命にかかわらないだけに家族や仕事が優先になる思考回路
仕事・子育て・介護・・・更年期世代には縛りが多い
「全摘なら、5日間入院か・・・。その間の高校生の子ども2人のお弁当と夫の食事はどうしよう」「彼女は学生時代からスポーツ万能で、めっちゃ体力あったよね。私はそこまで体力ないしなあ・・・術後の痛みが強かったらどうしよう」
大学時代の親友からの全摘体験談を聞いて、心が揺らぎます。
命に係わる病気なら、アレコレ考えずに即オペするのでしょうが、係わらないだけにいろいろ考えてしまいます。
風邪をひいて熱があっても、寝不足でしんどいときも、ワンオペ育児。自分のことより家族優先で過ごしてきた子育て期間の思考は、すぐには切り替わらないのかもしれません。
ご自身のキャリアを大切に考えている方だったら、仕事を5日も休むことに抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。
更年期世代の方なら、介護が必要な家族がいて、自分が長期で入院するのは難しい方もいるかもしれません。
ひとつの命を預かった責任感に震えた日
そう、掘り下げて考えてみれば、私の場合は子どもを授かって、まだ首も座らないクニャクニャした物体を抱いて、産院から退院してきた時。明日から当分は実家で静養できるけれど、その後は仕事が多忙な夫の留守中は、基本ひとりでの育児です。「この子は、私がもし母乳を飲ませなかったら、この首を支えられずに折ってしまうことがもしあったら、簡単に死んでしまうのだ。」
ひとつの命を預かった責任感と使命感に、震えたことを思い出しました。
それからは、夜中も授乳で2時間おきに起き、自分が体調不良の時も、基本は子ども優先の生活が続きます。母親を経験すると、自分が体調不良でもギリギリまで我慢して、家族のために入院は控える、という思考回路が沁みついてしまっている人が思いのほか、多いのではないでしょうか。
低侵襲でも多少は痛いし、入院期間も主婦にとっては長い
同じく腹腔鏡手術を経験したカメラマンの知人は、摘出後の痛みについてこう話してくれました。「傷は小さいけど、痛みはあるよ。術後はフライパンを振って料理するのも痛くてつらかった。開腹手術よりは、マシやろうけどな~。」
腹腔鏡手術は低侵襲で、身体の負担もだいぶ軽い。ガンのリスクはなくなるけれど、小さくメスを入れるのだから、痛みはある。しかも、5日ほど家を空けるのは、子どもがいる主婦にとっては考えてしまう長さです。そして、そもそも主治医に「全摘はやめておいたほうがいい」と言われているしなあ・・・。
PCの前に座りながら、あれこれ治療法を検索し、悩む日々が続きました。