令和3年度の広島県との実証実験結果を公表
令和3年度に広島県で実施された「ひろしまサンドボックス D-EGGS PROJECT」にて地域医療における専門医偏在課題に取り組む実証実験を実施しました。この度、その結果がまとまりましたので詳細情報を初公開いたします。
※メイン画像はnativ.mediaより
ひろしまサンドボックス」とMediiの取り組み
「ひろしまサンドボックス」は、広島県が中心となって企業の新たな付加価値を見出す取り組みです。地域課題の解決をテーマとし、企業と共創できる新たな事業構想の場としてこの度、Mediiはニューノーマル時代の課題をデジタル技術を通じて解決するひろしまサンドボックス「D-EGGS PROJECT※₁」に応募。
その結果、Mediiが提案した「広島県内での専門医偏在化問題の解決を通して全国の地域医療格差の解決を図る」アイディアが全国計391件の応募の中から最終採択30件(FINAL30EGGS)に選定され、患者負担の大きい病院間の不要な患者紹介割合をオンライン専門医コンサルにより減らすことができるかの検証を行いました。
※E-コンサルの詳細はこちらの投稿でも記載しています!
実証実験の成果
実証実験には広島県内の13の医療機関と20名を超える医師が参加し、期間中の「E-コンサル®」を通じた遠隔専門医コンサルでは、目標であった50件以上の地域患者に関する課題を解決に導きました。また、診療所や小規模病院から大病院へ患者を移送する際に「E-コンサル®」を活用することで、不要な患者紹介を45%減少させることにも成功しました。つまり、専門医の知見がシェアされたことにより、患者の身体的・金銭的な負担の軽減に繋がることが実証実験により証明されました。
また、地域医療の専門医不足による住民課題調査はデータや資料が世界的にも乏しく、住民や難病患者がどのような課題を持っているのかを明確にするため、実証実験と並行して三次市甲奴町全住民と広島県内の難病患者を対象にした無記名アンケートを実施しました。
アンケート結果
難病である潰瘍性大腸炎や関節リウマチなどの特殊な治療が必要な患者の総数は「5大疾病」の脳卒中や心筋梗塞の患者数と同水準存在することが明らかとなりました。さらには、住民の受療行動においては、脳卒中、悪性腫瘍などの疾患をもつ患者は通院への時間的負担が少ないと回答する一方で、専門医偏在傾向にある指定難病をもつ患者は、遠方から専門医のいる市内中部へ移動を余儀なくされているため、「通院に負担」を感じていると回答しています。
その他にもアンケートでは、かかりつけ医が遠隔専門医コンサル『E-コンサル®』を活用することで、患者が遠方への移動負担軽減に繋がることへの期待も数多く寄せられました。
実証実験の概要
実施期間:2021年4月~11月
対象者:広島県北部(山県郡、安芸高田市、三次市・庄原市)を中心とした中核病院、小規模病院、診療所
実証目的:住民・患者課題を明確にし、患者負担の大きい病院間の不要な患者紹介割合をオンライン専門医コンサルにより減らすことができるかの検証を行う。
検証項目と結果
住民アンケート+難病患者アンケートから住民、難病患者においての課題を把握する。
※甲奴町に住む2280人中943人が回答(人口の約40%)
① 指定難病は遠方への通院時間に患者は負担を感じている。
②遠方に通っている指定難病の患者は、専門医との併診ができるのなら転院を希望している。
③広島県の難病医療提供体制の整備に32 %が期待している。
④かかりつけ医で難病に対する薬が処方できるようになった際、50% 以上が専門医と地元の病院で医療連携を取ることを希望していた。
患者移送を考慮、悩む患者においてE-コンサルで事前相談→紹介不要と判断できた割合を検証する。
・E-コンサルを通じた院外コンサル発注件数
⇒(目標)50件
(結果)51件
目標の患者紹介20%削減が達成可能なのか確認
・紹介しなかった患者数/紹介検討患者数=患者紹介減少割合
⇒(目標)不要な紹介数を20%減らす
(結果)45%減少
今回培ったノウハウを活かしながら他の地方自治体に対しても引き続き展開し、地域における専門医偏在問題の解決のため真摯に取り組んで参ります。