1月2日(火) メディア日記

 大震災から一夜明けて被害の全貌が予想以上に広範囲にわたっていることがわかってきた。NHKは夜明けとともにヘリを飛ばし、「午前7時ニュース」は輪島の大火災を初めて上空からとらえた。すでに赤い炎は消えていたが、白い煙が各所から上がっていた。200棟が全焼したという。同ヘリはさらに倒壊した7階建てのビルの映像をとらえ、珠洲市の漁港では津波のせいかあちこちで漁船が転覆している。昨夕段階では津波被害はよくわからなかったが、海岸沿いの道路が各所で寸断されて、孤立している集落が見えた。これは相当ひどい。工事車両の搬入の難しさを予想させた。
 NHKは1日の震災直後から全番組を飛ばし、2日も予定されていた終日の正月全番組を予告なしに変更し、予定番組に戻ったのは同日の21時だった。NHKは地震について何度も林芳正官房長官と内閣記者会の会見内容を中継した。若い記者が多かったように見えたが、質問はテンポがあり、前官房長官に比べ、林官房長官の対応もそつなかった。実務的な質疑とはいえ、これまで当日記は「政府追及が甘い」とたびたび内閣記者会を批判してきただけに今回は少々見直した。

 能登半島地震を終日放送していたNHKに午後6時過ぎ、突然、羽田空港C滑走路で日本航空機が火を噴いて走る映像が流れた。最初は機内の窓から火が見えたが、そのうち機体全体が火に包まれ、どんどん大きくなってくる。この映像とは別に日航機と海保機が衝突した瞬間も遠目ながら火が燃え上がる瞬間が放送された。スタジオのアナは、「海上保安庁の機体と接触したらしい」と伝え、日航機には乗客ら379人が搭乗していると報じた。緊急脱出とはいえ相当数の犠牲者が出ているだろうと一瞬予感がしたが、NHKはまもなく「乗客乗員379人全員が緊急スライドから無事脱出した」と報じた。日航機は衝突してから滑走路を1キロ走行したという。火だるまの機体から全員無事脱出とは奇跡に近い。
 その後の日本航空によると、事故発生は2日午後5時47分、機長がすべての乗客が降りたことを確認し、最後に機外に出たのは6時5分、全員の脱出は18分以内に行われた。海保機は4人が死亡、機長は重傷を負った。誰がみてもあの火だるまの機体から乗客が脱出しても相当の犠牲者が出るだろうと予想した。迫真の中、379人全員の脱出劇はなんという奇跡か。

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