記事一覧
ファクトチェックをチェックする 〜立岩陽一郎さんに聞く〜
放送レポート304号(2023年9月号)
吉永磨美(放送レポート編集委員)
政府も対策を強化する中で
日本政府は今年に入り、海外発の「偽情報」の収集を強化し、首相官邸直属の内閣情報調査室(内調)が情報を分析することを発表した。報道によると、政府は、昨年末に改定した国家安全保障戦略で、情報戦の対応を強化するため「偽情報の集約分析・対外発信の強化、政府外の機関との連携の強化の新体制を政府内に整備
「空白の30年」を問う 〜有田芳生さんに聞く統一教会とメディア〜
放送レポート299号(2022年11月号)
放送レポート編集部
報じない新聞・テレビ
――「空白の30年」を考えるにあたって、30年前の統一教会報道からお話いただきたいんですが。
有田 僕は『朝日ジャーナル』で統一教会批判キャンペーンのチーム―藤森研さんと僕の二人だけだったんですけど――で、1986年12月から10回やりました。当初は、編集委員だった伊藤正孝さんと藤森さんのチームだったのが、伊
なぜ今「男性学」なのか
第4回ゲスト 関口洋平さん放送レポート301号(2023年3月)
メディア総研所長 谷岡理香
第4回はアメリカにおける男性性について、フェリス女学院大学助教の関口洋平氏による講座です。関口氏の専門はアメリカ研究で、中でも家族の歴史的な変化及び文化的にどのように描かれてきたのかについて考察を深めています。今回は、メディアで表象される「イクメン」をキーワードにアメリカにおける父親の描かれ方、そして
ハラスメントのない映画制作環境を〜パク・キヨンKOFIC委員長に聞く〜
放送レポート301号(2023年3月)
放送レポート編集部
変化に対応できる人材を
韓国の映画製作現場では、政府と業界の費用支援を受けたハラスメント防止システムが導入されており、日本の映画界からも注目されている。昨年秋に東京国際映画祭にあわせて来日した韓国の映画振興委員会(KOFIC)のパク・キヨン委員長が「日本芸能従事者協会」(森崎めぐみ代表理事)主催のレクチャーで、韓国映画界の現状を踏ま
座談会 連帯でつかんだ勝利 〜長崎性暴力裁判が示したものは〜
放送レポート299号(2022年11月)
吉永磨美 前新聞労連委員長
明珍美紀 元新聞労連委員長
松元ちえ メディアで働く女性ネットワーク
長崎市幹部が女性記者に性暴力をふるったことで、女性記者が原告となって長崎市を相手にたたかった「長崎性暴力裁判」。今年5月に元原告勝訴の判決が出て、長崎市が控訴せずに確定。後日、田上富久市長は元原告に面会して謝罪した。
この裁判は新聞労連の組合員が長崎の市
市民とともに歩むNHK会長を
元文部科学次官・前川喜平さんインタビュー放送レポート300号(2023年1月)
まとめ・編集部
経営委員会にけん制を
―― まず、どういう経緯で前川さんがNHK会長候補の推薦を受けたのでしょうか?
前川 私も「なんで僕なのかな」と思いましたが(笑)、10月11日に、永田浩三さんからメールで申し出がありました。
永田さんとは私が文部科学省を辞めた後、いろいろな会合でご一緒することがあって、また
なぜ今「男性学」なのか
第3回ゲスト せやろがいおじさん放送レポート300号(2023年1月)
メディア総研所長 谷岡理香
男性学講座第3回の講師は、お笑い芸人でユーチューバーのせやろがいおじさんこと榎森耕助さんです。榎森さんが自分の中にある女性差別に気が付いたのは視聴者からの指摘でした。かつて女性の容姿をからかって笑いを取ったことがあり、「それはミソジニーという女性差別にあたります」という指摘を受けたのです。しかし
なぜ今「男性学」なのか
第2回ゲスト 清田隆之さん放送レポート299号(2022年11月)
メディア総研所長 谷岡理香
男性学講座2回目の講師は、中学高校を男子校で過ごし、ホモソーシャルな空気を体いっぱいに吸ってきたと語る文筆家の清田隆之氏です。一転、大学では女子が7割という学部に入り、恋愛相談にのる機会が多かったそうです。それがきっかけで恋愛相談ユニット「桃山商事」というサークルを立ち上げました。以後約20年にわた
「霊感商法」を、私はこう取材した
放送レポート300号(2023年1月)
藤森 研
“組織的詐欺”の手口
安倍元首相銃撃事件を機として、「霊感商法」などで知られる旧統一教会への批判が起き、その反社会性が改めて問われている。
1986年~87年に、『朝日ジャーナル』という雑誌で、私は霊感商法追及キャンペーン報道に携わった。昔話を書くのは気が引けるが、旧統一教会の体質は昔も今もあまり変わっていないように見えるので、取材の何かの
表現の不自由展、各地で無事終了 〜東京・名古屋・京都・神戸で約4500人〜
放送レポート299号(2022年11月)
岡本有佳 編集者、表現の不自由展・東京共同代表
観客、作家、支援者に感謝
4月に表現の不自由展・東京が終了後、8月6~7日に京都の京都市男女共同参画センター ウィングス京都、8月25~28日に名古屋の市民ギャラリー栄、9月9~10日に神戸の兵庫県民会館ギャラリーですべて予定していた会期を終了することができた。観客はそれぞれ720名、1400名、763
特集・表現の不自由展 東京2022 東京で無事開催を実現したものは
放送レポート297号(2022年7月)
岡本有佳 編集者、表現の不自由展・東京共同代表
鑑賞者の反応から
「国立市で不自由展が開催され、私は市民として誇りを持つことができ、感謝です」
これは2022年4月2~4日、東京・国立市民芸術小ホールのギャラリーで開催された「表現の不自由展 東京2022」(以下、不自由展)の鑑賞者が貼った付箋の1枚だ。会場出入口に感想付箋コーナーを設置したところ、来
特集・ウクライナ侵攻とメディア マスメディアが伝えないこと
放送レポート297号(2022年7月)
明治学院大学名誉教授 吉原功
犠牲になるのは民衆
ロシアがウクライナに軍事侵攻してから3ヵ月を迎える。この間、日本のメディアは連日、ロシアの蛮行とウクライナ市民の被害を報じている。ゼレンスキー・ウクライナ大統領のプーチン・ロシア大統領およびロシア軍への非難、国際社会への支援の訴えも、絶えることなく流されている。強大な軍隊を持つ侵略国が弱小の国家をすぐに