医療専用ITブログ：開業時のネット環境整備はどうする？
医療開業を考える際、診療所やクリニックのネット環境整備は重要な要素の一つです。現代の医療機関では、電子カルテや遠隔診療、オンライン予約システムなど、インターネットを活用したサービスが不可欠となっています。これらのサービスを円滑に運用するためには、信頼性の高いネット環境が求められます。
本ブログでは、医療機関が開業に際して必要なネット環境整備の概要と具体的なステップ、セキュリティ対策、さらに費用と予算管理について、ご紹介します。
記事を通じて、医療開業に必要なネット環境の全体像を把握し、導入計画を立てる際の参考にしていただければ幸いです。
開業に必要なネット環境整備とは
ネットは病院・診療所・クリニックのこんなところで利用されています
電子カルテや医療情報システムは患者情報の管理や医師・看護師・スタッフ間の情報共有において不可欠です。
また、診療予約システムやオンライン診療の普及により、患者とのコミュニケーションもネットベースとなりました。ビデオ通話を介した患者とのカウンセリングにおいても、ネットの品質確保が求められます。
さらに、業務時の遠隔モニタリングやデータセンター利用など、あらゆるシーンでネットが利用されています。
安定したインターネット接続は診療の質や患者満足度向上にも寄与するため、医療開業時の整備が必要不可欠です。
医療機関で必要なネット回線の種類とは？
医療機関には高速かつ安定したインターネット接続が求められることから、光ファイバー回線が多く選ばれています。光ファイバーは大容量データの迅速な送受信が可能で、電子カルテや画像診断、遠隔診療、ビデオ診療や会議などに適しています。
また、専用線（※）は、通信速度が一定で、特に大型病院での利用が推奨されます。さらに、バックアップ回線として異なるプロバイダーの回線を用意することもあります。衛星インターネットは、インフラが整っていない地域での選択肢となります。
※専用線とは、主に拠点間の1対1の内線通話のために、インターネットを介さず物理的にケーブルを接続する企業専用の通信回線のことです。通信事業者が回線を敷設することで利用可能になります。
ネット環境整備のための具体的なステップ
１. サービスプロバイダーの選択
医療機関のネット環境を整備するにあたり、最初に重要なのがISP（インターネットサービスプロバイダー）の選定です。ISPはインターネット接続の品質を左右し、医療機関の日常業務に大きな影響を与えるため、慎重に選ぶ必要があります。
医療機関がISPを選ぶ際に考慮すべき主なポイントとして、契約前に提供される通信速度や帯域幅が実際の業務に十分かどうかを確認しましょう。医療機関ではネットワークのダウンタイムが許されないため、サービスの稼働率（アップタイム）やアップロード速度が高いプロバイダーを選ぶ必要があります。可能なら契約前に他の医療機関の評判やレビューを参考にしましょう。
２. ネットワーク機器の選定と設置
ネットワーク機器選定時は、ルーター、アクセスポイントなどの基本を考慮します。また設置においては、物理的な配置に加えネットワーク設計がカギとなります。安定した通信環境を確保するために、ネットワーク設計に関しては専門家の助けを借りることが推奨されます。
また、医療機関においては、患者情報の保護やデータの安全性が最優先事項であり、機器の選定においては、ファイヤーウォール等のセキュリティ要件を満たしていることが求められます。院内のWi-Fi環境の整備においても、セキュリティ対策を含めた適切な管理が求められます。
これらの点を考慮し、医療機関にインターネット環境を構築することで、安心して医療業務を効率化し、医療サービスの向上や患者満足度の向上につなげることができます。
医療機関のセキュリティ対策はどうする？
患者情報を守るための基本対策
患者情報の保護は医療機関の最重要事項です。以下の基本対策をおさえておきましょう。
端末へのログインや、クラウドサービスへのログインには、強力なパスワードの設定や、可能であれば二段階認証を実施します。
最新のウイルス対策ソフトとファイアウォールを導入し、定期的なソフトウェア更新を行います。メンテナンスやアップデートを行うことで性能を維持し、セキュリティリスクを低減できます。
全デバイスのエンドポイントセキュリティを強化し、医療スタッフにもセキュリティトレーニングを実施して、情報漏洩などのリスクを減少させましょう。
年に一度・半期に一度など、定期的にセキュリティ監査とリスク評価を行うことで、適切なセキュリティ対策が講じられているかどうかを確認できます。
