見出し画像

なぜ甲状腺機能低下症で貧血が生じるのか?

MDS(骨髄異形成症候群)や巨赤芽球性貧血、悪性貧血で大球性貧血を呈することは有名だと思いますが、実は甲状腺機能低下症でも大球性貧血が起きることが知られています。

メカニズムとしては、

  1. 甲状腺機能低下症で最も頻度の高い基礎疾患は慢性甲状腺炎、いわゆる橋本病であり、同じ自己免疫性疾患である悪性貧血を合併すること。

  2. 甲状腺機能低下症によって代謝が低下して、末梢組織における酸素需要が低下すると、血中エリスロポエチン濃度が低下し、骨髄における赤血球産生量が減少する。

この2つが考えられています。必ずしも大球性貧血というわけではなく正球性貧血の場合もあります。

実は、甲状腺機能亢進症でも貧血が見られる場合があり、こちらは小球性が多いようです。メカニズムはあまり知られていないみたいですね。

貧血の診療では、甲状腺機能もチェックすることが重要といえるでしょう。

参考文献
1)https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/190463-1-11.pdf

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?