子宮全摘には、メリットもデメリットもあるらしい
「わっはっは」普段から声が大きく、豪放磊落で明るい性格のK先生は、笑い飛ばしてくれました。「あのね、あなたの症状はガンではなくて、貧血だからそんなに心配しなくていいよ。検査でガンが見つかったのならすぐに治療しなくてはいけないけど、貧血ですぐに死んだ人はいないから、大丈夫。このくらいのレバーのような塊が出ることは、ほかの患者さんでもあること。まずは、赤血球の数値が下がってきたから鉄剤のお薬を飲んで、様子を見てみましょうか。」
あなたの場合、子宮全摘はおすすめしない
「そうなのですね。」先生の明るいリアクションに、私はかなりホッとしました。
「でも、日常生活も息切れがしたり、とても辛いのですけど、治療法は?」
「治療法は、完治させるには今のところ子宮全摘しかないのだよね。子宮全体が厚くなって、大きくなっている状態だから。でも、あなたの場合、子宮全摘はおすすめしないよ」
「なぜですか?」
「全摘してしまえば、確かに今後の子宮頸がんや子宮体がんのリスクは回避できる。でも」
① 全摘することで、前後の臓器(腸や膀胱など)との癒着をしてしまう合併症リスクがある
② そこにあった臓器がなくなることで、晩年になってから骨盤臓器脱を発症する可能性がある
③ 全摘手術時の全身麻酔のリスク
④手術の際に、ごくまれではあるが尿道などに傷をつけてしまって排尿障害などの後遺症が残るリスクもある
ごくまれだけど全摘後に後遺症に苦しむ人もいる
「主にはこういうリスクがあるから、命にかかわらない貧血で、しかもあなたの場合、閉経すれば症状はおさまるはずだから。今話したリスクは、多くの患者さんに起こることではないけど、ごく少数の患者さんでは、後遺症に苦しむこともあるのだよね。身体にメスは入れずに済むなら、入れない方がいい。
今、47歳でしょ、あと2~3年かな。なんとかやり過ごしたほうが、僕はいいと思うけど。」
K先生は、私がフルタイムの仕事をしていないことも勘案して、最終的にこの診断をくださったのだと思います。
「貧血は鉄剤を飲んで、治療してみましょう。」先生の意見に従って、薬を飲んで様子を見ることにしました。