女 性 診 療 放 射 線 技 師 の リ ア ル ラ イ フ~医療現場と教育現場を経験して~ 茨城県立医療大学 放射線技術科学科│中島絵梨華
仕 事 編
Q.診療放射線技師を目指したきっかけ
A. 私は高校時代に漠然と医療系の仕事に就きたいと考えていましたが、大学を選択する際の優先事項は自宅から通学できることと学費が高額でないことでした。そのため自宅近隣にある医療系の大学に希望を絞り、たまたま受験した年度で最も競争率が低い学科である放射線技術科学科に入学しました。そのため、お恥ずかしながら他の方のような元々どうしても診療放射線技師になりたくて、なったという感じでは正直ありません。しかし、いざ大学に入学し優秀な先生方から診療放射線技師になるための様々な基礎科目や専門科目を教わっていくうちに診療放射線技師の奥深さに興味を惹かれていきました。また臨床実習等で診療放射線技師が実際に病院でどのような役割を担っていて、どのように医療に貢献しているのかを先輩の診療放射線技師の方々に教えていただき、より本気で診療放射線技師になりたいと思うようになりました。
Q.やりがいを感じるとき
A.病院に勤務している際は、患者様から「ありがとう」と声をかけてもらったときに一番やりがいを感じています。さらに自分の満足のいく画像が自分のシミュレーション通りに撮影できたときも満足感があります。特に一般撮影検査やMRI検査等は患者様に応じて撮像方法を工夫する必要がありますが、定められた時間の中で、なるべく患者様の負担が少なく、かつ診断に有用な画像を取得できたときは技師冥利に尽きるものです。
教育現場で仕事をしている際は、学生とコミュニケーションをうまく取れたときにやりがいを感じています。学生は正直ですからつまらない授業をしたり、うまく学習内容を説明できなかったりするとなかなか距離を縮めてくれません。しかし、学生の求めていることにしっかり対応することができれば真正面からぶつかってきてくれます。最高の瞬間はやはり卒業式ですね。毎年在学中の思い出がたくさん蘇ってきて感涙ものです。
Q.私の職場遍歴
A.卒後数年間、診療放射線技師として総合病院に勤務しました。ここでは優しくて頼りがいのある先輩方に囲まれて、診療放射線技師の基礎をたくさん身に着けることができました。今ではほとんど目にすることもなくなりましたが、初期の頃はスクリーンフィルムを用いた撮影でしたので撮影条件や照射条件はみっちり頭に叩き込まれました。フィルムを現像するための暗室のにおいも今はもう懐かしい記憶です。その後、結婚を機に当直や宿直がないクリニックに転職しました。ここでは主にマンモグラフィ検査に従事していました。その後、出産・子育てをきっかけに勤務時間の短い大学の非常勤嘱託助手になりました。その後、非常勤から常勤となり大学教員として勤務しています。自分のやりたいことを考慮しつつ、その時の仕事と家庭のバランスを見ながら臨機応変に仕事を選択してきたという感じです。
Q.診療放射線技師養成課程の学生時代
A.学生時代は少人数制の学校だったということもあり、アットホームな雰囲気で4年間過ごすことができました。先生と学生との距離も近く、様々なことを教えていただけました。また40人中10人程度しか女子生徒がおらず、みんなで仲良く勉強や遊びを楽しんでいました。一番の思い出はクラスで行った卒業旅行です。旅行先でチームに分かれて、パン食い競争やリレーなどの運動会的なことをやりました。企画してくれた仲間には本当に感謝しています。たまには羽目を外すこともありましたが、現在でも多くの学生時代の仲間と連絡を取り合っており、本当に一生の仲間に出会えた学校には感謝しています。
Q.新人について(どのように仕事を教えているか、若い人へ一言など)
A.新人時代は右も左もよく分からずに先輩方の教えてくださっていることを一つずつ実践していくことが大切です。いろんなことを叱責されたり、理不尽なことを言われたりして気分が落ち込むことや自分の不甲斐なさに自信を無くすこともあるかと思います。でもいつか必ず、今やっている努力は報われます。歩いては休んで、休んでは休んで…。泣いて笑ってご飯食べて…。でも絶対にあきらめないでください。
Q.妊娠と被ばくについて
A. 診療放射線技師としてキャリアを継続していくと自分自身が妊娠することもあるかもしれません。妊娠と被ばくについては放射線に対して正しい知識がないと、不安に感じることも少なくないと思います。私自身も妊娠出産
を経験しましたが、出産ぎりぎりまでマンモグラフィ検査に従事していました。患者様から「妊娠しているのにマンモグラフィ検査に従事して大丈夫ですか?」などと質問されることもありました。また女性の診療放射線技師だけでなく、看護師や女性医師などから妊娠と被ばくについて相談されることもありました。いざ妊娠した際や妊娠した可能性が出てきたときにうまくコントロールできるように事前に正しい知識をつけておくことが不安を取り除く方法の1つではないかと私は考えています。またその知識が患者様対応や他職種の医療従事者の被ばく相談にもきっと役に立つことになります。
プ ラ イ ベ ー ト 編
Q.仕事との両立について
A.私には現在、中学生と小学生の2人の子供がいます。2人とも生後2か月から保育園に預けていたため、保育所で育ててもらった感がかなりあります。初めて寝返りをしたのも初めて歩いたのもトイレトレーニングをしてもら
ったのも保育所でした。そういえば、産休明け初日に高熱で子供が1週間ほど緊急入院なんてこともありました。さすがに仕事を辞めようかなと考えたりもしました。
また仕事で緊急検査が入り、保育所のお迎えに間に合わないときや、子供が熱を出したり、病気になったときは、実母や夫にかなり協力してもらいました。そのため途切れることなく、なんとか仕事を続けられています。
現在は子供たちもかなり大きくなり、体調を崩すことも減りましたので仕事でストレスが溜まった時は子供たちの笑顔に癒され、家庭でストレスを感じたときは仕事仲間に愚痴を聞いてもらい、いいとこどりをしながら生活しています。
Q.美容事情
A.特に美容に気を遣っているわけではありませんが、疲れたときはなるべくお風呂につかるようにしています。お風呂掃除も大変なので、夏場は特にシャワーで済ませてしまうことも多くありますができる限りお風呂に入ることを心掛けています。特に夏にお風呂につかると汗がたくさん出て気分が爽快になります。また週末にテニスをしたり近所の公園を散歩したりして運動をしています。現在は一日の歩数を計算してくれるアプリなどもあるので、週末は10,000歩を目指しています(目指しているだけですが)。あとは海が好きなので夏は海辺にいってストレス発散をしています。ストレスはお肌の大敵ですから、なるべくストレスは小さいうちに解消するように心がけています。
Q.趣味について
A. 趣味は野球観戦です。息子が野球をやっているので、特に少年野球大会などはよく観戦しにいきます。現在はコロナ渦なので大きな声で声援を送ったりすることはできませんが、ナイスプレーが出たときは敵味方関係なく大
きな拍手が沸き起こります。この光景は、プロ野球等では見られない光景ですし、スポーツマンシップに則ったもので大きな感動を呼び起こします。ところで今年の甲子園も熱かったですよね、甲子園で全国高等学校野球選手権大会が開催されている時期は毎日スポーツニュースをみながら感動していました。高校球児の熱い汗と涙、1つの白球に向かってただすらに向き合う努力。賛否両論はありますが、私は彼らががんばっていること、夢に向かって努力していることは本当に素晴らしいことだと思いますし、多くのエネルギーをもらえます。私も日々頑張ろうと思えるそんな趣味です。