【📰文系×医療🩺】頭痛と顔面痛が痛い

しょーた＠文系の「医師国家試験」勉強日記👨‍⚕️

2021年12月28日 19:45

今回は脳神経に関わる病気について学んでいきます。

脳が感覚をつかさどっていることはわかるけど、
その像や仕組みはまだまだブラックボックスな印象です。
この記事を通じて少しだけ解像度を上げることができれば、
勉強したかいがありそうです！

医師国家試験の問題はこちら👇

頭蓋内血管による脳神経の圧迫で起こるのはどれか。

a. 片頭痛
b. 三叉神経痛
c. 本態性振戦
d. Parkinson病
e. 側頭葉てんかん

第114回 A問題 10問目

頭痛が痛い

頭痛が痛いでお馴染みの「頭痛」について、
なぜ発生するのか？
を調べていきます。

「頭痛」の正体

「頭痛」は頭が痛いことですが、
その痛さはどこから来るのでしょうか？

実はその痛さは様々な理由があります。

脳の内外にある血管や神経、筋肉が
圧迫されたり、炎症を起こすことで
「頭痛」が発生します。

また、頭痛には「一次性頭痛」と「二次性頭痛」があります。

一次性頭痛とは、他に原因となる病気のない頭痛です。
一般的な頭痛はこれにあたります。

二次性頭痛とは、他の病気を原因として引き起こされる頭痛です。
特に、くも膜下出血、脳腫瘍の場合は、命の危険があり、
すぐに治療を受ける必要があります。

3パターンの一次性頭痛

いわゆる「頭痛持ち」という時は、
一次性頭痛であることが多いです。

一次性頭痛は通常生命を脅かすことはありませんが、
生活に支障をきたしQOLが低下するため、対処が必要な場合もあります。

一次性頭痛には、
「片頭痛」、「緊張型頭痛」、「群発頭痛」
の三つのタイプがあり、下で詳しく説明していきます。

片頭痛（血管性頭痛）

「片頭痛（へんずつう）」は、
一番聞き馴染みのある慢性の頭痛だと思います。

症状
頭の片側（または両側）が脈打つようにズキズキと痛む頭痛です。
吐き気、嘔吐、音や光に対する過敏な反応を伴うことがあり、
日常動作により頭痛が悪化することもあります。

頭痛が始まる前に、キラキラした光、ギザギザの光（閃輝暗点）
などの視覚性前兆があることも知られています。

原因
日本の年間有病率は 8.4 ％と高い病気ですが、
片頭痛の詳しい原因は分かっていません。

ストレスや睡眠、物理的刺激や月経など、
身体に負荷がかかる場合の発症が多いとされています。

治療
頭痛発作時には、静かで快適な環境で安静にしていることが大切です。
薬物治療としては、
セロトニン受容体に働き、血管を収縮させるトリプタン、
比較的軽度の発作では、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）やアセトアミノフェンが用いられます。

また、発作が起きにくくするための予防薬として、
Ca2+拮抗薬、β遮断薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、ACE阻害薬
などが使用されます。

緊張型頭痛（筋肉収縮性頭痛）

一次性頭痛のなかで最も多いとされるのが緊張型頭痛です。

症状
圧迫されるような、あるいは締めつけられるような非拍動性の頭痛です。頭痛のために日常生活に支障が出ることはあっても、寝込んでしまうほどではありません。

原因
精神的ストレスや、痛みや眼精疲労による刺激によって、頭蓋を包む筋肉が収縮することが原因になります。

治療
発作時には、鎮痛・解熱・抗炎症作用があるNSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）を使用します。また、筋肉の緊張を緩和する抗不安薬（エチゾラム、ジアゼパムなど）を併用することもあります。

予防としては、三環系抗うつ薬（アミトリプチリン）を用います。

群発頭痛

一次性頭痛の中でも、自律神経に関わる病気です。

症状
片側の眼周囲～前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が数週から数ヶ月の期間群発することが特徴です。夜間、睡眠中に頭痛発作が起こりやすく、頭痛発作時には頭痛と同じ側に眼の充血や流涙などの自律神経異常に起因する症状を伴うことが特徴です。

原因
原因ははっきりとは明らかになっていないが、脳の視床下部という場所に関係しているといわれています。視床下部から目の奥の三叉神経が刺激され、血管拡張された結果、痛みを伴うという説があります。

治療
発作時には、頭蓋内外の血管収縮と抗炎症効果のあるスマトリプタンを皮下注射で投与します。

予防としては、カルシウム拮抗薬やステロイドを使います。

顔面痛

頭痛と似たものとして顔面が痛くなる病気もあります。

三叉神経痛（さんさしんけいつう）

三叉神経とは
三叉神経とは、三つの枝(眼神経、上顎神経、下顎神経)に分かれています。それぞれが、おでこから眼球まで(第１枝領域)、下まぶたから頬・上唇・上の歯茎まで(第２枝領域)、下唇から下顎・下の歯茎・舌の半分(第３枝領域)の感覚をつかさどっています。

症状
三叉神経痛とは、顔面の片側に強い痛みを生じる病気です。突然、痛みが現れて短時間で消えるケースが多く、痛みが持続するのはほとんどが数秒から数十秒程度です。

原因
頭蓋骨の内側にあるくも膜と、脳表面にあるくも膜下腔において、三叉神経が、脳血管に圧迫され、これが痛みとして大脳に認識されます。

治療
薬物療法として、神経痛に効果のある抗てんかん薬のカルバマゼピンや、神経障害性疼痛のプレガバリンが使用されます。
しかし、根本的に神経の圧迫を治療するには、血管と神経を移動させる手術が必要になります。

https://www.sasazuka21pain-cl.jp/facial-neuralgia/

歯に関わる病気

歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)
歯のう蝕や歯周病を引き起こした細菌の炎症が、上顎洞にまでおよぶ病気です。

歯根膜炎(しこんまくえん)
歯の付け根の歯根膜が細菌や外傷により炎症する病気です。

問題

ここで問題を解いていきます。

頭蓋内血管による脳神経の圧迫で起こるのはどれか。

a. 片頭痛
b. 三叉神経痛
c. 本態性振戦
d. Parkinson病
e. 側頭葉てんかん

答えはbです。

今回触れていないc~eも少し調べていきます。

本態性振戦（ほんたいせいしんせん）

本態性振戦は、手が震えてしまう病気です。
原因はよくわかっていませんが、興奮や緊張などの交感神経が関わっていると言われています。

Parkinson病

パーキンソン病は、振戦（ふるえ）、動作緩慢、筋強剛（筋固縮）、姿勢保持障害（転びやすいこと）といった運動機能に関する症状があります。
神経伝達物質のうち黒質という部位にある「ドパミン」が減少することによって生ますが、減少する理由は分かっていません。

側頭葉てんかん

てんかんとは、神経細胞が異常な電気活動をすることにより、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」を繰り返し起こす病気です。
そのうち、側頭葉の内側にある海馬の硬化が見られるものを側頭葉てんかんと言います。発作の前兆として、上腹部の不快感や恐怖感、デジャブがあることが特徴です。