厚生労働省発行「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」とは？
厚生労働省より、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」6.0版（2023年5月）が策定されました。改訂の背景には、2023年4月から保険医療機関・薬局においてオンラインによる資格確認が義務化されたこと、サイバー攻撃が多様化していることなどが挙げられます。今回の改定では、外部委託時や各種サービス利用時のリスク整理、情報セキュリティ対策の整理、新技術導入時への対応などの整理がされました。
その中で、情報通信技術の適切かつ安全な利用を支援するため、日本の医療機関のネット環境に関する安全管理指針や基準も明記されています。具体的には、電子カルテや遠隔診療におけるセキュリティ対策、またネットワークの暗号化やアクセス制御、個人情報保護法に基づく管理体制などがあります。
参考資料：
医療機関のネット環境整備のための費用と予算管理
初期費用とランニングコスト
ネット環境整備における初期費用には、インターネット回線の開設費用や必要なハードウェア（ルーター、スイッチなど）、ソフトウェア（セキュリティソフトなど）の購入が含まれます。
一方、ランニングコストは月々のインターネット接続料金や機器のメンテナンス費用、ソフトウェアやクラウドサービス等のライセンス費用などが含まれます。
全体的なコスト管理を徹底し、イニシャルコストとランニングコストのバランスを考慮した予算計画をすることが大切です。また、将来的なネットワークの拡張やアップグレードの可能性も考慮し、長期的な視野に立った予算計画を立てましょう。ネットワーク環境を構築した後も予算や支出の内容を定期的に見直すことが重要です。
病院・診療所・クリニックにおけるコスト削減のポイント
医療機関のネット環境整備におけるコスト削減には、以下のポイントを意識しましょう。
初期費用やランニングコストを抑えるためには、複数のプロバイダーから見積もりを取り、契約内容や料金プランを比較するとともに、長期契約割引やパッケージサービスが利用できないか検討することが望ましいです。
既存のネットワーク機器の再利用や中古品、リースなども検討し、自社でできるものは自社で手配するなどの方法で初期投資を抑える方法もあります。
ランニングコストを削減するには、エネルギー効率の良い機器を選んだり、月額料金が安いクラウドサービスなどを利用するとよいでしょう。企業に保守・メンテナンスを依頼する場合も、定期的にサービスを低価格で受けることができるかどうかを確認しましょう。
これらを押さえることで、ネット環境整備における費用を効率的に管理し、コスト削減を実現することができます。
まとめ
インターネットの普及により、私たちの働き方は急速に変化しています。
医療機関における最適なネットワーク環境の構築は、単なるネットワークシステムや機器の導入にとどまらず、セキュリティ対策やコスト管理など、さまざまな要素が絡んできます。そのため、専門的な知識と経験を持つパートナーや企業へ依頼することが推奨されます。専門業者のアドバイスを通じて、適切なプロバイダーを選定し、機器を導入をすることで、安心・安全で診療に専念できる環境を構築することができます。
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プロバイダー選定とセキュリティ対策：医療機関に最適なインターネットサービスプロバイダーの選定から始め、信頼性の高いネットワーク機器の提案・導入を行います。また、ネットワークの設計段階からセキュリティを重視し、患者情報を守るための高度なセキュリティ対策を導入します。これには、ファイアウォールの設置やデータ暗号化などが含まれます。
コスト管理：初期費用とランニングコストを明確にし、予算内で最高のパフォーマンスを実現するプランを提案します。費用対効果を最大化するための具体的なコスト削減ポイントを提示し、不要な支出を抑えるお手伝いをします。
メンテナンス：医療機関のIT環境は一度構築すれば終わりではなく、常に最新の技術やセキュリティ対策を取り入れ、最適な環境を維持する必要があります。メディカルITサポートは、定期的なメンテナンスやアップデートの他、故障・不具合時にはリモート保守・現場駆けつけサポートを実施しています。
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