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今年の箱根駅伝と「俺たちの箱根駅伝」について

昨年出された池井戸潤の小説『俺たちの箱根駅伝』は、箱根駅伝ファンの有無に関わらず、胸熱く読める作品だろう。関西出身の自分にとって箱根駅伝は、遠い関東のお祭りだった。それが12年前に東京で働いてから、それは正月に欠かせないものになった。同小説は、箱根駅伝出場を逃した大学の選手たちが集う関東学生連合チームと、彼らを取材するテレビ局の視点から描かれた作品である。主人公の青葉隼斗は、名門・明誠学院大学陸上部の主将で、故障を乗り越え最後の箱根を目指す。一方、テレビ局のプロデューサー・徳重は、箱根駅伝中継の成功に向けて奮闘する。選手たちの熱い思いと、それを伝えるメディアの裏側が交錯する物語である。

 2025年の第101回箱根駅伝では、青山学院大学が10時間41分19秒の大会新記録で2年連続8回目の総合優勝を果たした。2位は駒澤大学、3位は國學院大學が続く。関東学生連合チームは、予選会で本大会出場を逃した大学の選手から選抜されるチームで、オープン参加として順位や記録には反映されない。しかし選手たちにとっては貴重な経験の場となっている。2025年の大会では、小説さながら、上位で区間を駆け抜けるところが見れた。最終的には、参考記録として16位相当の11時間06分53秒を記録した。今回自分ははじめて気づいたが、箱根駅伝には大学院生も出場可能で、所属大学の競技部員であり、大会の登録規定を満たし、エントリーメンバーに選出されれば、学部生と同様に出場することできる。往路での東大選手のタスキリレーは感動ものであった。

 『俺たちの箱根駅伝』は、箱根駅伝に懸ける選手たちの情熱や、彼らを支える人々の努力を描いた作品であり、実際の大会と重ね合わせることで、より深い感動を味わうことができる。今年もテレビから、箱根駅伝に関わる一人一人にこの駅伝にかける想いがあり、ドラマがあることが感じられた。勝者がいれば、敗者はいる。全てが思い通りに行くことなんかは期待できない。ただ「今年も1歩1歩前に進めよ」と若い世代からエールをもらったような気がする。


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