【ドローン業界信用失墜】『未来ドローンアイデアコンテスト』丸パクリ事件
日本通運が基幹システムの開発失敗を巡ってAccenture(アクセンチュア)社を提訴していることが明らかになったばかりだが、コンサルティング会社による失態は日本のドローン業界にも数多く存在する。そのひとつが海外有名論文を丸パクリしたアイデアが『未来ドローンアイデアコンテスト』のグランプリに選定された事件である。
この『未来ドローンアイデアコンテスト』において一目でImperial College London(インペリアル・カレッジ・ロンドン)の有名な研究『Aerial additive manufacturing with multiple autonomous robots』の丸パクリだと分かるアイデア「ドローンによる3Dプリンティング建築」がグランプリに選定されたと知ったとき、私たちドローンとAAMのエキスパートは大いに驚かされた。
その『未来ドローンアイデアコンテスト』を主催・共催していたのがコンサルティング会社であった。主催はパーソルプロセス&テクノロジー株式会社。共催はPwCコンサルティング合同会社。更に、協賛には一般社団法人ドローンサービス推進協議会(DSPA)も参画していた。また、当該コンテストの審査員もこれら主催・共催・協賛で構成されていた。
グランプリ受賞者が故意によって意図的にアイデアを盗用したのか、あるいは偶然にも結果として丸パクリのアイデアとなってしまったのかは定かではないが、本来であれば審査員が『Nature』にも掲載されたインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)の有名な研究テーマなので受賞から除外するのが適切であった。
しかし、結果として丸パクリのアイデアが『未来ドローンアイデアコンテスト』のグランプリとなったことで、日本のドローン業界が海外から不信の念を招く事態となった。
ドローンによる3Dプリント建築
ICLの複数ドローンによる3Dプリント建築研究
インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)Department of Aeronauticsが3Dプリンターを搭載した複数のドローンによる空中建築研究論文「Aerial additive manufacturing with multiple autonomous robots」を『Nature』に提出したのが2019年7月14日。『Nature』に掲載されたのが2022年9月21日である。
当然、その間もインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)による当該研究はドローン関係者に知られており、まして『Nature』掲載後はドローンの専門家であれば知らない筈のない研究である。
未来ドローンアイデアコンテストのアイデア
一方、『未来ドローンアイデアコンテスト』の募集が開始されたのは2023年1月31日。このことから『未来ドローンアイデアコンテスト』GPアイデアの方が後出しであることは明らかである。この「ドローンによる3Dプリンティング建築」がグランプリに選出されたことは実に不可解な出来事であり、まさに事件であった。
日本ドローン業界の信用失墜
最近では倒産したA.L.I.Technologies社(ドローン部門は健全だったが)による「ホバーバイク」のデータ偽装・技術詐称が日本のドローンおよびAAM業界の信用失墜をもたらした。
また、予てより日本のドローン関連企業による「世界初」「日本初」などの詐称や技術偽装が海外から問題視されていた。
そんな中でコンサルティングファーム主催・共催による『未来ドローンアイデアコンテスト』盗用アイデアGP選定事件も世界から日本のドローン業界に対して不信を募らせる要因となった。