるのがちょっと理解不能です。当たり前じゃないのか?という感じなんですが」と言ってるフリーライターの女性がいました。びっくりです。
追記2)
居酒屋感覚で、脳ミソの中がダダ漏れなnoteを書くのがいかんのですよ。
いや居酒屋であっても、社名入り封筒置いてたり、会社のバッヂつけたまま、うかつな話するなってことであって。
会社名入りで、グレーな話をするなんてアホか、ってことなんですよ。
なので「公言してええんかヲイ」って話であって、このアスキーの人の心情がわかるうんぬんって話じゃないんですよ。そこを擁護したところで、微妙なことを公言してることについての危うさは逃れられるわけではない。
追記3)
「お詫び」が出ました。
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