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なぜ乳び胸に対してオクトレオチドが有効なの?
乳び胸とは、胸部手術や膵手術などによるリンパ管損傷により、リンパ管から乳びが漏出する病態です。長鎖脂肪酸はリンパ管経由で吸収され(中鎖脂肪酸は門脈へ)、鎖骨下静脈から血管内に入り、それから全身へと運ばれるので、リンパ管が損傷すると脂肪が流れ出します。
乳び胸の治療方法としては,脂肪制限食,MCTミルク,絶食+中心静脈栄養(117回でも出題あり),ソマトスタチン/オクトレオチド投与などでリンパ流量を減少させる保存的治療と,胸膜癒着,胸管結紮そして胸腔腹腔シャントなどの侵襲的治療があります²。
ここで、ソマトスタチン(オクトレオチド)は乳び胸に対して主に2つの作用によって効くと考えられています¹。
ソマトスタチンにはガストリン,胃酸分泌,胃・小腸運動の抑制,胆囊収縮の抑制,膵外分泌の抑制などがあり,これらの作用により脂肪吸収の抑制および内蔵血流の減少が起こり,リンパ流が減少する。
リンパ組織にもソマトスタチンレセプターが存在することが確認されており,リンパ管内皮や平滑筋のソマトスタチンレセプターを介して平滑筋が収縮し,乳糜漏が消退する。
このように、乳び胸はソマトスタチンが有効なのです。乳び胸の勉強では脂質の吸収経路からソマトスタチンの作用まで復習できますね。
参考
1)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/72/11/72_11_2951/_pdf
2)http://jpccs.jp/10.9794/jspccs.35.208/data/index.html