5月8日(月)メディア日記

 7日に訪韓した岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は同日、ソウルの韓国大統領府で首脳会談を行った。岸田首相は日韓の懸案だった徴用工問題をめぐり、歴代内閣の立場を引き継ぐと改めて表明した上で「当時厳しい環境のもとで多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む」と述べた。朝日と毎日は8日朝刊で岸田首相の「心が痛む」を1面トップの見出しに据えた。産経だけは「徴用工は多くの国で行っていた勤労動員にすぎず、賃金も支払っていた。史実に反する言いがかりをつけられた日本側こそ被害者であるのに、岸田首相の発言は加害者という印象を植え付ける。主客転倒の誤った発言で、極めて残念である」と「論説」にあたる「主張」で批判した。

 一方、韓国の保守系の東亜日報は社説で、岸田首相が「心が痛む」と述べたことに対して、「一歩進んだ遺憾表明と言える」と評価。尹政権に批判的な革新系の「ハンギョレ新聞は「謝罪せず・・韓米日安保協力疾走」の見出しで批判した。 

 1995年8月15日、当時の首相村山富市は、第二次世界大戦中のアジアへの侵略行為について、「痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします」と明確に謝罪した。以降の歴代政権も公式見解として踏襲している。しかし、岸田首相は今回、自民党保守派に対する配慮か、反省や謝罪に直接言及することは避けた。

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