なぜSIADHは水の分泌を抑制する疾患なのに浮腫がおきないの?
SIADHとは?
SIADHとは、水の再吸収を促進するADH(別名:バソプレッシン)がたくさん分泌されて、血液が薄くなる(低Na血症)となる疾患と習いますよね。
では、水の再吸収を促進するなら浮腫んだり血圧が上がるのでは?と思いますが一般的に浮腫はSIADHでみられませんし血圧も上がりません。何故でしょうか?
増えた水分はアルドステロンやANP/BNPが追い出す
通常、体内の循環血液量は上手くコントロールされています。血圧が下がればアルドステロンがNaを再吸収して一緒に水を取り込みます。逆に、血圧が上がるとアルドステロンが抑制され、結果、Naを捨てて水も捨てます。
ではSIADHではどうでしょう?実はSIADHでは極初期には血漿量が増加しますが、直ちにアルドステロンが抑制され、Na利尿ペプチドが働き、Naと水を捨てます。
アルドステロンが抑制されるとNaは再吸収されず Na⬇
Na利尿ペプチドが促進されるとNaは排泄されるのでNa⬇
そのため、血圧も上がらなければ浮腫みもしないのです。また、血液が薄まるというよりは排泄が亢進するのでNaが低下するといった捉え方のほうがより厳密なのです。